グルッぽ企画「お題小説」
お題はこちら!
「喫茶店」「過去」「幼なじみ」



夕暮れの町。僕は幼なじみの経営する喫茶店に向かっている。日中には夏日並みの暖かさになるにも関わらず、夕暮れはさすがにひんやりとした空気が流れていた。
細い路地を行った先にそれはあった。懐かしい。高校の頃は帰りによくここにたまったもんだった。アイツの親父さんが亡くなってから、アイツはここを続けたいって思うようになったんだよな。

カランカランと喫茶店特有とも言える音。

「いらっしゃい」

アイツは僕だとわかると驚いた顔をした。

「え? ゆうき? ほんまにゆうき?」

「おう。ほんまにゆうきや。お前は変わらんなぁ」

「うっさいわ。もしかして今日の同窓会来るんか」

「そのために帰って来たんやけど」

そう言いながらカウンター席に腰を下ろす。閉店間近なのもあり、客は僕だけだった。

「マジで? うわ、めっちゃ嬉しいわー」

何年か会ってなかったけど、こうしてすぐに打ち解けるのはやっぱり付き合いが長いからだろうか。

「な、ちょっと早いけど卒アル見ん? 準備してあるからすぐ見れるで」

「見たい。準備とかお前にしてはやるやん」

「お前にしてはは余計じゃ!」

アイツは奥に消えると、ややもしないうちにぶあついそれをもって帰ってきた。
僕の隣に座ったアイツは、いそいそと卒アルを箱から出した。
ぺりっという音が、どれくらいの間それが開かれていなかったかを語る。

そこに写るのはどれも覚えのない顔だった。あどけなさも感じる、写真にアイツはいちいち「うわー」だの「可愛い」だのコメントする。
そして、開いた次のページ。
僕にも覚えのある顔があった。

玉原ゆりな

もう一人の幼なじみ。そして、僕の元カノ。

「あ、ゆりなだ。いやー可愛い! いや、べっぴんさん」

「ゆりなは今日来るん?」

「何? 気になっちゃう?」

からかうような口調に僕は半ば口を尖らせる。

「いや、別に気になる訳じゃないけど」

それでも語尾は小さくなっていった。

「わかんないってさ。アイツ、地方の大学行ってからあんま連絡しなくなったから」

「ふーん」

少しでも期待を寄せてしまった自分が恥ずかしい。僕は卒アルを閉じた。
席から立ち上がり、そろそろ行くかと呟いた。

「おう。店閉めるからちょっと待っててー」

アイツに同窓会セットという名の荷物をもたされ、外で待っていた。
もう一度、卒アルを開く。ゆりな変わったかな。今日、来たらいいのに。

「あの……」

細い声に顔をあげる。
そこには写真と変わらない笑顔のゆりなの姿があった。

「やっぱりゆうくんだ。久しぶり」

「ひ、久しぶり」

ゆりなは少し大人びて、長かった髪は肩のあたりまで短くなっていた。

「あー! ゆりなじゃん!」

店脇の路地から大きい声が飛ぶ。アイツもまた文字通り飛んできた。

「久しぶり! 今から行くん?」

「うん」

「じゃあ三人で行こう!」

アイツが張り切ってそう言うと、僕とゆりなは顔を見合わせた。

あの頃と何も変わっていない。
それが合図のように、二人吹き出した。

「おいおい、笑ってんじゃねえよ」

そう言ってアイツは怒る。それでも笑いはとまらなかった。

まるであの頃と変わらない。
道行く三人の影。



(あとがき)

久しぶりに企画に参加いたしました。
楽しかったです。(о´∀`о)
幼なじみっていいですよねw
自分も先日同窓会に行ってきたので、同窓会ネタになっちゃいましたけど。
過去って言葉は直接は出てきてないですけど、感じてもらえたかな?( ´_ゝ`)
ではでは(^-^)/


Android携帯からの投稿