今週学んだテーマで心に残ったのが、「移行期」(Übergangssituation, Transition)という概念。

 

今まで馴染んできたものを後に残し、次のステップに進んでいくシチュエーションを指します。

 

ライフ・イベントとも言いますね。

 

生物的な成長に伴うものでいえば、ハイハイしていた赤ちゃんが歩くようになるとか、思春期が始まるとか。

 

社会的な変化に伴うものは、保育園や学校に通うようになるとか、親が離婚するなど。

大人で言えば転職する、引っ越しする、結婚する、子供ができる、、などなど。

 

で、この時期には新たな状況や環境、自分の新たな役割に馴染むのにエネルギーを使うので、いつもと行動が違ってくる。

 

暴力的になったり、感情的だったり、引きこもったり、逆にやたら動き回ったりする。

 

うまくこの時期を乗り越えれば大きく精神的に成長するが、

 

傷つきやすい時期でもあり、移行期の克服を失敗すると後を引くので、

 

保育士は、子どもの行動が変だと思ったら、その背景に何があるのか、どのように寄り添うことができるのかを注意深く考える、という話でした。

 

で、こういう理論を学んだ後は、常に自分の時はどうだったか、を考えるグループワークをやります。

 

自分の移行期として考えるものは何か、その時に

 

1、何が大変だったのか、何に不安を覚えたのか、何がブロックになっていたのか

 

2、何に助けられたのか、誰が助けてくれたのか、その人のどんな行動が助けになったのか

 

3、いつ「乗り越えた」という感覚があったか

 

という質問に答えて、それをグループ内でシェアします。

 

で、この質問を見た時に「私の最大の移行期」としてぱっと浮かんだのが、

 

「日本での仕事をやめてドイツに移住したこと」でした。

 

精神的に一番大変だったのは、大好きな仕事を辞めること。

 

最後に日本で3年間務めた職場は、仕事内容も、同僚も、立地もお給料も、全てがほぼパーフェクトでした。

 

でも夫に出会いドイツに移住することになり、「結婚か仕事か」という究極の決断を迫られた。

 

「いったいこれ以上の仕事をドイツで見つけられるのだろうか」という不安と、「また外国人になるのか」という思いが交錯し、それと同時に「このチャンスを逃したらもう一生結婚できないかも(子供を持てないかも)」という不安もあり、本当にどうしたらいいのかわかりませんでした。

 

結局ドイツに移住して結婚を選んだわけですが、辞めるのは本当につらかった。


で、そのパーフェクトだった仕事をドイツに来るために諦めたのだから、自分の選択を正当化しなくてはならない、という思いがとても強く働いていたように思います。

 

次に見つける仕事は、同じぐらい私の人生にとって意味を持つものでなくてはならない、的な。

 

で、「克服したと思えた時」ですが、この質問を見た時にぱっと心に浮かんだのが、

 

「今」

 

でした。

 

ぐるぐると自分を内省し、途中スピリチュアルにハマったりもしながら、なんとこさ保育士の職業訓練を始めた。

 

やっと、「辞めた仕事と同じぐらいの意味を持つかもしれない、自分に意味のある仕事」を模索する道に進むことが出来た。

 

「大好きな仕事を不本意ながらも辞めなくてはいけなかった」という傷を、やっと今乗り越えられてきた気がします。

 

私の移行期、10年もかかっていますね。

 

もうちょっと早く何とかならなかったのかと思わないでもないですが、

 

まあ、国を変わり、言葉も変わり、社会システムも変わり、家族を作り母とになり、社会の中の役割もかわり、、という何個もの「ライフ・イベント」を同時にやるという大事業を成し遂げたんだから、それっくらいかかって当たり前よね!と自分を肯定しておくことにします。