さて、カラスにはシティボーイとカントリーボーイがいることはお話しましたが、そのことを教えていただいた、私の尊敬する自然観察の師、Nさんから、先日すごいものをいただいてしまいました。
このA4サイズの、一枚の印刷物がそれです。

それはなんと「カラスの言葉」というカラス語の辞書。

まず最初は1)はカ、カ系、 2) はカァ、カァ系から始まり、1)のカ、カ系はさらに4つに別れますが、主に「知らせ、警告」系の言葉です。2)のカァ、カァ系は主に「呼音、快感」系となっています。

同様にして3)のカーカー系は4つに別れ、「場所、行動報知」「満足、安全」など。4)のカァーァ系は「満足の発散」など、5)のガラー系は3つに分かれ、「警告」「雄雌間の行動報知」「内的衝動による独り言」などというのもあります!

6)はガー、ガー系で4つに分かれ「知らせ合い、外敵への恐れ」など、7)はカコ、カコ系で4つに分かれ、「餌の知らせ」など。

8)はカタカタ系で「機械的な咽低音」とあり、9)はカァー系で2つに分かれ、「爽快の表現」など。これまでのはすべて成鳥の話で、「幼鳥」という分類もあり、これは3つに分かれ 「口歌」などとなっています。ここまで数えると32種類の鳴き方とその意味が書かれています。

最後には端的に「カラスの命は卵20日、巣雛36日、若鶏グループ20日、養育60~90日、幼鳥期3年、繁殖生長4~8年、熟鳥8~12年、自然寿命16~17年」とあります。
そしてA4の紙の中央に縦にハサミを途中まで入れ、縦に山形にたたみ、それをじゃばらにたたむと、このように持ち運びに便利なポケットサイズになるのです。

すごいでしょ!宝物です!
これはいわばソロモンの指輪。
ソロモンの指輪とは、古代イスラエルの王であったソロモンは、その指輪を用いてありとあらゆる動物や植物と話をすることができたそうです。 それに対して、「ソロモンの指環」の著者で動物行動学者であるコンラート・ローレンツは、自分のよく知っている動物となら、魔法の指輪などなくても話ができるとして自著のタイトルとしました。ソロモンの指輪とはいわば翻訳機ですね。
ちなみに、シティボーイのブト君とカントリーボーイのボソ君の鳴き方の違いは、「カー」がブト君、「ガー」がボソ君でしたが、Nさんに伺ったところ、このカラスの言葉は「ブト君」の言葉だそうです。
さて、意識して聞いてみました。例えば、夕方、お宿に帰るときの「カァーア」はこれかな?
「満足の発散、翼を広げ、開放的、飛行中も行う」
そうか、今日一日を満足してお宿に帰るのかと、なんだかほっとしてカラスの気分になります。
でもとても32種類は覚えられませんが、なんだかカラスと親しくなれたようでうれしいです!
さて、この「カラスの言葉」は黒田長久著 2004/11とあります。
明日はこの続きをお届けしましょう。