今回は「大人」「涙」「プレゼント」です。
第二弾すっとばかして第三弾です。
私は所謂サンタクロースからプレゼントたるものをもらったことがない。
それは子供だから貰える、言わばステータスのようなもの。
だが私にはそれがなかった。
屁理屈をいうつもりではない。
ただあの頃は虚しかっただけだ。
確かにウチは貧乏だった。
母子家庭だったし、子供は三人もいた。弟、妹のために、私は我慢するしかなかった。
*
「もうすぐ新入社員が入ってきますね、先輩!」
声を掛けてきたのは、後輩の眞鍋。爽やかな容姿と性格の良さから周りの女性社員が目をつけている。
彼の声かけにも、そうねとだけ返しておく。
「いやー。遂に僕も先輩になるんですよ、カ・オ・ル先輩」
「雑談はいいから仕事しろ、眞鍋」
私はそう言っては彼をここのお荷物にしないように努めている。
「はーい。先輩に名指しされたからやりまーす」
本当に調子のいいやつ。
そんな眞鍋の誘いで、仕事仲間と飲み会に行くことになった。
普段はあまりそういう場所に出向いたりしない。
しかし、今日は眞鍋がどうしてもと懇願したから来た。
飲み会は順調に進む。
私はいてもいなくても同じようにしか見えないのだが。
枝豆をつまみにチューハイに口をつける。
そこへ、ほろ酔いの眞鍋がやってきた。
「センパーイ、飲んでますかー?」
にへっと表情を崩す眞鍋。
その手にはビール。
「あんまり飲みすぎるなよ、眞鍋」
「わかってますよー」
言ってるそばからジョッキに口をつけ、ゴクリと喉をならした。
「先輩、僕もね、一応男なんですよ」
「知ってる」
「好きな人くらいいてもおかしくないでしょ?」
「へー。いないんだ」
「ちょ、先輩。僕、いますから、好きな人」
そこで眞鍋は目を伏せた。すべての感情がシャットダウンしたようだった。
シラフに戻ったとしても、こんな顔はしない。
「でも、その人。言い寄られてもきっとなびかないだろうし、子供扱いされてるし」
眞鍋は声のトーンを落とした。飲み会の騒がしさ。耳をすませなきゃ聞こえないほどに。
「僕、昔好きな人にフラれたことがあって。しかもその子、二歳しか変わらないのにすごい大人だったんです。そう見えただけかもしれないんですけど。……フラれる時に『あなたは何かしてもらえることが当たり前だと思ってる。そんな子供は嫌い』だって言われて」
「……ひどいな」
「いえ、確かにその通りだったし。この年になって、やっと自分の力で何とかすることの大変さがわかったというか。でも、その言葉が引っ掛かって告白できないんですよね」
眞鍋は苦笑を浮かべ、残りのビールを飲み干した。
「私はああ言ったけど、相手の子の気持ちがわからなくはないかな。……私も小さい頃に我慢をたくさん経験したから」
「そうなんですか?」
私は憧れの赤いおじいさんの話をした。家庭のことはあまり踏み込まれたくなかったけど、気づけば言葉がするりと出てきていた。
話を聞き終えた眞鍋は、しばらくして言った。
「先輩、ありがとうございます」
その時の眞鍋はもう、いつもの眞鍋だった。
*
次の週、月曜日。
すでにデスクについていた私に、眞鍋は声をかけた。
「おっはよーございます! カオル先輩」
「おはよう」
「先輩、ちょっと来てくれます?」
「急用なの?」
「そうでーす」
ため息をつき、眞鍋について行く。しかし予想外だった。行き先は屋上。
「先輩」
振り返った眞鍋は、いつになく真剣そのものだった。
あの飲み会での眞鍋を思い出す。
「今は春で、サンタクロース来ないですけど……」
何が言いたい? とはさすがに言えず、私は首を傾げた。
「よかったら、眞鍋クロースからのプレゼント受け取ってください」
「……え?」
私は呆気に取られた。差し出された手にはプレゼントはおろか、何もないのだ。
「あーもう! 先輩鈍い!」
赤面して手を引っ込めた眞鍋。
もしかして、自分がプレゼントだって言いたいわけ?
