昔から多く知られてきた悪魔という存在。では一体お前たちは悪魔の何を知っているというのか。
おれの名はいずれ知ることになるだろう。
いいか、悪魔(わかりやすさからこう言うが、おれはこう呼ばれるのが大嫌いだ)は本来人間から恐れられるべき存在であると同時に、敬われるべき存在である。
世界中の建造物を建築したのはこの悪魔たちだ。
(おれが建設した中で有名なのはハギアソフィアだろうな)
人間の文化財などアホらしい。あれらはすべて、人間に屈せられた悪魔が建設したものだ。
おい、屈せられたで笑ったやつ。
お前は〈雷の針〉や〈溶岩の鞭〉などを受けたことがあるか?
おれたち悪魔は、いわゆる魔術師のお仕置きに屈する。
地球に来るだけで体がボロボロになるって言うのに、そんなものを受けてみろ。
素直に従おうってなるだろう。
(詳しくは言わないとしよう。気分が悪くなる読者だっているだろうからな)
ただ、やつらが少しでもしくじればこっちは自由に動け、やつらを食い殺すことができる。
さて、本題だ。
今おれは地球の誰か(おそらく魔術師)に召喚されている。
全身にピリピリと痺れが走る。嫌な痛みだ。
またこきつかわれるのだろうから。
魔方陣に立っていたのは、少年だった。
額にかかる黒髪はやわらかくカールしているものの、汗で濡れていた。
ひょろりとした細っこい体。
おれたちのいる世界に時間という概念も縛りもない。
今は一体何世紀だろうか。
少年は風変わりな格好をしている。ま、人間の着るものなんか風変わり以外の何物でもないがな。
ん? おれか?
おれはアジアの豊かな黒髪の美女になってたけど。やつにはちょっと早すぎたかもな。
少年は歯をガチガチ鳴らして、肩で短く息をしていた。
悪魔を呼び出すことに慣れていない証拠だ。
しかし、ミスは見つからない。
何ともムカつく野郎だ。
初心者のクセにおれみたいなレベルの高い悪魔を呼び出して。
(おれはレベルが高いとは言え、敵わない相手もいる。例えばジュカ、ヴァリン、名前も知らない黒い影のやつ)
お、おれに話しかける勇気がやつに湧いたようだ。
「お、お前に命令を下す」
出たよ。魔術師特有の押さえつけるような言い方。
「あらあら。あなたは自分の召喚した悪魔の功績すら知らないの?」
アジア系の美女は長い髪をもてあそびながら言った。
魔術師ってえのは奇怪な姿の悪魔に慣れてるせいか、人間らしいやつにはうろたえる。
少年は目を床に這わせ、乾いた唇をなめた。
「命令を下す」
あーあ。一番タチの悪いやつだ。面白くない。
女は目の下が黒くなり、犬歯が伸びた。舌は二つに裂け、真っ赤な唇をなめる。
「実力のないやつに従う気はないわ」
「黙れ。次にその口を開けば〈雷の針〉だ」
少年は落ち着きを取り戻し始めた。
おれにとってはよくない兆候だ。
「おい、話を聞けよ」
「黙れって言っただろ。命令を下す。この窓の先に広場が見えるだろ? そこに花売りの女の子がいる」
「その子にラブレターでも渡して来いって? アホらしい。それくらい自分で行けよ。おい、その口を開くな。〈雷の針〉はごめんだ。いいか、気持ちってえのは自分で伝えて初めて伝わるもんだ。怖かろうが何だろうが、男には勇気を出さなきゃいけない時があるもんだ。何? 違う? おい、早く言えよ」
「お前が言わせなかったんだろ。その減らず口を閉じろ、悪魔。うるさい、聞け。彼女はある魔術師から狙われてる。彼女を守ってほしい」
美女の姿は崩れ、ふてくされた表情の青年になった。亜麻色の短髪、オリーブ色の瞳。街を歩けば、大半の女の子が振り返るような美青年だった。
「いつまで?」
「……僕がその魔術師を殺すまで」
「は?」
おれは呆気にとられた。
何言ってんだ、こいつは。
普通逆だろ。
おれに魔術師を殺せって命令するだろ。
おれがそう言ったら、やつは曖昧に微笑んだ。
やつは笑う余裕さえ出てきたようだ。
「お前、魔術師なら知ってるだろ。悪魔は主人が死んだらずっとその命令に囚われ続けるんだって」
「知ってる。だからお前が守るんだ」
ふざけんな!
おれは嫌だ! 絶対に!
