こうすけこと、河原孝輔は中学三年。
このくらいの年になると、男の子にも女の子にも「分類」ができる。はっきりこうだとは言えないものの、派手、普通、おとなしいくらいに分けられる。誰がどうと決めたわけでもないのに。
孝輔はそのなかでも周りから敬遠されがちなおとなしい方の人間ではあった。
が、誰かさんに対してはぶっきらぼうながらも普通に話した。
もちろんその誰かさんと言うのは……。

「孝輔ーっ!」

廊下に響き渡る声。今年入ってきた一年生はまず、この声のでかさに驚いていた。その正体……。

ドタッと派手な音がした。
廊下側の席だからよく見える。
倒れている木下茜。

「いったぁ……」

僕は小さくため息をつくと廊下に出た。

「おい、いっつも同じとこでこけんなよ」

孝輔のいる教室へいつもこうやって走ってくるくせに、廊下のちょっとした凹凸につまずいてこけてしまう。

「こけたくてこけたんじゃないもん」

そう言いながら赤くなっている膝を触る茜。

「立てよ。恥ずかしいだろうが」

「手ー貸してー」

今度は大きくため息をつく。でも、手は貸してやる。

「うっしょ」

そう言いながら立ち上がる茜に、すかさず。

「おばあちゃんか、お前は」

「最近腰が重いんだもん。あ、ねぇ『1Q84』読み終わった?」

「まだ」

「はやく読んでよ!次わたしが借りるんだから」

茜の読みたい本を先に借りてしまうのは、相変わらず。

「うそ。読み終わった。今から返しに行くけど」

「行く!」

一緒に行く?と訊く前に勢いよく言われた。

元気なのも変わらない。



図書室にて、本を返す。
それからすぐに今週の受付当番に声をかけた。
茜は自分の好きな作家さんの本棚に一直線。

「あの、先週予約してたんですけど」

当番の子はたまに見る二年生の女の子。
おとなしそうで清楚。いわゆる、女の子らしいってやつ。
茜とは正反対。

「あ、二組の河原孝輔さんですね?」

「はい」

「来週の水曜までです」

それを受け取り、茜のいる本棚に向かった。

「ねぇ、『流星の絆』って面白かった?」

大体、茜が興味を持つ本は制覇してる。

「あぁ。ドラマやってたよな」

「へえ。じゃあ次はこれにしよ」

そのあとはフリースペースで、借りた本を読む。
でも今日は茜が病院に行く日で、昼で早退するから僕は教室に戻る。
単なる喘息らしいけど。

自分の机につき、表紙を開いた。
そこには小さな紙切れ。

「明日の昼休み、二階の北側階段にきてください」

北側階段。
この学校でいう、告白スポット。
……茜の仕業か。

たまに手の込んだイタズラを仕掛ける茜が、また新しく思い付いたんだろう。





昼休み。茜のイタズラを成功させてやるために、仕方なく、そこに向かった。

でもそこにいたのは、茜じゃなかった。
受付当番の女の子。

「よかった。来てくれて」

ん? 茜のイタズラじゃない? え?
頭のなかは混乱でショート寸前。

「あの、私、前から河原先輩のこと」

「ちょっと待った!」

頬を赤くしながらも、きょとんとした表情のその子。

僕はお構いなしに続ける。

「これは君が?」

ポケットから取り出した紙。小さくうなずくその子。

「じゃあこれ本当に茜のイタズラじゃないんだ……」

何かホッとしたような、もやもやするような変な感じがする。
茜ならやりかねないと思ったのにな。

「木下先輩とは付き合ってないんですよね?」

「まぁ……。でも好きな人いるから」

僕はそう言って立ち去った。人生で初めて告白されたけど、振るのって案外つらいかも……。

え? 振った?
彼女できるかもしれないチャンスに、僕振った?
あとから正気に戻る。
僕、何て言った?
好きな人がいる?
ちょ、誰だよ。好きな人って。自問自答というか、もうさっきから頭回らねぇ。

そのとき、廊下に茜の姿が。勢い込んで走ってきて、目の前にたつ。その目は心なしか潤んで見えた。

「孝輔なんか知らない!大嫌い!」

……は?
本日二度目の大混乱。

つか何で泣いてんだよ。
もうわけわかんねぇ。

今までケンカはいくらかあったけど、あいつ絶対泣かなかった。
じゃあ何で?



その日から、孝輔と茜の間には少しずつ、距離ができていった。

しかし、腐れ縁とはよく言ったもので、同じ高校に進学していた。



(あとがき)

お久しぶりですっ!
アップするの忘れてました←

しかし、年齢上がると心情の書き方くそやなー。
中学生の心情って一番書きにくい気がするのは私だけか。

ひょんなことから距離ができていくのはよくあること。

けど、二人はそのままなのかな?
もう一度仲良くならないのかな?

どうしてやろうこの二人←
残すは高校生のみ!
やったりますです(・∀・)w

では!