思わず吹き出す。
笑いは止まらず、眞鍋はフイッと向こうを向いてふてくされてしまった。
「先輩は鈍いです。こっちがどれだけ苦労してるか知らないんだから。確かにこのアイディアはないかなと思いましたけど、そこまで笑わなくたっていいじゃないですか」
私はあまりに笑いすぎて出てきた涙を拭い、眞鍋に近づいた。
「こんな後輩がプレゼントなんて、まったく……。眞鍋クロースは何考えてんの」
眞鍋はこちらへ向き直り、にへっと表情を崩した。
「先輩が大人になったってことじゃないですか?」
「ちょっと、それどういう——
意味よ
眞鍋は得意気ににへっと笑った。
「びっくりしたでしょ? サプライズプレゼント、嬉しい?」
「……バカ」
(あとがき)
すみませーん。
いろいろやってしまいましたー。
社会人の恋ってありですよね。
しかも先輩と後輩。
いや、妄想が暴走しそう( ゜∀゜)w
とは言え、恋愛物苦手なんですけど。
書いたあとの後悔が半端じゃないし、しんどいっすw
でも書くのは簡単(゜_゜)ぇ
あ、涙は笑いこけて出る涙にしましたー。
悲しいときに流す涙だけが、涙ってわけじゃないですよね((念押し
深夜に書いたため、誤字等あったらすみません。
ではでは(@^^)/
P.S.
帰り道にて。
「先輩が大人になったってどういう意味?」
「サンタクロースからの卒業……ですかね?」
「へええ。じゃあ眞鍋クロースからも卒業しよ」
「ちょ、先輩!?」
「鈍いって言った仕返し」
「そんなあ」
「眞鍋、今週末も飲みに行く? 今度は二人で」
「いいんですか!?」
「仕事が片付けばね」
「全力でやります!」
終わり
第二弾すっとばかして第三弾です。
私は所謂サンタクロースからプレゼントたるものをもらったことがない。
それは子供だから貰える、言わばステータスのようなもの。
だが私にはそれがなかった。
屁理屈をいうつもりではない。
ただあの頃は虚しかっただけだ。
確かにウチは貧乏だった。
母子家庭だったし、子供は三人もいた。弟、妹のために、私は我慢するしかなかった。
*
「もうすぐ新入社員が入ってきますね、先輩!」
声を掛けてきたのは、後輩の眞鍋。爽やかな容姿と性格の良さから周りの女性社員が目をつけている。
彼の声かけにも、そうねとだけ返しておく。
「いやー。遂に僕も先輩になるんですよ、カ・オ・ル先輩」
「雑談はいいから仕事しろ、眞鍋」
私はそう言っては彼をここのお荷物にしないように努めている。
「はーい。先輩に名指しされたからやりまーす」
本当に調子のいいやつ。
そんな眞鍋の誘いで、仕事仲間と飲み会に行くことになった。
普段はあまりそういう場所に出向いたりしない。
しかし、今日は眞鍋がどうしてもと懇願したから来た。
飲み会は順調に進む。
私はいてもいなくても同じようにしか見えないのだが。
枝豆をつまみにチューハイに口をつける。
そこへ、ほろ酔いの眞鍋がやってきた。
「センパーイ、飲んでますかー?」
にへっと表情を崩す眞鍋。
その手にはビール。
「あんまり飲みすぎるなよ、眞鍋」
「わかってますよー」
言ってるそばからジョッキに口をつけ、ゴクリと喉をならした。
「先輩、僕もね、一応男なんですよ」
「知ってる」
「好きな人くらいいてもおかしくないでしょ?」
「へー。いないんだ」
「ちょ、先輩。僕、いますから、好きな人」
そこで眞鍋は目を伏せた。すべての感情がシャットダウンしたようだった。
シラフに戻ったとしても、こんな顔はしない。
「でも、その人。言い寄られてもきっとなびかないだろうし、子供扱いされてるし」
