団塊世代開業医の漢方な日常-東洞


日本の漢方と今日中国で行われている中医学はかなり違います。
吉益東洞(よしますとうどう)先生(1702年~1773年)は、理論から方剤を組み立てて治療する中医学とは違う、今日の日本漢方の古方派の基礎を作られた方で、
郷土広島の出身です。
後漢時代に書かれた『傷寒論』を重視し、陰陽五行論を観念論として排し、
親試実験」という実証主義に基づいた治療を行いました。
さらに、万病は一毒により、薬も毒物で、毒を似て毒を攻める、万病一毒説を唱えました。
つまり、すべての病気がひとつの毒に由来するとし、この毒を制するため、
強い作用をもつ薬を用いる攻撃的な治療を行いました。
しかし、毒を追い払うために水銀剤など副作用の強い薬を使い、
治療の途中で死ぬようなこともしばしばありました。
東洞が活躍した時代、重い病気の場合、多くの漢方医は、
当らず障らずの治療をしていましたが、
東洞は、人の生死は天命であって、天ならぬ医者のあずかり知らぬところであるあ゛ぁ゛っ
との超積極的治療姿勢でした。

日本漢方の変革者、吉益東洞(よしますとうどう)について、
寺沢捷年先生が、最近岩波書店から『吉益東洞の研究』を出されました。
吉益東洞先生の遺徳を讃える顕彰碑は広島大学医学部構内にあり、
毎年9月に顕彰会が行われています。一般発表、特別講演もあり、
今年は『吉益東洞の研究』の著者、寺沢捷年先生が、特別講演されます。
漢方に携わっているものには有意義な会です。

第18回 吉益東洞顕彰会
9月16日(第3日曜)午前10時半~
広島大学医学部霞キャンパス校内 広仁会館