小説:宇宙飛ぶバス「第2話 知的好奇心」
それからまた半年がたち、三年生になった。哲郎は、三年生に上がるときに家の事情で転校していった。拓斗は少し寂しかったが、それ以上に犬のことが気になっていた。もし、ずっと見ていたら、誰とも話さなかったら、あの犬はどうなるのか。そんな好奇心で胸を躍らせながら、春休み明け初めてのバスに乗り込む。いつも通り犬は運転席の後ろの席に座っている。ずっと、ずっと、ずっと、見つめ続ける。犬は消えない。バスが学校の最寄り駅に止まったが、拓斗は犬を見るのに集中しすぎて、気づかずにそのままバスが出発してしまった。「次は、九段下。九段下。終点です。」無機質なアナウンスが鳴る。だが、拓斗はそれにも気づかない。何故か、目が離せないほどに集中していた。もうすぐ終点のバス停に止まろうかという頃、バスが大きく揺れる。拓斗はその揺れで座っていた席から落ちる。何が起きたのかと立ち上がると、窓から見える景色が町から満点の星空へと変わっていた。星空はバスを覆うように広がっていて、タイヤは空を切るようにして回っている。先ほどまで乗っていた数人の乗客はいなくなっていた。運転席を見に行くと、運転手もいなくなっていた。焦って後ろを振り返ると、一番後ろの真ん中の席に、いつもの白い犬がいた。犬は立ち上がると、ゆっくりと、拓斗の方へ寄って来る。手を差し出すと、ぺろぺろと舐めてくる。拓斗は触れられたことに驚きつつ、犬の顎下を撫でる。その犬を撫でていると、また先ほどと同じぐらいの揺れが起き、拓斗は背中からこける。プシュッ、という音とともにバスの降車口が開く。犬がそこから降りていく。拓斗もそれを追いかけてバスから降りる。バスから降りた先には小さなバス停があった。看板とベンチが一つしかない質素なバス停だ。周りに人はおらず、森の真ん中にぽつんとバス停が佇んでいる。周りを見渡すと、木の幹は青く、葉は黄色い。土は赤く、空は緑で太陽は黒い、なのに辺りは明るい。そんな不思議な空間に戸惑いながら拓斗は、バスの来た道を振り返る。バスから数メートルの所で道は終わっており。森が始まっている。拓斗がバスに戻ろうとしたとき、降車口が締まり、すぐにその場から消えてしまった。周りには、砂埃が舞っている。バスの進行方向を見てみると、こちらも途中で道がちぎれており、森が始まっている。どうしようかと焦っていると、白い犬が拓斗の足を鼻で突いてきた。「どうした。」拓斗が犬に聞く。すると、その犬が森の中へと入っていく。拓斗は何となくついて行ってみることにした。犬はまっすぐ森へと入っていく。森の中は想像以上に歩きにくい。木は少ないが、地面に生えている雑草が拓斗の膝ほどまであり、何度も足を取られ転びそうになる。一時間ほど歩いただろうか。拓斗がかなり焦ってきた頃、少し開けており、明るいところがあった。犬はその開けた場所へ、まっすぐあるいて行く。*この話はフィクションです。表紙用のイラストを描かねば、描かねばと思いながら過ぎる日々。それもまた一興(?)切り悪いですが、切りいいところまで投稿しようと2,000文字超えるので許してくだせぇ。(一話1,000文字ぐらいにしたい)