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登場する人物、団体、名称はすべて架空のものです。

この小説は

”Obsessed with you”、

”Forbidden Affection”との

連動小説となっています。


初めてごらんになる方、お読み直しなさりたい方は

→ 小説インデックス
をご覧ください




隣に座る彼女は


自分の目の前にある


水と氷の入ったグラスを


見つめていた。



しかし、その目はどこか焦点があっておらず



どちらかと言うと、


半放心状態でぼぉっとしているようだった。








「美桜」


ここではないどこかに飛んでいる彼女の意識を


呼び戻す様にそう声をかけると


彼女はハッと我に返って


目線を俺の顔の方にあげた。



「・・・あ・・ごめん」



そういう彼女の様子は


少し慌てた感じで、


俺はクスリと笑ってしまう。





入籍を済ませた俺たちは、


両家と外で夕食を楽しんだ後、


自分たちの家で


入籍後初めての夜を過ごしていた。


時計を見ると、あと少しで明日になると言う時間。



入籍したこの日が早くも過ぎようとしていた。



風呂から上がった彼女は


リビングのソファーの上で


涼むように寛いでいた。




人生の中で


何度とない卒業式と入籍を


今日一日の内に一片に迎えた彼女。


風呂で少しは疲れが取れただろうか?




「大丈夫か?」



俺がそう聞くと


彼女はにっこりと笑って


頭を上下に振って見せた。



「今ね、卒業式の時のこと思い出してたんだ。」



そういう美桜は


早くも遠くを見つめて懐かしんでいるかのように見える。





「まったく・・・


美桜が城崎に泣いて抱きついたのを見た時は、


俺とじゃなくて


城崎と結婚しちゃうんじゃないかと思ったよ」






俺が冗談ぽくそういうと



彼女は



「だってー。


あんなことしてもらえると思ってなくて


感激しちゃったんだもん」



と恥ずかしそうにした。









それにしても


俺、美桜とホントに結婚したんだな・・



こんな夜遅い時間に


彼女が俺のそばにいるなんて、


今まで一度もなかったことだったから


今更そんな事を考えてしまう。





俺はスウェットを着て


のんびりしている美桜の顔を


改めてマジマジと見た。


その彼女の頬は


風呂上がりのせいで


桜色に上気して


妙に色っぽい。




そんな彼女から


俺は慌てて目を反らせた。





「えっと・・・


じゃ、風呂に入ろうかな・・・」



ワザとらしくそういって


急いで立ち上がると


美桜は俺を見上げて


「あ・・・うん。


行ってらっしゃい」



と微笑んだ。







________________________





ヤバい…



美桜には2年間、


一切手を出さずにいたけれど・・・


ついに…。






俺は年甲斐もなくドキドキとして


ゆっくりできるはずの


風呂に漬かりながらも


気持ちが落ち着かず、


早々に風呂から上がった。




体を拭いて


下着とスウェットを


急いで身にまとうと、


一度深呼吸をし、


意識的にゆっくりと廊下に出た。



それは自分が「そわそわしている」


と美桜に気づかれないためだった。





俺は妙な演技をしながら


しかし内心、気持ちの高揚を感じつつ


リビングのドアを開けた。




そしてその扉の先にあるソファーに


目線を移して


ハッとした。









そこに座っている美桜は


背もたれに頭を預けるようにして、


眠ってしまっていた。






美桜が眠るそこに歩み寄って


その顔を覗き込むと、


彼女は俺の動揺と興奮などには


気づきもせず、


気持ちよさそうな寝息を立てて


熟睡していた。




俺はそんな彼女の寝姿を


見下ろす様にして


堪らない気持ちで


しばらく見つめ続けた。



そして、彼女が寝ているのをいいことに


その顔からつま先まで


ゆっくりと舐める様に見た。




彼女の寝顔はふんわりと柔らかで


掌はソファーの上で無造作に軽く開かれ、


スウェットからでた細い足首と小さな素足が


やけに無防備に見える。



何でもないその寝姿は俺にとって


やけに魅力的に見えて


俺は思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。




その時だった。



あれ・・・?





俺は一瞬、違和感を覚えたが、


それを喉の奥の方に押し込むようにして


眠る彼女をそっと抱きあげた。


そして彼女をベッドに連れて行くと


そこに横たわらせた。





____________





「ん・・・」




瞼の向こうに


仄かに陽の光を感じて


あたしは寝返りを打った。




ん・・・?




その時、


ベッドの肌合いがいつもと違うのを感じて


あたしは


まだ開けたがらない瞼に抗うように


無理矢理目を開けた。




ここ・・・どこ?



まだ焦点が合わない自分の視界に


ぼんやりと


カーテンの色や


天井の質感や


壁の色が入ってきた。



全てが私の部屋のものじゃないけれど


何か見覚えがある。



えっと・・・


ここは・・・




私はゴシっと目を擦った。




そうだ・・・


昨日から恭祐さんの家に


引っ越してきたんだ…!






そう気付くと同時に


あたしは反射的に体を起して


恭祐さんが寝ているはずの



ベッドの反対側を急いで振り返った。


だけど


そこに恭祐さんの姿はなくて、


拍子抜けした。





あれ?恭祐さん、どこ??




