私の師匠が天国に旅立ちました。
自分が中学でて間もなく、どうしょうもない自分を地元にいてはいけないと思った両親が家から四国に送りおやっさんのところに行ったその日
「お前みたいな何の役にも立たない奴をわしが雇うとゆう事の意味が分かるか!」
と叱ってくれたあの日の事を私は一生忘れません。
おやっさんの下で働いていなかったら今頃自分はどうしていたのだろう。
世の中に後ろ指刺されるような人間になっていたかもしれません。
料理だけではなく、人としての生きる道もとことゆ教わりました。
「後ろ指刺されるような生き方してはいかんぞ!」
「義務を全うした人間にだけ権利は与えられる、義務をおざなりにして権利だけ主張するような人間にだけは絶対になってはいかんぞ!」
など数え上げればキリがありません。
本当に真っ直ぐに、正直な人でした。
私は今までおやっさんのように真っ直ぐで正直で優しく、裏表なく生きている人を見たことがありません。
そんな人の下で六年間もの間修行させていただいたのは人生の宝です。
料理に関しては、とにかく料理人はうまいもんを作る!
この簡単で当たり前の事、ところが難しい事をとことん教わりました。
そして料理人として生きる事の素晴らしさ。
料理を通じて人を喜ばす事の嬉しさを沢山教わりました。
先月27日、お見舞いに行った時、
辛そうな顔で
「お前らには本当に何もしてやれんかったのぉ」
と言っていました。
こんな事言う師匠がどこにいるでしょう。
自分の人生の全て以上にたくさんの事を教えて下さったのに、割烹宮本を卒業して20年以上経つ私にそんな事を思っている。
そんな師匠他にはいないと思います。
考えると今でも涙がこみ上げてきます。
亡くなってしまい悲しみの涙であるのはもちろんですが、それと共に感謝の涙も溢れてきます。
何も恩返しをしてないのは僕の方ですよ。
おやっさんから教わった生き方、料理への姿勢を通じて私も人の役に立ち、美味いものを作り、若者に良き影響を与えられる人間に少しだけでもなって行くことが恩返しだと肝に命じて生きていこうと思います。
おやっさん、本当にありがとうございました。
そして、長い人生お疲れ様でした。