そう言おうとしたら魔方陣がピリピリし始めた。
〈雷の針〉だ。
おれは舌打ちすると魔方陣から消えた。
(あとがき)
構想中の話が3つほどたまってるんですけど、そのひとつの走り書き的な←
とある悪魔の過去です。
前に書いたプロットと繋がってるけど、同じ悪魔じゃないです。
名前も後々。
中編、SFファンタジーも同時進行で書き出せたらいいなと思いつつ、実行できない日々。
そのうちあげますので。
あと、この悪魔たちのお話の本編もしっかり組み立ててそのうちあげますので←
よろしくお願いします(´∀`)
おれの名はいずれ知ることになるだろう。
いいか、悪魔(わかりやすさからこう言うが、おれはこう呼ばれるのが大嫌いだ)は本来人間から恐れられるべき存在であると同時に、敬われるべき存在である。
世界中の建造物を建築したのはこの悪魔たちだ。
(おれが建設した中で有名なのはハギアソフィアだろうな)
人間の文化財などアホらしい。あれらはすべて、人間に屈せられた悪魔が建設したものだ。
おい、屈せられたで笑ったやつ。
お前は〈雷の針〉や〈溶岩の鞭〉などを受けたことがあるか?
おれたち悪魔は、いわゆる魔術師のお仕置きに屈する。
地球に来るだけで体がボロボロになるって言うのに、そんなものを受けてみろ。
素直に従おうってなるだろう。
(詳しくは言わないとしよう。気分が悪くなる読者だっているだろうからな)
ただ、やつらが少しでもしくじればこっちは自由に動け、やつらを食い殺すことができる。
さて、本題だ。
今おれは地球の誰か(おそらく魔術師)に召喚されている。
全身にピリピリと痺れが走る。嫌な痛みだ。
またこきつかわれるのだろうから。
魔方陣に立っていたのは、少年だった。
額にかかる黒髪はやわらかくカールしているものの、汗で濡れていた。
ひょろりとした細っこい体。
おれたちのいる世界に時間という概念も縛りもない。
今は一体何世紀だろうか。
少年は風変わりな格好をしている。ま、人間の着るものなんか風変わり以外の何物でもないがな。
ん? おれか?
おれはアジアの豊かな黒髪の美女になってたけど。やつにはちょっと早すぎたかもな。
少年は歯をガチガチ鳴らして、肩で短く息をしていた。
悪魔を呼び出すことに慣れていない証拠だ。
しかし、ミスは見つからない。
何ともムカつく野郎だ。
初心者のクセにおれみたいなレベルの高い悪魔を呼び出して。
(おれはレベルが高いとは言え、敵わない相手もいる。例えばジュカ、ヴァリン、名前も知らない黒い影のやつ)
お、おれに話しかける勇気がやつに湧いたようだ。
「お、お前に命令を下す」
出たよ。魔術師特有の押さえつけるような言い方。
「あらあら。あなたは自分の召喚した悪魔の功績すら知らないの?」
アジア系の美女は長い髪をもてあそびながら言った。
魔術師ってえのは奇怪な姿の悪魔に慣れてるせいか、人間らしいやつにはうろたえる。
少年は目を床に這わせ、乾いた唇をなめた。
「命令を下す」
あーあ。一番タチの悪いやつだ。面白くない。
女は目の下が黒くなり、犬歯が伸びた。舌は二つに裂け、真っ赤な唇をなめる。
「実力のないやつに従う気はないわ」
「黙れ。次にその口を開けば〈雷の針〉だ」
少年は落ち着きを取り戻し始めた。
おれにとってはよくない兆候だ。
「おい、話を聞けよ」
「黙れって言っただろ。命令を下す。この窓の先に広場が見えるだろ? そこに花売りの女の子がいる」
「その子にラブレターでも渡して来いって? アホらしい。それくらい自分で行けよ。おい、その口を開くな。〈雷の針〉はごめんだ。いいか、気持ちってえのは自分で伝えて初めて伝わるもんだ。怖かろうが何だろうが、男には勇気を出さなきゃいけない時があるもんだ。何? 違う? おい、早く言えよ」
「お前が言わせなかったんだろ。その減らず口を閉じろ、悪魔。うるさい、聞け。彼女はある魔術師から狙われてる。彼女を守ってほしい」
美女の姿は崩れ、ふてくされた表情の青年になった。亜麻色の短髪、オリーブ色の瞳。街を歩けば、大半の女の子が振り返るような美青年だった。
「いつまで?」
「……僕がその魔術師を殺すまで」
「は?」
おれは呆気にとられた。
何言ってんだ、こいつは。
普通逆だろ。
おれに魔術師を殺せって命令するだろ。
おれがそう言ったら、やつは曖昧に微笑んだ。
やつは笑う余裕さえ出てきたようだ。
「お前、魔術師なら知ってるだろ。悪魔は主人が死んだらずっとその命令に囚われ続けるんだって」
「知ってる。だからお前が守るんだ」
ふざけんな!
おれは嫌だ! 絶対に!
そう言おうとしたら魔方陣がピリピリし始めた。
〈雷の針〉だ。
おれは舌打ちすると魔方陣から消えた。
(あとがき)
構想中の話が3つほどたまってるんですけど、そのひとつの走り書き的な←
とある悪魔の過去です。
前に書いたプロットと繋がってるけど、同じ悪魔じゃないです。
名前も後々。
中編、SFファンタジーも同時進行で書き出せたらいいなと思いつつ、実行できない日々。
そのうちあげますので。
あと、この悪魔たちのお話の本編もしっかり組み立ててそのうちあげますので←
よろしくお願いします(´∀`)