本ブロクをお開きいただきまして、本当にありがとうございます。
青森県青森生まれ、八戸在住の独立系ファイナンシャルプランナーのヒデと申します。
ファイナンシャルプランナー(以下FP)にとって大切な業務の一つに、ライフプランの作成がございます。
その作成において、重要なのがキャッシュフロー表です。
私は常々このキャッシュフロー表の作成をおすすめしており、セミナーにても作成方法をシェアしております。
例えば家族構成と手取りが以下の通りとします。
八戸太郎 40歳 手取収入305万
八戸花子 38歳 手取収入100万
八戸一郎 9歳
八戸花子 7歳
そして、一郎くんが地元私立大学、花子ちゃんが東京の私立大学に進学した場合、どうなるか?
それがこちらです。
細かい説明は省きますが、12年後の2033年から赤字に陥る見込みです。
ここからじゃあどうしましょうとの話になるんですが、本当はここで「変動率」なるものを
いれなきゃいけないんです。
キャッシュフロー表の数字はすべて、2021年時点の現在価値で見積もっています。
ですが、その価格が10年後、20年後同じとは限りません。
そもそも収入だって10年、20年後も変わらないのでしょうか?
その増減、主にプラスになるのを見越して加えるのが変動率ということです。
実は私、セミナーにおいてはそこまでは入れておりません。
理由はちょっと複雑になってしまうからです。
作成依頼があった場合は無論、入れさせていただきます。
FPの研修やテキストでは、変動率は顧客と相談して決めるものとあります。
ですが、いきなりどうしましょうと尋ねたら、
って感じになりますよね。
だから、自分なりにこれで如何でしょうか?との案を持っておくべきかと考えておりました。
では、先ず収入の変動率についてです。
もちろん、ご自身の収入について今後の増減がわかるならば、それを使えばいいかと(いつ昇進するとか、役職定年とか退職金とか)。
それだってあくまで現在価値ですから、変動率はいれた方がよろしいかと。
内閣府がとりまとめをして公表しているデーターの一つに、「県民経済計算」という項目があり、その中の一つに「県民雇用者報酬」があります(雇用者報酬は、県内と県民に分かれていますが、細かい説明は省かせていただきます)。
これは、県内に居住する雇用者への分配額、すなわちお給料(年収)であると私は解釈しております。
この雇用者とは個人事業主は含みませんが、法人の役員は含まれます。
なので、会社員の方には使えるかと。
今あるデーターで最新なのは、2018年度(平成30年度)の値です。
それによれば、一人あたりの県民雇用者報酬は以下の通りです。
青森県 390.4万円
東京都 581.1万円
全国計 483.9万円
この金額については、悲しすぎるので触れません。
問題は変動率です。
今公開されているデーターは2006年~2018年まででして、それを単純平均した増減率は以下の通りです。
青森県 +0.5%
東京都 -0.1%
全県計 +0.2%
あくまでも2006年からの増減率の単純平均でして、2018年の昨対では以下の通りです。
青森県 +0.5%
東京都 +1.8%
全県計 +1.6%
まあ、青森県の方の収入の変動率は、+0.5%でよろしんじゃないでしょうか。
(つまり、毎年プラス0.5%ずつ収入が増えるのを見込むということです。そんな増えることはないと思われるかもしれませんが、データーで見ると増えているんですね。会社にデーターを示して文句言った方がいいかもしれません。)
ちょっと話は脱線しますが、2009年の東京都の昨対は-6.9%でした。恐らくリーマンショックの影響でしょう(同年の青森は-3.1%)。
それと、北海道の2006年~2018年は+1.3%、2018年の昨対は+3.4%でした。
北海道では順調にお給料が増えているようです(北海道の方、実感ありますでしょうか?)。
次に物価変動についてです。
これはもう内閣府が公表している消費者物価指数(総合)でいいんじゃないでしょうか。
データーは月次で公表されていますが、煩雑になるので年次で見ます。
このデーターは1971年からあるので、どこからみればいいのか問題となります。
1971~2020年の増減率の単純平均 +2.45%
