私が最近眠れない原因はアメリカ大統領選への恐れです。民主党のバイデンが圧勝しない限りとんでもない日々が待ち受けているからです。

 

残念ながら選挙システムは、現職大統領は圧倒的に有利にできています。今年は選挙日、11月3日に大統領が決まる可能性が低いと考えられています。接戦の場合、最高裁、軍、国家警備隊を率いる現職トランプ政権と共和党が本気で勝ちに来るからです。

 

大統領は国民が直接選ぶわけではなく、州ごとに票を多く得た候補者に、州ごとに決まった人数の選挙人が投票するというシステムになっています。

 

歴史的に見て、高収入・高学歴の人が多く、経済活動が活発な州(ニューヨークなどの東海岸の州、カリフォルニアやオレゴンなどの西海岸の州)は民主党、労働階級者や農業従事者の多い州、人種差別の激しい州は共和党が有意です。ですから大統領選に勝つか負けるかは、激戦州と言われるフロリダ州やペンシルバニア州などの6つの州がどちらに投票するかで決まります。

 

例えば、フロリダ州で投票用紙の回収に不備があったり、紛失したりした疑いがある場合、州知事はフロリダ州の票を全て無効にして、選挙人を総入れ替えにすることができます。政府かそこに介入して現政権に有利にすることができます。

 

今年のように郵便投票が多い場合、その開封には時間がかかります。例えば、激戦州で開封を進める過程でトランプが過半数に達した時点で開封が打ち切られ、トランプ勝利が発表される可能性があります。

 

 

歴史的に見ても、郵便投票は、開封が進めば進むほど民主党に有利になる傾向があります。というのは、学校や就職で引っ越すことが多い賃貸住宅に住む人々は、若い民主党に投票する傾向のある層で、頻繁な住所変更から投票用紙の郵送が遅れるからです。開封が途中で打ち切られれば、当然トランプに有利です。

 

投票用紙の輸送に関わる国家警備員がトラックいっぱいの投票用紙を「故意に」紛失、あるいは焼失させることができます。たった数人のトランプ支持者でやってのけられるのです。

 

アメリカ最大の州、テキサス州では、共和党の州知事の命令で郵送投票用紙の回収場所を1カウンティー(群)に1箇所に限定すると発表しました。つまり、郵便投票登録をしていない限り、高齢者も障害者も運転して1箇所の投票場に行き、何千人もの長い行列に並ぶ必要がある、つまり投票率が下がる仕組みを作ったのです。

 

 

さらに投票場所は共和党支持者の多いエリアです。頑張って投票に行っても、武装したトランプ支持者が銃をチラつかせて迫ってくる可能性もあるのです。

 

バイデンが圧勝しない限りあちこちで小競り合いが起き、軍隊が出動、表の読み直しに何週間もかかるなどで政治も経済も混乱し、トランプはそれを全て民主党とバイデンのせいにするでしょう。そしてその間にもCOVID-19で人々は死者が増えるでしょう。

 

日本の皆さんは大統領が誰になっても生活に影響ないと思われるかもしれないですが、そうではないのです。

 

オバマ政権下では、パンデミックに備える大統領直属の部門が設置され、まさにCOVID-19のようなウイルス感染が発生した時の演習もしていましたが、トランプは直ちに解散させました。ウイルスをただの風邪だと言い張り、科学者を愚弄し、株価の調整だけに奔走しました。その結果アメリカは感染者の数で世界1になりました。

 

住民税は税金控除対象なのですが、トランプ政権はその上限を大幅に下げました。ウイスコンシン州やアイオワ州などの住宅が安い地域ではないも変わらないかもしれないですが、カリフォルニアやニューヨークの都市部ように住宅価格が1億円以上の地域では、実質の大増税です。

 

COVID-19の一時金も、全国民がもらっていると勘違いしている人がいるかもしれないですが、実は所得制限があり、例えばサンディエゴで、フルタイムの共働き大卒夫婦はもらえない仕組みになっています。

 

労働ビザを発行しないことでシリコンバレーを支えるエンジニアやバイオテックや医療を支える科学者を排除しました。今では、COVID-19の影響でリモートワークが増えたこともあって、海外居住者を雇う傾向になっています。つまり、トランプは雇用を減少させているのです。

 

アメリカでは子供達に大きな夢を持ってもらうために「あなたは大統領にだってなれるのよ」という風習がありました。今それをいう人はどれほどいるでしょうか?

 

何度も自己破産を繰り返して多くの人を路頭に迷わせ、過去10年間ほとんど税金を払わず、人々に罵声を浴びせ、女性を見下し、人種差別を増大させた男。テレビ番組で有能なビジネスマンという虚像を作り(実際にはその時点でも200億ドル以上の借金があった)、考える力の乏しい人や白人至上主義者にその虚像を信じさせて暴動を煽った男。そんな人間があと4年ホワイトハウスの住人であってはならないのです。

 

アメリカの子供達が夢に向かって勉学に励めるように、無力な私は祈るしかできません。