実例!鹿児島の欠陥住宅あれこれ~⑤大工造作編~
いわゆる雑な仕事、手抜き仕事といった、大工の技量未熟による
施工不良は論外なので書きませんが、そもそも自社の施工マニュアルの
内容を理解してない監督・大工はいまでも多い。
人柄も良くて一生懸命やってくれてるんだけど、
間違った施工は指摘せざるを得ない、残念!
建物の隠ぺい部分だと、どんな欠陥工事が多いのでしょうね?
①断熱材の施工不良
ポイント~昔の知識じゃついていけない~
今でも断熱材は壁に入ってさえすればいい、みたいな施工をする大工は多い。
でも、来年(2025年4月)からは省エネ住宅は義務化になりますし、
今年(2024年)からは、次世代省エネ基準をクリアしてないとローン減税も使えない。
この省エネ基準も、レベルが低いのがどうにも嫌なんですけど。。
施工不良で圧倒的に多いのは、繊維系断熱材(グラスウールやロックウール)。
きちんと羊羹のように入ってるのが当たりまえ、
防湿フィルムは、柱面(室内面)に固定してありますか?
(隙間を何度言っても気にしない、某超大手のHM)
(こちらはさすが!の住友林業)
②内壁面材の留め付けビス施工不良
ポイント~耐力壁は要注意~
上棟時のチェック、外壁面材と同じく耐力壁を構成する内壁は
特に、構造用面材を使用する場合は注意が必要。
というのも、瑕疵保険の上棟検査時には、内壁の耐力壁が
完成していないケースも多い。
これは、上辺下辺のビスピッチを指摘した実例ですが、
現場監督はまだ若く気づくことができず、大工棟梁は
以前からこういう施工を続けてきてたようです。
(図面には@100と記載されてた某超大手HM)
これ以前のお宅は耐力不足なんでしょう、お気の毒でしたね。
結局、天井ボードを一旦撤去して手直ししてもらいましたが、
大工の機嫌の悪いことといったら。。 自業自得でしょ!苦笑
③22条区域内の外壁仕様に関する勉強不足
ポイント~法律違反も知らなきゃ怖くない?~
鹿児島市内の多くは、建築基準法22条区域内。
屋根は不燃材で葺き、外壁は準防火以上の性能が義務付けられています。
過去には屋根が不燃材ではない、とんでもない現場もありました。
多いのは外壁、特に妻壁の防火性能違反、これは今でも見られます。
外壁は防火仕様が必須、なんて言う建築士もいますが、これは間違い。
防火仕様でなく「準防火」以上です、ここ大事。
「僕は図面描くだけの人」「僕は現場造るだけの人」、この意思疎通が悪い。
というか、図面に描いてないので、現場は理解してないケースが多い。
外壁性能が、準防火以上かどうか見極めるには?
簡単にわかるのは、防火・準防火の認定番号を調べることです。
外壁の記載で多いのはこれ。
外壁サイディング貼り+内側プラスターボード貼りで、
30分の防火性能を取得してますからOK。
次は、20分の準防火性能の図面です。
ということは、これでもOK。
20や30といった数字でも、時間がわかりますね。
ここで問題になるのは、30分防火性能で必要とされる、
内側のプラスターボードが無い場合。
あきらかに建築基準法違反ですから、過去に大問題になった、
某アパート界壁のケースに似てますね。
では、何故社内検査や行政の完了検査でわからないのか?
〇オパレスの場合もそうでしたが、検査官が天井裏まで確認しないからです。
検査官は「図面通りできてるだろう」という前提で検査するんですよね。
では、どうすれば防げたのか?
簡単です、現場監督がきちんと理解して現場に指示すればよかったのです。
これができない現場監督ってどうですか?
④省令準耐火における外壁仕様の知識不足
ポイント~T構造で火災保険料が安くなる~
先の22条違反と同様に、罪が重いケースがこれ。
省令準耐火のマイホームって火災保険が安いので、最近は結構増えてます。
火災保険上、T構造に分類してもらえるんですよね。
防火と耐火って考え方のレベルが違うんです、耐火の方が厳しい。
んで、これを木造住宅で実現するのはハードルが高い。
でも、ここで「省令準耐火仕様」という、
施工ハードルも高くないし、火災保険料も安くできる仕様がある。
なんだか「防火」より少し厳しいけど「耐火」よりは易しい感じです。
③の22条区域の外壁は「準防火」以上が必要でしたが、
省令準耐火の場合は「防火」以上です。
つまり防火性能として、30分以上が必要だということ。
ということはこの外壁は22条区域ではOKですが、
省令準耐火としては不適合ですね。
これがわかってないハウスメーカーがある。
(新しい意匠住宅、の地元HM)
(防火区画の壁に隙間がある場合は、不燃材を詰めましょうね)
これでも省令準耐火に適合してるらしい。
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