高野山結縁灌頂は年に2回あります。

 5月に行われる春季胎蔵界結縁灌頂と、10月に行われる秋季金剛界結縁灌頂です。

 

 およそ1200年前、弘法大師・空海が長安にて恵果和尚より授けられた結縁灌頂。

 弘法大師が投じられた華(花)は、いずれも大日如来の上に落ちました。

 師からその弟子へ、さらにその弟子へ。脈々と受け継がれて来たその儀式に、私たち一般人が参加できる。 

 

【高野山・結縁灌頂】

 「金堂」に入り儀式開始。案内役の僧侶にいきなり「おめでとうございます」と挨拶される。 

薄暗い部屋で20人ほどの参加者たちが「南無大師偏照金剛」と唱え続けると偉いお坊さんが登場し、説法。 

仏教の「十戒」をお坊さんに続いてみんなで唱える。 奥の間に通されると、いよいよ「秘儀」が始まる。

 参加者は紙で目隠しをされ、印を結んだ両指を前を歩く人の背中に突き立てた感覚だけを頼りに、 何も見えない中を進んでいくのである。 説明によれば「仏様の中に入った感覚を味わってもらうため」なのだとか。

 この間、「おんさんまやさとばん」という真言をずっと唱え続ける。

 かなり長い時間この状態が続くので、催眠術にかかったような不思議な感覚があった。 

目隠しされ、ひたすら繰り返される真言の効果で一種のトランス状態に。 その後、僧侶の誘導に従って到達した地点で指の間に挟んだ葉を落とすと、「大日如来!」の声がかかる。

 目隠しを外して見てみると、葉は曼荼羅図の中心にある真言宗のご本尊である大日如来の絵の上に落ちていた。 これで仏様と自分のご縁が結ばれた。 何か一つの儀式をやり遂げたという満足感があった。 

偉い僧侶から頭に水をかけてもらい、独鈷杵のような仏具を合掌した手にあてがわれて何事か真言を唱えられる。

 そして、鏡に映った自分の顔を見せられ、「これが仏様となったあなたのお顔です」というようなことを言われた。 

心なしか、穏やかな表情になっていたかもしれない。 

 

最後に、僧侶から今日使った目隠しに御朱印を押したもの、大日如来と書かれた紙に今日使った葉っぱを包んだもの、 和紙でできた「結縁灌頂お守り」、「結縁灌頂血脉」という弘法大師様の絵がかかれた目録のような紙の4点の品をもらい、 90分ほどの儀式は終了となった。