先日は、

 

■ 撮影と照明

 

にて、照明の違いによる変化について紹介しました。この中では、多灯ライティングで結果が変わる事について書きましたが、バウンス光についても紹介しました。

 

 バウンス光ですが、空間内を光が回るので、

 

 

のようなセットを作り、

 

 

のような位置にスポットライトを当てて、レンダリングしてみると、

 

 

のような光になります。これは、

 

 

とも違いますし、

 

 

の光の状態とも異なります。影は出ているのですが、影自体が柔らかくなって委rことが確認できると思います。これが直接光が当たっていない時の影の状態変化になります。また、先日も書きましたが、光は反射する時に反射する対象の色の影響をそのまま与えてしまうので、

 

 

のように太陽光を使って床面に反射させた場合には、反射させた対象物の色の影響を受けてしまいます。その為、反射させると、光が拡散するので壁面などでバウンスさせると、空間に光が拡散するので、指向性のない影が出ます。その為、影の出方としてはデフューザーよりも弱い影が出ます。

 

 ちなみに、斜光をそのまま真横から当てると、

 

 

のような感じになりますが、ここでもバウンス光を使う事が出来ます。先日、 【 レフ板 】 について触れましたが、レフの効果と言うのは直接光に対してバウウンス光を返しているだけなので、実際に配置すると、影の状態が変わります。

 

 

白い壁面で光が反射しているので、右側の影だった部分が明るくなっています。

 

■ 直接光のみ                     

 

■ 直接光+バウンスによるレフ効果       

 

このように直接光を当てる場合でもレフの有無で結果が変わります。これと比較すると、

 

■ 壁バウンスによる光源              

 

が全く異なる光の状態なのが確認できます。

 

 このライティングですが、直接光もバウンスも同じライトの設定を使っているので、全く同じ条件になりますが、バウンスのほうが被写体の照度が低くなっている事が確認できます。これはソフトボックスを使う場合も同じで、デフューザーやパラソルなどを使ったバウンス光と言うのは数段分ほど照度が落ちます。その為、撮影時にはそれを織り込んで露出を決める必要があります。

 

 影の状態を柔らかくする場合、周辺を暗くして撮るのか、全体を明るくして撮るのかでライトの選択が変わりますが、その辺りは、先日書いた通りです。その為、バウンス光のみ周辺まで明るくなる特性がありますが、照明の照度は反射時に減衰しているので、使うと暗くなる特性があります。

 

 また、この二つの使い方が、単一の光源を使用していますが、カメラとは全く異なる場所に光源があります。写真の場合だとストロボを使うことになりますから、ホットシューからの電気を得る事が出来ません。その為、カメラから離れた場所の単一の光を使う場合には、ケーブルで延長するか、電波式のスレイブ発光を用いて撮影する事になります。

 

 安価なストロボでもプリ発光をコマンダーとして使用できる光学式スレイブ(アマゾンで物凄く安価で売っている中国製のストロボで簡素な作りでゲームソフトよりも安いのがありますが、この製品はホットシューで光るだけでなく、光学スレイブにも対応しています。その為、スマホだと使えるかどうか謎ですが、デジカメだとほとんどの製品がプリ発光を行ってTTLを行う仕様なので、内臓ストロボをコマンダーとして使うことで、内臓ストロボよりも照度の強いストロボの光を使う事が出来るようになっています。とは言っても安価なストロボはガイドナンバーの数値が小さいので、補助光で使うような製品ですから、メインの光源として使う場合だと、ガイドナンバーの大きなものを使うことになります。)と言う物もありますが、この場合、カメラ側からの光が入ってしまいます。

 

 その為、純粋にカメラとは違う場所からの光で撮る場合だと、ケーブルを使う方法とラジオスレイブを用いた撮影になります。

 

 この時、カメラとストロボは全く違う場所にありますから、この撮影方法を 【 オフカメラストロボ撮影 】 と言います。

 

 カメラの内臓ストロボと言うのはバッテリーの持ちも考えてガイドナンバーがかなり小さくなっていますが、このストロボのガイドナンバーと言うのは、ニコンのマクロ撮影用に三つの小型ストロボ(オリンパスのOM-D E-M5 mkIIなどについてくる上を向く事が出来る付属品のストロボと同じようなサイズのものが3つ付いた物)と同じようなガイドナンバーですから、照度が低いので、ストロボの光の量を調整して、露出で環境と合わせて使ってみると極端に酷いことにならないのですが、強い影が出てしまうという特性があります。また、ストロボを使ってそのままないぞ言うストロボのように真正面から光を当てると

 

 

のような感じになるので、機材の購入コストの意味合いが良く解らいような結果になります。この画像がカメラと同じ場所にライトを置いて光を当てている状態ですが、ストロボを実装してシャッターを切っただけだとこうなります。その為、機材で散在しても何も学ばず何も理解もせずに使うとこういう写真を量産する事になります。また、カメラがこの状態をどうにかしてくれるわけではありませんから、高いカメラと高いレンズと高いストロボを導入しても撮り方が解っていないと、ストロボを乗せてシャッターを切るだけで終わるので、こう言った光の状態の写真を量産する事しかできません。

 

 同じ位置にライトを用意して、この光を天井に当ててバウンス光を使った場合、

 

 

