メチル化と精神状態について | 症例と解説 | かわせカイロプラクティック

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症状に対する私なりの考え方や症例の解説などを書いています。

メチル化はセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の量に大きく影響します。

メチル化が不十分な状態である「低メチル化」と過剰な状態である「高メチル化」では、神経伝達物質の量が違うのです。

低メチル化タイプの人は、シナプス間隙(神経と神経の間の部分)に放出されたセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の再吸収が促進されます。そのためシナプス間隙の神経伝達物質が不足します。

 


※医師が処方するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、その名の通りセロトニンの再吸収を阻害する事によってシナプス間隙のセロトニンを増加させます。(画像はウィキペディアより)

逆に高メチル化タイプの人は、神経伝達物質の再吸収が低下するため、シナプス間隙の神経伝達物質が過剰になります。このタイプの人は統合失調症や双極性障害の人に多いようです。

私の所には、精神疾患ではないけど不安やイライラが強い人や、人前で過剰に緊張する人や、やる気が出ない人など、多少なりともメンタルヘルスが低下している人が多く来院されます。そのような方々をARテストで検査すると低メチル化タイプが断然多いです。

メチル化の異常の原因には、栄養や遺伝が大きく関係していますが、ストレスも大きく関係しています。なぜなら、ストレスで発生したストレスホルモンはメチル化によって代謝・分解されるため、ストレスフルな状況ではメチル化の仕事量が増大し、メチル化に必要なメチル基を作り出す栄養素(メチオニン、葉酸、ビタミンB12など)が枯渇してしまうからです。またストレスによって発生した活性酸素がメチル化を抑制してしまいます。

またメチル化が担っている仕事にはエストロゲンの分解やヒスタミンの分解もありますから、エストロゲン過剰な女性やヒスタミンが過剰な人はメチル化の仕事量が増大するために、メチル基が枯渇しやすくなります。

対策としては、ストレスフルな状態でもメチル化に必要な栄養素が枯渇しないようにサプリメンテーションしながら、ストレスを減らしたり、トラウマセラピーによって自律神経を落ち着かせやすくする事が必要だと私は思います。

私の経験では、栄養素によるメチル化対策が不十分な状態でトラウマセラピーを行うのと、十分な状態でトラウマセラピーを行うのとでは効果がかなり違うように思います。

ただ、メチル化に取り組む前にやっておくべき重要な事があります。
それは以下の通りです。

  • 水分と電解質の補給(細胞の健全な働きに必須です)
  • 酸化ストレス対策
  • 解毒
  • 細胞膜の修復
  • ミトコンドリアの活性化
  • リーキーガット、腸内細菌など腸内環境の改善
  • 消化を良くする(胃酸・消化酵素・胆汁などの分泌)

これらの基本的な事を先にやらずにいきなりメチル化に取り組んでも効果はありません。