シラクサは、シチリア島の東海岸に位置する古代ギリシャの都市で、古代ギリシャ世界において重要な政治的、軍事的、文化的役割を果たした歴史的出来事の舞台となった港町です。シラクサの名前の由来は「シラクサイ」=「低湿地帯」の意「シラコ (Sirako) 」に由来しています。また太宰治の小説「走れメロスの」舞台となった街でもあります。シラクサとパンタリカの岸壁墓地遺跡は2005年に世界遺産として登録されています。

 

シラクサは、シチリア島の東海岸地中海に面し、歴史的中心地であり古代遺跡の集中している旧市街オルティジャ(Ortigia)島と、高台の要塞アクロポリスを含む古代からの住居や商業地区の広がる本土の新市街と二つの市街地から成りたっています。シラクサは紀元前733年に、コリントスからの植民者によって創設され、植民地はすぐに繁栄し、農業、漁業、貿易の中心地となりました。シラクサは早期に強力な都市国家として発展し、周辺の小都市を支配下に置きました。

 

シラクサの歴史

シラクサの歴史は紀元前734年頃に始まります。コリントスから来たギリシャ人がこの地に植民地を建設しました。シラクサはその後、ギリシャ植民都市の中で最も重要な都市の一つとなり、地中海地域全体に影響力を持つようになりました。紀元前5世紀から4世紀にかけてシラクサは最盛期を迎えます。この時期、シラクサはシチリアの他の都市を征服し、強力な都市国家となりました。シラクサの歴史における重要な時期の一つは、僭主(せんしゅ)政治の時代です。僭主政治とは古代ギリシャにおける政治体制の一つで、法的な正当性を持たない個人が権力を握る形態のことを指します。

    以下のような重要な出来事や人物がこの時期に関連しています

    • ゲロン(Gelo): 紀元前485年にシラクサの僭主となり、478年までシラクサの僭主として統治、強力な軍事力で周辺の都市を支配しました。彼は第一次ヒメラの戦いでカルタゴに勝利し、シラクサの影響力をさらに拡大しました。
    • ヒエロン1世(Hieron I): ゲロンの弟で、紀元前478年から466年までその後を継ぎ、彼の治世下では文化と芸術を奨励し、詩人ピンダロスや劇作家アイスキュロスなどの著名な人物をシラクサに招きました。また、海軍力を強化し、エトルリア人との戦いで勝利しました。
    • デュオニュシオス1世(Dionysius I): 紀元前405年から367年までの僭主で強力な軍事指導者であり、シラクサの軍事力を増強、シラクサの城壁や要塞を強化し、カルタゴとの戦いを続けました。またアクラガスやメッセネなどの都市を征服し、彼の治世中にシラクサは地中海地域での軍事的覇権を確立しました。
    • ディオニュシオス2世(DionysiusⅡ):父親である僭主ディオニュシオス1世の後を継ぎ、紀元前367年から紀元前357年また紀元前346年から紀元前344年にかけてシラクサを支配した指導者。彼の治世は不安定で、内部の反乱や外部からの脅威に直面しました。
    • アルキメデス(Archimedes) : 紀元前287年に生まれた数学者・物理学者で、シラクサの守備に貢献しました。

    シラクサは紀元前3世紀、ローマとの戦争で重要な役割を果たしました。第二次ポエニ戦争中、カルタゴと同盟を結びましたが、ローマによって包囲されました。この包囲戦の際に、アルキメデスは防衛のために様々な発明を行いましたが、最終的には紀元前212年にローマに敗北し、シラクサはローマの支配下に入り、その後はローマ帝国の一部として繁栄しました。その後ローマの支配下でシラクサは重要な都市であり続け、商業や文化の中心地となりました。ローマ帝国の崩壊後、シラクサは東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の支配下に入り、ビザンツ時代には再び重要な都市となり、特に7世紀には短期間ながらビザンツ帝国の首都となり、9世紀アラブ時代パレルモが首府になるまでは、シラクーサがシチリアで最も重要な街となりました。そして19世紀にはイタリア統一運動の一環としてイタリア王国の一部となり、第二次世界大戦中には連合軍によるシチリア上陸作戦の重要な拠点となりました。その後復興期を経て現在に至ります。シラクサの歴史は、古代ギリシャから現代に至るまで、多くの異なる文化や統治者の影響を受けてきました。各時代においてシラクサは重要な役割を果たし、その遺産は現在も街の中に色濃く残っています。この多様な歴史がシラクサの魅力を一層深めています。

