メリークリスマス!
クリスマスってことで、書いてみました。
遊園地が舞台ですが、ディ○ニーランドみたいなのを想像しないでください←
地方の古い遊園地のイメージでwww
お母さんに手を振った。
にっと笑って、走り始める。
息が白く染まる。
喉がくっついた。
それでも少年は走る。
約束した場所へ。
イルミネーションの輝く道を、駆け抜ける。
甘い匂いが漂う夜道を。
だって、約束したんだ。
僕だけのサンタさんと。
あの遊園地で会おうって。
ほら、見えてきた。
温かい光。
どこか懐かしいメロディ。
入口の前に立っている、ひときわ目立つ赤い服。
僕はその人に抱きついた。
「お父さん!」
「おお! ひかる、久しぶりだなあ」
そう言って僕を抱っこするお父さん。
ちょっと抵抗してみせる僕。
「重くなったなあ」
「もう抱っこで喜ぶ年頃じゃないもん」
お父さんは困ったように笑う。
「それじゃあもう下ろそうか」
でも、それはいや。
だからお父さんの首にぎゅって抱きついた。
お母さんとは違うにおい。
僕とも違うにおい。
「く、苦しい!」
お父さんのうめき声に、僕は腕を緩めた。
でも、そこにはケロッとした顔のお父さん。
僕はちょっと怒ってみせた。
もう少し、ぎゅってしたかったのにな。
「さて、ひかる。夢の世界へようこそ」
おとうさんが遊園地へ誘う。
僕はお父さんの腕から降りて、手をつないだ。
本当はお母さんも一緒に来るはずだった。
でも、お母さんは嫌だって。
本当は行きたいくせに。お母さんも遊園地好きなはずなのに。
僕をよくここへ連れてくるはずなのに。
「ひかる、何に乗りたい?」
「うーん……。ジェットコースター!」
お母さんと一緒だと乗せてもらえないからね。
そう付け加えると、お父さんは目を大きくした。
ここにお母さんと来るのか?
たまに。でも、お母さんケチなんだ!
だって、ジェットコースターもお化け屋敷もダメって言うから。
そうか。
お父さんはさっきの、困ったような笑顔を浮かべる。
僕は何だか怖くなって、つないだ手に力を入れた。
よし、じゃあジェットコースターまで競争!
お父さんの声。手が離れた。
「あ、ずるい!」
僕は背中を追いかけた。
どんどんスピードをあげるお父さん。
でも、ジェットコースターはすぐそこにあるはず。
背中が見えなくなった。
ジェットコースターの前でお父さんを探す。
「お父さん? おとーさん!」
いない。
周りには知らない顔ばかりだ。
僕は服の裾をぎゅっと掴んだ。
鼻の奥がツンとする。
「泣き虫のトナカイさん、サンタさんのソリが出発しちゃうよ」
後ろから聞こえた声。
お父さん!
頭に付けられたのは、トナカイのつの。
お父さんの頭にはサンタさんの帽子。
「さあ、あのソリでサンタさんを連れてってくれ」
「了解!」
列に並ぼうとした僕の手を引っ張って、列の前に連れて行く。
お父さん、最後に並ばなきゃ。
「お父さんはサンタさんだぞ? ここで並んでいたら世界中の子供たちにプレゼント配る時間がなくなっちゃうよ」
近くにいた小さな女の子がクスクス笑う。
その隣にいるその子のお母さんも。
「サンタさん、前に並んで」
女の子がいう。
「じゃあ、優しい女の子にクリスマスのおまじない。手を出して、目をつぶって」
女の子は素直に手を出し、目を閉じた。
お父さんがデタラメな呪文を唱えると、その子の手にいっぱいのあめ玉を落とした。
「わあ! ありがとう!」
にっこりと笑う女の子。
こっちに向いて、優しいサンタさんを連れていくトナカイさん? ときく。
トナカイは胸を張る。
サンタさんを連れて行くトナカイは偉いんだぞ!
みんなの憧れなんだ。
あの子はまたクスクスと笑った。
ジェットコースターの順番がくる。
なんと、一番前。
怖いけど、お父さんがいるから。
となりを見るとお父さんが手を握ってくれた。
「もう、大丈夫か?」
まだ足がガクガクしてる。
あのあと、僕は怖くて泣いてしまった。
鼻水まで流して。
お父さんが優しく背中をなでて。
まだしゃっくりみたいなのがでてる。
「まだ早かったな。もう遅いし、あの観覧車に乗ろうか」
お父さんは僕を連れて、観覧車に向かう。
お母さんも、帰る前に必ずあの観覧車に乗る。
何でかなんて聞いたことないけど。
ゆっくり上がっていくゴンドラ。
あの怖いジェットコースターの遥か上に。
遠くまで夜の光が連なってる。
昔な、ここでお母さんにプロポーズしたんだよ。
お父さんはポツリといった。
僕はお父さんを見た。
きっとお父さんも同じなんだ。お母さんと。
ゴンドラをおり、息をついた。
「帰ろうか」
……うん。
もう、お父さんと離れる時間。
出口に歩いていくと、そこにお母さんがいた。
見合わせる二人。
言葉はない。
どこか懐かしいメロディ。
「……お父さん、もう一回、観覧車乗ろ? お母さんも」
お父さんは照れくさそうに頭を掻いた。
そして、お母さんを見る。
お母さんは口をとがらせて、一回だけよと。
優しいサンタさんと泣き虫のトナカイは、素直じゃないミスサンタと出会いました。
そのあとのお話は、僕だけのひみつ。
(あとがき)
はい、いかがだったでしょうか。
初めてPCから投稿しました。
やっぱりこっちだと長くなっちゃうwww
最近遊園地行ってないなーと思いながら書きましたw
思い出の遊園地は潰れちゃったし←
それに、カップルで過ごすだけがクリスマスじゃないし←
ではでは、良いクリスマスを!