仕事でヘトヘトになって帰って夕食を作る気力も体力もない時、①辛いのを堪えてとにかく作る、②疲れていることをダンナ(彼氏、家族、子供)に伝えてあとは任せる、あなたならどっちを選びますか?

 

もしあなたが①を選んだとして、相手にまずい、食べたくないって文句を言われたらどう感じますか?おそらく、「疲れているのに頑張って作ったのにその言い草はひどい!」って思うのではないでしょうか?

 

このような行動はパッシブアグレッシブ(passive aggressive)と呼ばれ、アメリカでは、特に男性から最も嫌われる態度です。アジア人女性が家庭内暴力(DV)の被害にあう大きな原因です。

 

パッシブアグレッシブは「受動的攻撃性の行動」という訳語がついています。

 

パッシブアグレッシブな人とは、「私さえ我慢すればいいんでしょ」、「やればいいんでしょ」、「いつも私ばっかり仕事をさせられる」、「頑張っているのに認められない」、「馬鹿にされてる」などと心の中で文句を言いながら、自分の意見を伝えない人のことです。

 

いやなこと、やりたくないことに対して、「いやだ」「やりたくない」と言うかわりに、わざとゆっくりやったり、逆に大きな音やため息とともにこれみよがしにやったりします。

 

不機嫌な気持ちを、無表情、無口、攻撃的な目線で表現し、あてつけや抵抗を示します。


誰でも明らかに「私、怒ってます」的な振る舞いをされるのはイヤですが、アメリカ人には理解不可能。「そんなことするくらいなら、なぜはっきりと言わないのか」と不思議に思い、どう対応したらいいのかわからないことから敬遠されます。職場の場合は失職・降格、カップルの場合は家庭内暴力に繋がります。

 

パッシブアグレッシブな行動は、環境に適応できない理由を相手に押し付けるようなものです。最初の例だと、あなたが自分を犠牲にして、我慢して作った夕食が認められなかったと怒ることは、押し付けがましくまずいものを食べさせられた相手にとって理不尽以外の何物でもありません。

 

では①の代わりに②を選択して、「今日は疲れ過ぎて夕食は作りたくない。あとは任した!」と言った場合はどうでしょうか?

 

あなたが休んでいる間に「夕食問題」は、出前、インスタント食品、冷蔵庫にあるものなどで解決されるのではないでしょうか?そしてあなたは申し訳ない気持ちから相手に優しくなれる、「明日からまた頑張れる」のではないでしょうか?

 

日本人にとって、(自分が義務だと思っている)仕事は、どんなことがあってもやるべきと思うかもしれません。でもほとんどの人は不機嫌な「理解不能な人」と過ごすよりはニコニコしている「わかりやすい人」と一緒にいたいものです

 

疲れている時、家族や友人、同僚の力を借りましょう。状況を説明して何をしてもらうとありがたいか具体的に伝えましょう。疲れが溜まってパッシブアグレッシブな嫌な人になるより、「伝える力」で話しやすい人になる方が、きっと毎日楽しく過ごせますよ。