団塊世代開業医の漢方な日常-笠


録画していた山田洋次監督の『家族』を見ました。
長崎県の小さな島を離れて北海道の開拓村に引っ越しをする一家の姿をドキュメンタリー風に撮った映画で、ちょうど大阪の万博の頃の話です。
もう40年以上前、随分昔です。

井川比佐志と倍賞千恵子の夫婦が二人の子供と笠智衆の父親を連れて旅をします。
途中、兄の前田吟がいる福山にも寄ります。笠さんは同居を長男の前田吟さんに断られて、
二男夫婦と一緒に北海道に行くことになりますが、途中、東京で幼い娘が病死します。
北海道につくまでが波乱万丈です。

井川さんも前田さんも演技が上手だし、若いころの倍賞さんは、綺麗です。
皆さん存在感がありますが、中で一番目立つのが、父親役の笠智衆さん。
決して芝居上手な感じではなくて、淡々とした語り口。背筋がシャキッとして、
一本筋の通った明治の男と言う感じです。

笠さんは、32歳から老け役をされていました。
若い方には、寅さんシリーズの「御前様」としておなじみでしょうが、
生家は浄土真宗本願寺派のお寺さんです。
2000年のキネマ旬報による「20世紀の映画スター・日本編」で男優部門の5位にランクされている隠れた人気男優です。高倉健さんが演技には人柄が出る、というようなことを言っておられましたが、笠智衆さんはまさに人柄、存在そのもので演技されている感じです。
顔を見ると和むと言うか、落ち着くと言うか、本当に素晴らしい俳優さんです。

ああいういい顔になりたいなと思います