線維筋痛症:痛みに過敏になる原因 | 症例と解説 | かわせカイロプラクティック

症例と解説 | かわせカイロプラクティック

症状に対する私なりの考え方や症例の解説などを書いています。

中枢性感作とは、中枢神経の問題により痛覚過敏になっている状態です。

中枢性感作は痛覚過敏と関連するだけでなく、光過敏、聴覚過敏、嗅覚過敏、粘膜の知覚過敏など様々な過敏症に関連しています。

以下のような症状は刺激に対する過敏性という共通点があります。

  • 線維筋痛症→疼痛過敏
  • 慢性疲労症候群→光過敏、聴覚過敏
  • 過敏性腸症候群→腸粘膜の過敏
  • 機能性ディスペプシア→胃粘膜の過敏
  • ヒステリー球(咽喉頭異常感症)→喉粘膜の過敏
  • 顎関節症→顎関節の知覚過敏

中枢性感作が関係しているこのような症状を中枢性感作症候群と呼ぶ事もあり、その代表的な症状が線維筋痛症です。

では中枢性感作の原因は何でしょうか?

それはグルタミン酸の興奮毒性です。グルタミン酸というのは中枢神経における興奮性の神経伝達物質で、これが正常に(適度に)働いていれば記憶や学習などの脳の高次機能システムに重要な役割を果たします。しかし過剰なグルタミン酸は脳の興奮性を亢進させ、その興奮毒性により中枢神経を傷害してゆきます。

グルタミン酸の興奮毒性の原因についてまず考えられるのがストレスです。グルタミン酸神経の働きはストレスによって増強するからです。ストレス対策は非常に重要になります。

それからGAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)という酵素の活性低下が考えられます。グルタミン酸はGADによってGABA(ガンマアミノ酪酸)という抑制性の神経伝達物質、つまり脳の興奮を抑え精神を安定させる物質に変わります。睡眠薬はこのGABAの働きを良くして脳の興奮を抑える働きがあります。

 


そのGADの酵素活性が低下すると、グルタミン酸とGABAがアンバランスになり、グルタミン酸の興奮毒性が増大します。そのGADの酵素活性を低下させる要因には以下のようなものがあります。

  • 遺伝
  • ビタミンB6不足
  • 重金属(特に水銀と鉛)
  • ウイルス

さらにグルタミン酸受容体(特に重要なのがNMDA型グルタミン酸受容体)が過剰に活性化する事も興奮毒性の増大に繋がります。マグネシウムや亜鉛がNMDA型グルタミン酸受容体の活性を落ち着かせる働きがあります。またグルタミン酸受容体の感受性は活性酸素に敏感に反応して活発になるので、活性酸素対策は重要です。

 

↓中枢性感作症候群の各症状について以下のページにさらに詳しく書いています