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    シラクサには数多くの観光名所があり、歴史と自然の美しさを堪能することができます。以下に主要な観光スポットを紹介します。

    1. オルティージャ島 (Isola di Ortigia)

    シラクサの歴史的中心地であり、古代からの遺跡や中世の建築物が集まる場所です。魅力的な狭い路地や広場があり、地元のレストランやカフェも多くあります。見逃せないのは以下のスポットです:

    • シラクサ大聖堂 (Duomo di Siracusa): 古代ギリシャの神殿を改造して建てられた大聖堂で、歴史的な重要性を持っています。
    • アポロ神殿(Tempio di Apollo):紀元前6世紀初頭に建設されたシチリア最古のギリシャ神殿の一つ。19世紀後半から20世紀初頭にかけて発掘が行われたドーリア式建築の特徴を持つ神殿。
    • アレトゥーサの泉 (Fonte Aretusa): 神話に登場する美しい泉。
    • マニアーチェ城 (Castello Maniace):オルティージャ島の端に位置する中世の城で、防衛のために建てられました。
    • サンタ・ルチア・アッラ・バディア教会 (Chiesa di Santa Lucia alla Badia):シラクサの守護聖人である聖ルチアに捧げられた教会で、美しいバロック建築が特徴です。有名なバロック画家カラヴァッジョによる絵画が展示されています。

    2. ネアポリス考古学公園 (Parco Archeologico della Neapolis)

    シラクサの古代遺跡が集まる場所で、以下の見所があります:

    • ギリシャ劇場 (Teatro Greco): 紀元前5世紀に建てられた大規模な劇場で、今でも演劇やコンサートが開催されています。
    • ディオニュシオスの耳 (Orecchio di Dionisio): 高さ23mの巨大な洞窟で、音の反響が特に優れており、外からでも中にいる声が響く。ディオニュシオスが敵国の囚人を閉じ込め企みや秘密の話を盗み聞きしたいたといわれる伝説があります。
    • ローマ円形劇場 (Anfiteatro Romano):ローマ時代に建設された円形劇場で、古代ローマの文化と歴史を感じることができます。

    3.パオロ・オルシ考古学博物館(Museo Archeologico Regionale Paolo Orsi)

    シチリア島の古代遺物を展示する博物館で、シラクサとその周辺の歴史を深く理解できます。古代ギリシャ・ローマ時代の彫刻や工芸品など貴重なアートの数々が展示されています。また陶器や青銅器などの展示もあり、古代シチリアの生活と文化を知ることのできます。

    4.パンタリカの岸壁墓地(Siracusa e le necropoli rupestri di Pantalic)

     

    シラクサの西約40~50キロメートルに位置する自然の岩場に築かれた大規模な墓地遺跡があります。アナポ川の渓谷に沿って全長約12km、面積は80haに及ぶ広大な地域に広がり、現在は自然保護区に指定されています。この遺跡には紀元前13世紀から紀元前7世紀にかけての約5,000の岩窟墓が存在し、その多くは断崖絶壁に彫られています。青銅器時代の紀元前12世紀から7世紀にかけてアナポ川流域に小王国の首都であった古代都市ヒュブラに属していたといわれており、紀元前7世紀シラクサにより滅ぼされるまで険しい自然の要塞を背景に栄えていました。

     

    シラクサは、その豊かな歴史と美しい自然により、訪れる人々を魅了します。古代の遺跡と現代の文化が融合したこの街では時間を超えた旅を楽しむことができます。

     

     

     

     

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