正直、主役を務める二人が苦手です。
ティファニー・タンと、ショーン・ドゥね。
なので、あまり気乗りしないまま視聴していました。
。。でも、やっぱり、ガッツリ系の歴史ドラマは面白い。。
衣装、セット、陰謀の数々。。そして、時間をかけて描かれる人物たち。。
半分を過ぎるころから、楽しみの一つになっていました。
遊牧民族・契丹が築いた征服王朝の「遼」(10~12世紀)という国が舞台。
しかし、国家はまだ出来てまもなく、漢民族と契丹とは別個の統治体制下にあり、
不安定な状態が続いていました。
三代皇帝の穆宗の時代ですが、次期皇帝を巡って様々な陰謀が宮中で蠢いています。
その上、国の南にある北宋(物語では南朝という)とは、
国境にある燕雲十六州を巡っての争いが続いていました。
前置きが長くなりましたが、
歴史ドラマは、史実の知識がないと面白さが半減するので、しかたないかな。。
さて、二代皇帝の息子耶律賢は、軟禁され、服従の態度を取っていましたが、
父から皇位簒奪した現皇帝からの、皇位奪還を画策していました。
彼の能力と人柄に惹かれ、密かに彼の助けとなっている韓徳譲(ショーン・ドゥ)。。
二人は、未来に繋がる「遼」の改革を夢見ているのです。
(四代皇帝を演じるジン・チャオ。
「如意伝」での男らしい凌雲徹役が記憶にあります)
ここで、やっと、蕭家三姉妹の話になります。
蕭家は、皇族に后を出す、伝統ある家柄。。
長女・胡輦(コレン)を演じるのは、「君、花海棠の紅にあらず」に出ていたカーメイン・シェー。
しっとりした美人ですが、ちょっと毒のある役をしますね。
早くに母を亡くしたために、妹二人の母親役として、長女らしい落ち着きを見せます。
次女・烏骨里(うこつり)を演じる女優さんは、ルー・シャン。
華やかな雰囲気のある人で、ちょっとワガママで感情的な次女役にぴったり。
そして、末娘の燕燕(エンエン)を演じるのがティファニー・タン。
賢く知略に富み、剣や弓に長けている点では、意外にも胡輦とよく似ています。
ただ、その発想は大胆で革新に満ちていました。
それもそのはず、彼女の目標は、太祖(初代皇帝)の述律皇后。
皇帝を支え、「遼」の建国に大きな力を振るった伝説の女性です。
(左から、燕燕、胡輦、烏骨里)
仲の良い三姉妹は、それぞれ皇族の青年たちに嫁ぐことを望まれていました。
しかし、燕燕は、自分以上に能力のある韓徳譲に心惹かれ、結婚を誓います。
その後に起きる穆宗亡き後の皇位争い。。
太祖の直系の孫にあたる耶律喜隠(次女・烏骨里の夫)と
穆宗の弟・耶律罨撒葛(やりつ えんさつかつ)を抜け駆けし、(は~。。何コレ、想像外の読み方)
耶律賢が皇帝の地位につきます。。
当然、そこには、韓徳譲の働きもあったわけですが。。
耶律賢は、皇后に、燕燕を指名するのです。
病弱な彼は、健康で知恵に溢れ、行動力のある燕燕が欲しかったのです。
それまで親友だった耶律賢と韓徳譲の仲には、大きな亀裂が入ります。
都を逃げ出す燕燕と韓徳譲。。
ですが、結局、燕燕は連れ戻され、皇帝と結婚をします。
失意のまま、都を離れて放浪する韓徳譲。。
耶律賢を拒むも、燕燕は、彼の国家の改革への情熱と、
彼女にその手助けを求める誠実さに、彼を受け入れていきます。。
「述律皇后」のようになりたいという望みが心の奥底にあったからです。
その後、韓徳譲は、皇帝の元に戻り、彼を助けていくことになるのですが、
それは、燕燕をあくまでも守るというのが目的でした。。
彼は、報われないであろう愛に、人生を賭けるのです。
(耶律賢が彼女に対して真摯だったことは、見ていて安心できました。
崩御の時、彼は、全てを彼女と韓徳譲に委ねていきます。
それは、二人の復縁をも認める意味合いがありました。。いい男だった。。)
