先日ウルトラマラソンランナーのYJさんとのチャットで、「運動時にマスクをするかしないか」で盛り上がりました。常識的には「混んだ道ではマスク、誰もいなければ外す」ですが住んでいる場所によって心配事が多いようです。

 

CDC(アメリカ国立予防センター)は、ランナーやサイクリストはマスクを携帯して、「ソシアルディスタンス(2m)を維持することが困難な場合は着用」することを進めています。ニューヨーク市も同じ考えですが、サンフランシスコ市の場合は、ランナーは30フィート(9m)内に人がいたら着用、ボストン市は、何が何でも絶対着用だそうです。

 

 

マンハッタンに住むYJさんのお友達ランナーは、セントラルパークを1周(約10km?)する間に780人の人とすれ違ったそうです!これではマスクを外せないかなーと思いました。

 

 

研究者はどう言っているかと言うと、「ランナーやサイクリストがマスクをする理由は見つかっていない」そうです。メリーランド大学の公衆衛生学教授のDonald Milton博士は、「マスクは、屋外で非常に混み合っている時と、屋内の空間を他の誰かと共有する時にはとても有効」と言っています。

 

じゃあ、マンハッタンのように、ランナーやサイクリストが頻繁に他人とすれ違う場合にうつしちゃう危険性は?と言うと、非常に低いと考えられるそうです。イギリスのウイルス学の教授Julian Tangによると、「ハーハーと息が上がっている人の場合、出てくる呼気の量が増えて(感染者と仮定しても)ウイルスの数が増えた呼気の量で薄められることと、走ることで起こる風で薄められたウイルスがさらにバラバラになるから感染する確率は低い」とのことです。このことは、中国の感染者7300名の感染経路を調べた結果、屋外で感染した例は1件だけだったことからも確からしいと考えます。

 

では汗はどうか?と言うと、汗にウイルスが混ざることはないので、汗かきランナーさん、安心してください。ただし、鼻水やつばは、感染源になり得るので、他人に鼻水やつばをつけそうな状況ではマスクは有効ですよね(サイクリストは要注意です)。

 

UTサウスウエスタン医大の教授、Benjamin D. Levineは、アメリカの陸上競技チームに、安全に練習するために「4つのD」を守るように指導しています。4つのDとは、”Double the Distance” from six to 12 feet and “Don’t Draft”です。日本語に訳すると、ソシアルディスタンスを6フィートから12フィート(2mから4m)に「ディスタンスをダブルにすること」と、「ドラフトするな」ドラフトとは、先行者を風よけにして楽して走ることです。

 

ドラフトはロードバイクのテクニックですが、今は禁止、自分の力で走れってことですよね。さらにもう一つ。マスクが高地トレーニングの代わりになると思っている人もいるようですが、「絶対にならない」そうです。

 

参考になったかどうかはわかりませんが、暑い日に無理してマスクをするよりは、混む時間帯や人気スポットを避けて4Dを心がけながら、地道に走るのが良いかと思います。