「孤独死」した70代男性の場合

 2022年冬、東京都豊島区内にある一戸建てに住む70代の男性が「孤独死」した。  警察から連絡を受けた同区生活保護課は戸籍調査などを実施したが、男性は独身で子どもはおらず、親やきょうだいもすでに他界して遺体を引き取る人がいなかったので墓地埋葬法で葬った。  この時、男性が所持していた現金は数万円で区が埋火葬として13万円を立て替えた。その後、男性の遺留金の調査をしたところ、銀行口座には数百万円の預金があり、自宅の土地や建物も男性名義で数千万円の資産価値があったため、検察官の申立てによって家庭裁判所が相続財産清算人を選任した。  「清算の費用と区が立て替えた13万円を清算すると、残りの預金と自宅の土地と建物を売却した財産はすべて国庫に入ることになります」(同課)という。男性の遺骨は引き取り手がなければ、無縁遺骨となり、やがて区が管理を委託する寺の無縁墓に共同埋葬されるという。

 

「現金約3400万円」を残して…

実は行旅死亡人の中にも大金を持ったまま、亡くなり、相続人すら探せない状態というケースが多い。行旅死亡人は年間、600~700件が官報に記されるが、官報の中には驚きの記述もあった。  〈本籍(国籍)・住所・氏名不詳、年齢75歳ぐらい、女性、身長約133センチ、中肉、右手指全て欠損、現金約3400万円。  上記の者は、2020年4月、兵庫県尼崎市のアパート玄関先にて絶命した状態で発見された。死体検案の結果、同月上旬頃に死亡。遺体は身元不明のため、尼崎市の斎場で火葬に付し、遺骨は同斎場にて保管している。お心当たりのある方は、尼崎市南部保健福祉センターまで申し出て下さい〉
この行旅死亡人の女性の謎に満ちた半生を共同通信記者らが追ったノンフィクション『ある行旅死亡人の物語』(毎日新聞出版)は記憶に新しい。  行旅死亡人が多額の資産を残して亡くなったケースはまだある。  〈本籍・住所・氏名不詳、40歳位の男性、身長168センチ、痩身、黒短パン、現金約2千万円、財布2個、黒小銭入れ、オッズカードなどを所持。  上記の者は、2016年9月、大阪市●●区○○で発見されました。死亡は同8月頃(推定)、死因は縊死の疑いで検視の上、火葬に付しました。心当たりの方は当区役所生活保護業務主管課まで〉
 
 

「遺体」を引き取りにこない「親族たち」

 〈本籍・住所・氏名不詳、推定50 歳から70歳の男性、身長150センチメートル位、痩せ型、面長、着衣、青色チェック柄長袖パジャマ、白色半袖シャツ、青色チェック柄長ズボンパジャマ、紺色トランクス、所持金品は現金約1700万円、財布2個、カード入れ4個、キーケース1個、診察券1枚、社員証1枚など。  上記の者は、2018年9月に名古屋市●●区○○丁○番にて死亡していたのを発見さ れたものである〉  〈本籍・住所・氏名不詳、大阪府●●市×丁目〇〇に居住、自称、大幡聖子(仮名)と名乗る女性、自称、昭和8年生、所持金品は現金約730万円、外国紙幣数枚、預金通帳、診察券、携帯電話、財布、ポーチ、手帳など。  上記の者は、2013年夏、住居内で死亡しているところを発見されたもので、数日前に死亡したものと推定されます。警察署の調査でも本人であることが確定されないため、身元不明につき遺体は火葬に付し、遺骨を保管しておりますので、心当たりの方は当市生活福祉課まで申し出てください〉

 

地縁や血縁が薄れた都会では資産があってもなくても官報に載った行旅死亡人を親族が引き取るケースはあまりないという。

 

75歳女性は「アパートの玄関先」で「現金3400万円を残して死んだ」…! 「数千万円」を残して「孤独死」する人たちの“意外すぎる現実”(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

 

わしもミックさんも天涯孤独やし、じきにそうなる。