しかし、皇帝を補佐していく彼女に、苦難が襲います。
皇位奪還を狙う者たちに次々と謀反を起こされ、
彼女は、胡輦の夫である耶律罨撒葛を殺し、
烏骨里の夫、喜隠とその息子を手にかけます。。
決して離れぬと思っていた三姉妹の心は、大きく離れていくのです。。
でもね、燕燕は、それを信じたくないから、姉妹の情に訴えようとするのよ。
溺愛された末っ子とはそんなものかもしれないけど。。
どこかで姉上たちは自分を許してくれると、。。そう思っているのね。
私的には、国を選んだ以上、そこは。。ちょっと欲張りすぎだと感じちゃう。
姉妹だからと懇願する彼女たちに、夫たちへの助けが出来なかった時点で、
自分だけ姉妹の情を口にしては、いけないと思うのです。
ここがね、なんか、自己チュー。。
だから、烏骨里のカンに触って、殺されそうになって、
結局、彼女を自殺させることになってしまう。。
皇帝亡き後、十年ぐらいたってから、韓徳譲と事実婚みたいなことしちゃうのもねぇ。
最後まで、二人の仲は、愛し合いながらも一歩離れた状態でいてほしかった私です。
ま、遊牧民の娘らしい、大胆な愛情表現だけど。。
(ここは、それぞれ好みが別れるところでしょう。。)
夫(耶律罨撒葛)亡き後、北の国境を守る姉、胡輦の兵権を取り上げようとすることで、
彼女の恋人である青年が、皇帝(燕燕の息子)を襲撃するという事件を起こします。
青年を獄から助け出し、国境へと帰る胡輦。。
燕燕は、またもや、彼女を追い詰めることとなり、
姉妹の仲は修復不可能なことに。。(ま、しかたないわな)
それでも、ようやく、「遼」という国家はその形を確かなものに変えていくのです。
病に倒れた燕燕の脳裏には、姉の胡輦の姿がありました。
幽閉されながらも、いまだ人望もあり、能力のある姉。。
韓徳譲は、彼女を訪ね、燕燕への理解を求めます。
そこで語られる胡輦の言葉が意味深。。
「燕燕が皇后に指名された時、私は、自分が代わりに嫁ぐと父に言ったわ。
私の心にも欲望があった。。」
よく似た二人。。長女として自分を押し殺していても、
自分も皇后になれるという自負があったのです。
そして。。、「年齢も近い私ではなく、なぜあなたは妹を選んだの?」
。。え??っと、それは、。。もしや、胡輦も韓徳譲に惚れていたと。。??
ここで、私的に、物語のヒロインは、胡輦に脳内変換。。
いや、思ってみたら、彼女こそ数奇な運命よ。。
決して燕燕に引けをとらない能力がありながら、
控えめで理知的な、長女の役割を演じてきた胡輦。。
惚れた相手を妹に譲り、請われるまま耶律罨撒葛に嫁ぎ、
愛されるものの望まぬ皇位争いに巻き込まれ、夫を亡くし、子を流産。。
そして、妹たちの争いで一人を亡くすと、燕燕を拒絶するかのように北へ向かいます。
国境での孤独な闘い。。、そんな頃に知り合った無邪気な子どものような青年。。
胡輦にとっては安らぎだったのでしょうね。。権力も権謀も考えることのない青年。
ただ、草原の風に身をまかせ、馬とともにくらす。。
でも、もう二度と都から出ることは叶わない。。
(これは。。娘時代の胡輦かな。。?
彼女こそ北の草原と馬が似合う女性だと思ってしまった。。
上手い女優さんだわ)
燕雲台の上から、燕燕は、韓徳譲と、綠豊かに風にそよぐ草原を眺めます。
かつてそこは、焦土と化し、息絶えた兵士が横たわる風景が広がっていました。
過ごしてきた二人の時間を思いおこしながら、二人は手をたずさえます。。
すみません。。長い尺の歴史ドラマを一回ですまそうなんて。。無謀でした
本音は、それなりに面白かったけれど、。。感動はないかな?
やっぱり、主役たちへの思い入れが足りないせいかも(これは好みなので、責めないで)。
(衣装は素敵よ。
ティファニー・タンも、強い草原の娘をきちんと演じていました)