のようになります。これも先ほどの光源と全く同じものを使っていますが、

 

■ 正面から光を当てた場合             

 

■ 天井バウンスを使った場合            

 

のような質感の違いが発生します。この状態からカラーマネージメントでトーンカーブを使って調整すると、

 

 

のような感じになりますが、カメラで撮る場合には、少しアンダー目にとってRAW現像でトーンカーブを使って調整するか、露出を決める段階で適正露出にして撮る事になります。

 

 Blender 2.9では、

 

 

のように、レンダリング時とビューポート表示の時に、デノイザーが使用でき、IntelのCPUだとOpenImage Denoiserが使用できます。

 

 OptiXはRTXコアとTensorコアを実装したRTXシリーズ以降で効いてくるので、CUDAよりもレンダリングが高速になり、デノイザーまで使えるようになっています。その為、Ryzenシリーズ+RTXシリーズだと、OptiXが使えますし、Core iシリーズ+RTXだとこの両方が使えます。

 

 使用している環境が、初代Intel HD Graphicsを実装しているCore i5 650になりますが、Open Image Denoiserはフツーに使えました。

 

使ってみると、

 

 

のように進行していき、レンダリング用のスレッドとデノイザー用のスレッドが個別に動作する仕様になっています。この仕様だと、第10世代以降の製品だと、Core i3は8コアですし、Core i5は12コアなので、結構高速に処理をしてくれそうですが、この仕様では個別にそう言った処理をしてくれています。最新版では、レイトレーシングの計算を賢く行う機能まで入っているので、Cyclesで動画を作る上では、かなり魅力的な機能が実装されています。

 

 AMDの構成だと、今月末にRDNA2世代の発表がありますが、自社製品のRADEON Pro Renderのパフォーマンスが向上しているといい(というか、フツーはアーキテクチャが新しくなると速くなるので、高速になっているとは思います)のですが、このレンダーはリアルタイムれーちレーシングを行うビューポートレンダーなので、Cyclesとはアプローチが異なり、Eeveeの苦手分野をカバーできる仕様のレンダーになっています。

 

 その為、Blenderを使ってレンダリングをする場合だと、現在は色々なアプローチが存在し、アーキテクチャに合わせたレンダーを使う事で、レンダリング時間を短縮して高品質な映像を書き出す事が出来るようになっています。Intel Open Image Denoiserを使った場合、

 

 

のような感じになりますが、この設定も、初期のレンダーの設定になっています。その為、サンプル数は128で、分散パストレーシングではなく通常のパストレーシングを使っています。その為、レンダーの設定を調整せずに、そのままレンダリングした時の設定でこのノイズの少なさになります。

 

 これが天井バウンスですが、カメラの上のストロボを横に向けて壁面でバウンスさせると、

 

 

のように影の向きが変わるので、質感が変わります。七時用にレンダリングをすると、

 

 

な感じになりますが、ドット倍ドットで見てみると、

 

 

のようなノイズまみれの状態を、通常のレンダリングのスレッドで計sんして、デノイザーのスレッドがノイズを消しています。このノイズは静止画だと高感度撮影みたいに見えるのですが、動画にすると、ちらついて見えるので、動画を作る場合には、パストレーサーのノイズと言うのは問題があります。

 

 その為、従来はサンプル数を多くしてノイズを消すのですが、現在は、デノイザーとOptiXのような高速な処理を行う物を使って消す方法があります。と言っても、OptiXを使った場合、GPUレンダリングになるので、VRAMの少ない環境だとVRAM不足でエラーが出てBlenderごと落ちることがありますから、CUDAやOptiXやOpen-CLを用いる場合には、そう言った仕様上の問題がある事を踏まえて使うことになります。

 

 Blenderでは、CyclesやEeveeやWorkbenchのようにGPUで演算するレンダーが多くなっていますが、Cyclesを使うと、GPUのスレッド数依存の処理になるので、基本的に落ちることはないので、メモリー実装量とストレージの速度とCPUのコア数と演算性能を高くしておくと、速度が出る仕様になっています。

 

 この状態で計算すると、なぜか服の色が変わってしまったのですが、

 

 

のような質感になります。

 

 カメラのホットシューにストロボを乗せて撮影する撮影を 【 オンストロボ撮影 】 と言いますが、バウンスを使う事で全く異なる光の状態になります。

 

 今回のモデルはUNITYちゃんを使わせてもらっていますが、本来のこのモデルはもっと凹凸があります。と言うのも、このモデルはアルベドのみを適応しているので、PBRで使用するテクスチャーの中の色の情報だけを使用して、マテリアルの調整を全く行っていない物になります。その為、プリンシプルBSDFを追加して、ベースカラーにテクスチャーを当てただけの状態でレンダリングしていますが、こんな感じの質感の違いが出ます。

 

 

回の作業環境                   

 

  ■ Core i5 650

  ■ H55M-Pro 

  ■ DDR 1333 2GBx2+1GBx2(DUAL CH)

  ■ Quadro K620(PCI Express x16 【GEN2動作】)

  ■ SATA HDD

  ■ WINDOWS 10 x64 (1909)

 

  ■ Blender 2.90 (x64) 

     https://www.blender.org/

 

  ■ Gimp 2.10.18 (x64)

     https://www.gimp.org/