保育士の職業訓練校には、「多様性とダイバーシティ(Vielfalt und Diversität)」という授業があります。

 

自分とは違う意見や生活スタイルを持つ、違う階層、人種、宗教に属する人々に接するときに注意することを学ぶ授業で、本来ならとても興味深いはずなのですが・・・。

 

先生が新人で、教える内容のことをよく理解していない。元々ソーシャルワーカーとして働いてた人で、保育士としての経験はないので、幼稚園の状況もよくわかってないっぽい。

 

で、この先生の授業でフランス映画「最強の二人」を見ました。

 

 

 

世界中で大ヒットした映画で、最初に見た時は私も超感動したんです。

 

でも、10年経って、ドイツで色々移民として経験した後に改めて見たら、あまりに表現が人種差別的で、白人の傲慢さがムンムンと感じられ、見ていてムカついてたまりませんでした。

 

保育士学校の「多様性」の授業でこの内容見せるって、教師失格じゃない??

 

ものすごくモヤモヤしたので、先生に苦情のメールを入れました。ここにレビューとして置いておきます。

 

日本語で初めに書いて、DeepLに翻訳してもらいましたニヤリ DeepLほんとに進化がすごい!

 

最終的なドイツ語のメールを日本語に再翻訳して手を入れたものなので、表現が硬いところは目をつむってくださいニヤニヤ

 

-----------------------------

水曜日に授業で見た映画のことがとても気になり、このメールを書きました。

 

あの映画をクラスで上映した意図は何だったのでしょうか?

 

裕福な白人の障害者と貧しい黒人の介護者という、まったく異なる世界の人たちであっても、良好な人間関係を築くことができるという好例としてですか?

 

それとも、この映画は美しい物語を語ろうとしているにもかかわらず、人種的な固定観念や偏見を強めてしまうという、「良かれと思ったが失敗した」例なのでしょうか?

 

成功した多様な社会の例としてこの映画を授業で見せるとしたら、私は問題があると言わざるを得ません。


この映画では、パリ郊外に住む黒人の青年が、

下品で、無学で、無職で、兄弟の多い貧しい家庭の犯罪青年という、まさにステレオタイプ通りに描かれています。

 

彼の役割は2つあります。ひとつは富裕層の偽善を笑う道化役。

 

もうひとつは、映画『マイ・フェア・レディ』におけるイライザの役割で、下品で教養のない者が富裕層の文化に触れることで洗練されていく、という役割です。

 

ここでは、一種の白人の社会的傲慢さが描かれています。

 

「低俗で無学な出稼ぎ労働者にも人間の心があることを私は知っている!だから、私たちの文化に触れ、それを受け入れれば、きっといい暮らしができる!」

 

というものです。

 

これこそ、「まったく異なる2つの世界の、心温まる友情の物語」という仮面の下に隠されている、隠されたメッセージです。

 

女性の描かれ方も人種差別的で性差別的です。

 

この映画の中で、性の対象として描かれている女性には2つのタイプがあります。一方は、憧れの対象として描かれる白人の美しく知的な女性。他方は、娼婦としてしか登場しないアジア人女性です。

 

 

私も、アジア人女性=売春婦というステレオタイプで見られ、嫌な思いを何度かしたことがあります。


この映画の成功の秘訣のひとつは、社会のマジョリティに属する観客を、

 

「この映画を見る私は、貧しく問題を抱えた移民の若者を受け入れ、教育することに前向きでオープンな、善良で思いやりのある人間である」

 

という気持ちにさせつつ、彼らの偏見や固定観念を正当なものとして認めたところにあります。

 

私は長年人種差別に苦しんできたので、この問題に過剰反応しているのかもしれません。

 

しかし、この映画が『多様性とダイバーシティ』についての講座で、保育士用の教材として上映されることはとても受け入れられませんでした。

 

保育士が、移民の子どもたちや親たちに接する際に、保育士が反省し、疑問を抱くべきなのは、まさにこのような、メディアで無責任に拡散され、内面化された偏見とステレオタイプなのです。

 

今度の授業で、この映画について批判的に議論できれば幸いです。

 

この記事、特にこの映画における人種差別についての彼の発言は、私の意見と一緒です。

 

https://www.moviepilot.de/news/ziemlich-beste-freunde-ziemlich-gro-er-mist-117986 

 

以下は、アラブ系の人々を問題視する人が多いフランスで、黒人表現の問題と、なぜ映画の主人公が黒人として描かれるのか(実際の物語ではアルジェリア人だった)ということに疑問を呈した記事です。

 

https://www.ifri.org/en/publications/editoriaux-de-lifri/chroniques-americaines/omar-sy-uncle-tom-race-relations-america-and