クヌギ、ナラガシワ? 茶色の葉が落ちない木 | 驚きの日々!祖師谷公園をめぐる四季

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森林インストラクター。ラジオ体操と太極拳で毎朝訪れる祖師谷公園には樹木や花、昆虫や鳥たちもたくさん。そんな公園の四季の変化をお届けしています。祖師谷公園散歩のお役に立てばうれしいです。なお写真のご利用はお控えください。

 今朝は青空が望めるかと期待したのですが、どうもすっきりしませんね。
新聞によると、明日の日の出は6時46分。12月22日の冬至からひと月以上経って、ようやく日の出が冬至より1分だけ早くなります。ひと月以上も冬至と同じか遅かったわけで、知りませんでした。 

 さて、これはテニスコートの裏にあるクヌギ以前アオゲラを見つけた木です。ほとんどの広葉樹が葉を落としているというのに、まだこんなに茶色の葉をつけています。


これを枯凋性(こちょうせい)といって、枯れても葉が落ちない性質をもっていることを指し、ブナ科やカバノキ科に多いのです。


葉は夏が過ぎ日が短くなり気温が低下してくると、葉の光合成や根の吸水力も弱まります。そして葉の中に残っている炭素などの栄養を維管束を通じて母体へと回収しはじめます。それと同時に葉柄の基部に、特別な細胞層ができはじめます。これを離層といい、葉を脱離させる働きをしますが、この離層の形成が不完全、または維管束が丈夫だと葉が落ちない現象となるわけです。


といっても、木の下にはすでにこんなにたくさんの葉が落ちていますから、落ちていないのはほんの一部ですが。


そして古い葉が付いているにもかかわらず、新芽もちゃんと準備されています。


こちらはドングリの森にある


やはり残っている葉がたくさんあります。実はこれ、ずっと気になっている木なんです。コナラに似ているのですが、葉の感じが違うんです。


樹皮はコナラに似ています。ミズナラではないです。


ドングリはコナラより丸いです。


葉もコナラより大きくてむしろカシワに似ている。調べたらナラガシワが一番近い気がしますが、自信はありません。自然交配で中間的な木もできるそうですし。


冬芽をしっかり準備しているのは同じです。


枯凋性で知られるものでは、他にカシワがあります。あの柏餅にする葉ですが、これは春先まで落ちないので、「落ちない」すなわち「おめでたい」ということから、柏餅にして祝うという風習が生まれたとか。

また、高尾山などでよく見られるヤマコウバシという橙色に紅葉するクスノキ科の低木があるのですが、これも枯れ葉が落ちないことで知られます。
最近では「落ちない」ことから受験生のお守りになっているそうですよ。

受験生のお守りといえばもう一つ。先日、観察会で訪れた多摩動物公園では、木から「落ちない」オランウータンにあやかり、合格祈願をする人がたくさん訪れているとか。受験シーズンたけなわの話題でした。