2011~2020年の増減率の単純平均 +0.55%
2006~2020年の増減率の単純平均 +0.34%
+2.45%だとちょっと肌感覚として高すぎるかと。
かといって日銀は一応、2%のインフレターゲットを定めているし…。
ここは+0.5%でいいんじゃないでしょうか。
(みなみに青森県の10年間の単純平均も0.5%なんで)
実は教育関連費(教育費など5項目)だけをピックアップしてみて計算してみたら、10年の単純平均で+0.1%になったんです。
これは授業料等の2020年が昨対-12.4%が影響しているかと(リモート授業が増えて施設使用料とかが免除されたから???)。
ですが、これを異常値ととらえて、やはり+0.5%でよろしいかと。
自動車等関連費の10年の単純平均は+0.5%ですので、やはりこの数字は妥当かと。
またまた脱線しますが、この物価指数って2020年を100にした場合の指数も公表されているます。おもしろかったんでちょっとだけ触れます。
あんぱん 2020年100☛2005年83.3年
つまり、あんぱんが今現在100円だったら、2005年の時は83.3円だったということですね。
なんとなく納得
宅配ピザ 2020年100☛2005年102
これも納得ですよね。
宅配ピザって最近、安くなったような気がしていました。
たばこ 2020年100☛2005年54.6
つまりたばこは、2005年に比べて値段が倍近くになっているってことです。
またたばこ税が上がるみたいなんで(2021年10月~)、さらに価格UPかと。
いずれにしろ、物価の変動率を0.5%として、これを放り込むとこうなります。
基本生活費と教育費と車両費とその他の支出が、毎年0.5%ずつ増えていくということです。
住居関連費は住宅ローンだろうが、家賃であろうが、そうそう変わらないので入れません。
(住宅ローン変動で借りている人はいれた方がいいです。)
保険料も、外貨建てじゃない限り変わらないのでいれません。
結果は大きく変わりません(分母が大きい収入が0.5%ずつ増えているから、マイナスが若干減少)。
これで色々対策を講じたら、こうなります。
長ーくなるので、説明は省きますが、要するに保険の見直しとその他支出30%削減、車の買換えを断念してカーリースにする等と、日本政策金融公庫から学資ローン借りて、マイナスをなくしました。
厳密に書けば、2036年時点で-1万です。
ここで最後、貯蓄残高について書かせていだだきます。
収入や基本生活費等が毎年0.5%ずつ増えていっても、貯蓄全額を銀行口座に置きっぱなしであれば、貯蓄のところに変動率を入れられません(入れるにしても普通預金の金利である0.01%とか)。
つまり、なんらかの運用をしていかないと、増えないということです。
ここでは、つみたてNISAのバランス型投資信託に毎月1万ずつ投資をはじめることとし、年2%ずつ増えていくと想定することにします。
(むろん、年12万拠出しても問題ないこと確認済です。なんでつみたてNISAかと書けば、流動性です。お二人のお子さんの教育費に使うことを考えれば、いつでも売れるつみたてNISAの方がいいかと。運用が不調となることも考えて、月1万のみとしました。もし、価格が30%下がっても耐えられるシミュレーションです。)
その結果、2036年の-1万が+31.1万と改善いたしました。
これでいい感じになったかと。
キャッシュフロー表を作成する際は、最初は変動率は入れなくともいいかもしれませんが、投資して運用していくのであれば、入れた方がいいかもしれません。
前に研修にて、株式はインフレに強いとの確たるデーターを見せていただきました。
つまり、物価上昇よりも、それ以上に株価は上昇してきたんです。
簡単に書けば、物価が上がれば、企業の売上も増え、その結果、株価その他が上がるということかと。
つまり、物価と運用が連動していると考えれば、物価の変動率と貯蓄の運用率は、両方いれた方がいいでしょう。
但し、運用率は現実的な数字がいいかと思われます。
最後までお読みいただき深く感謝申し上げます。
2024年2/25に物価変動率を見直しておりますので、お手数ですが、下記もご参照いただければ幸いです