まだぼーっとしている頭で


考えているうちに


私は青ざめた。




・・・!


しまった・・・!!


もしかして、私、寝坊した?


恭祐さん、もう仕事に行っちゃった???




そう。今日は火曜日。


私は大学の入学式まで春休みだけれど


恭祐さんは1,2年生の終業式まで


まだお仕事だったんだ…!!




ベッド脇の


小さなテーブルの上に置いてある時計に


急いで目を移すと


もうすぐ6時になろうとしているところで、


私は安堵の溜息を大きくついた。




よかった・・・


寝坊したわけじゃなかったんだ…。



っていうか・・・


結構早起きしちゃったかも…



えーっと・・・


昨日、何時に寝たんだっけ?


私は寝る前までの記憶を


頭の中で手繰り寄せた。




昨日、恭祐さんがお風呂に入るって言って・・


その後の記憶が


ない…。




そっか・・・


私、あれからソファーの上で


寝ちゃったのかな・・?。



だとしたら、わたし、、


どうやってベッドまで移動したんだろ…?


寝ぼけてここまで歩いてきたんだっけ?




たくさんのことにはてなマークが浮かんで


私はとりあえずベッドから降りて


リビングに行ってみることにした。



その扉をそっとあけると




長身の恭祐さんが


そのリビングの端に置かれた


ソファーの上で


体を小さく折り畳んで


毛布一枚を体に巻きつけるようにして


クッションをまくら代わりに


眠っていた。




「やだ・・・


恭祐さん・・・


なんでこんなところで?」



幾ら春が近いとはいえ


ソファーが置かれた


窓際は夜や早朝は冷やりとしていて、


毛布一枚では絶対に寒い。



私は慌ててベッドに戻ると


掛け布団を抱えて


ソファーに眠る恭祐さんに


そっとかけた。




それにしても、


なんで恭祐さん


ベッドで寝なかったのかな…。





あたしは


恭祐さんが


ソファーで寝た理由が見つけられなくて


少し不安になった。




なんだろう…




でも…多分…私のせい?





   ・

   ・

   ・






「朝の時間は貴重よ」



お母さんに教えてもらった言葉を思い出して


私は気を取り直し、


朝食の準備に取り掛かった。




お母さんが留守にしている時間が


多かったせいか


料理には苦手意識はなかったものの、


昨日までお母さんに頼りっきりだった。


だけど、今日から私はこの家の「お母さん」になるんだ・・・




朝食を作り終わる頃、


恭祐さんが


ソファーの上で


大きく伸びをして


目を覚ました。






「…アァ…


なんか良いにおいがする…」



恭祐さんは寝ぼけ眼で


微笑みながら起き上がると


「おはよ」



と言った。



ちょっと寝癖がついた頭を掻きながら


大きく欠伸をした後、


ソファーから立ちあがると、


足元を少しふらつかせながら


恭祐さんは


洗面所へ消えて行った。



そんな彼の後ろ姿を見て


私は思わずクスッと笑ってしまう。



今まで見たことのない


恭祐さんの寝起きの姿。



こんなに


なんでもない風景に


自分が結婚したんだなって


実感して


思わず顔がほころんでしまう。



恭祐さんの


奥さん・・・



その響きは


頭の中で呟く様にするだけで


すごく照れくさくなる。






恭祐さんは


多分毎朝するように


自分の身なりを整えて


ダイニングテーブルに着くと、


おぉ・・と小さく声をあげて


テーブルの上の朝食を見回して、


嬉しそうに朝食を食べ始めた。



そんな恭祐さんは


パンを頬張りながら


手首を目の前まで持ってきて


腕時計に目をやった。



「今まで朝ご飯は


自分で作っていたから


毎朝バタバタだったけれど、


今日から余裕だな…」


そう嬉しそうに言った後、


恭祐さんは


目線を上にあげた。




そして、微笑んでいた表情を


更にほころばせるようにして




「でも・・・




そんなことより、


こうやって朝起きたら


美桜が


朝ご飯作って待っていてくれてるって


すごく幸せだなぁ。」


と呟く様に言った。





私の耳をくすぐるような


照れくさくなるような言葉を


朝からさらりと言ってみせた恭祐さんは



朝食を食べ終えると


急いで歯を磨いて


かばんを手にし


私に「行ってきます」のキスをして


家を出て行ってしまった。







その彼の一連の動きは


流れのようで


恭祐さんが行ってしまった後


私はしばらくぼーっと玄関に突っ立っていた。




お母さんもこんな気持ちだったのかな。



私の背後には


誰もいなくなった空間が静かに広がっていて


今から一人ぼっちだって思い知らされる。




主婦って毎日こんな感じなのかな…。





あたしはテレビをつけて


一人、朝食を済ませると


茶碗を洗って、掃除機をかけたり


洗濯機を回したりして過ごした。



だけど、その家事もお昼近くに終わってしまって


私はソファーの上に寝転んて背伸びをした。




その瞬間・・


昨夜のことを思い出した。




今朝聞くの忘れちゃったけれど…


恭祐さん、昨日はどうしてここで寝たんだろう…



しつこいけど


もう一度お願いしちゃいます!



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