眞鍋は声のトーンを落とした。飲み会の騒がしさ。耳をすませなきゃ聞こえないほどに。
「僕、昔好きな人にフラれたことがあって。しかもその子、二歳しか変わらないのにすごい大人だったんです。そう見えただけかもしれないんですけど。……フラれる時に『あなたは何かしてもらえることが当たり前だと思ってる。そんな子供は嫌い』だって言われて」
「……ひどいな」
「いえ、確かにその通りだったし。この年になって、やっと自分の力で何とかすることの大変さがわかったというか。でも、その言葉が引っ掛かって告白できないんですよね」
眞鍋は苦笑を浮かべ、残りのビールを飲み干した。
「私はああ言ったけど、相手の子の気持ちがわからなくはないかな。……私も小さい頃に我慢をたくさん経験したから」
「そうなんですか?」
私は憧れの赤いおじいさんの話をした。家庭のことはあまり踏み込まれたくなかったけど、気づけば言葉がするりと出てきていた。
話を聞き終えた眞鍋は、しばらくして言った。
「先輩、ありがとうございます」
その時の眞鍋はもう、いつもの眞鍋だった。
*
次の週、月曜日。
すでにデスクについていた私に、眞鍋は声をかけた。
「おっはよーございます! カオル先輩」
「おはよう」
「先輩、ちょっと来てくれます?」
「急用なの?」
「そうでーす」
ため息をつき、眞鍋について行く。しかし予想外だった。行き先は屋上。
「先輩」
振り返った眞鍋は、いつになく真剣そのものだった。
あの飲み会での眞鍋を思い出す。
「今は春で、サンタクロース来ないですけど……」
何が言いたい? とはさすがに言えず、私は首を傾げた。
「よかったら、眞鍋クロースからのプレゼント受け取ってください」
「……え?」
私は呆気に取られた。差し出された手にはプレゼントはおろか、何もないのだ。
「あーもう! 先輩鈍い!」
赤面して手を引っ込めた眞鍋。
もしかして、自分がプレゼントだって言いたいわけ?
思わず吹き出す。
笑いは止まらず、眞鍋はフイッと向こうを向いてふてくされてしまった。
「先輩は鈍いです。こっちがどれだけ苦労してるか知らないんだから。確かにこのアイディアはないかなと思いましたけど、そこまで笑わなくたっていいじゃないですか」
私はあまりに笑いすぎて出てきた涙を拭い、眞鍋に近づいた。
「こんな後輩がプレゼントなんて、まったく……。眞鍋クロースは何考えてんの」
眞鍋はこちらへ向き直り、にへっと表情を崩した。
「先輩が大人になったってことじゃないですか?」
「ちょっと、それどういう——
意味よ
眞鍋は得意気ににへっと笑った。
「びっくりしたでしょ? サプライズプレゼント、嬉しい?」
「……バカ」
(あとがき)
すみませーん。
いろいろやってしまいましたー。
社会人の恋ってありですよね。
しかも先輩と後輩。
いや、妄想が暴走しそう( ゜∀゜)w
とは言え、恋愛物苦手なんですけど。
書いたあとの後悔が半端じゃないし、しんどいっすw
でも書くのは簡単(゜_゜)ぇ
あ、涙は笑いこけて出る涙にしましたー。
悲しいときに流す涙だけが、涙ってわけじゃないですよね((念押し
深夜に書いたため、誤字等あったらすみません。
ではでは(@^^)/
P.S.
帰り道にて。
「先輩が大人になったってどういう意味?」
「サンタクロースからの卒業……ですかね?」
「へええ。じゃあ眞鍋クロースからも卒業しよ」
「ちょ、先輩!?」
「鈍いって言った仕返し」
「そんなあ」
「眞鍋、今週末も飲みに行く? 今度は二人で」
「いいんですか!?」
「仕事が片付けばね」
「全力でやります!」
終わり