この季語には苦い思い出があるんです。
40年前の句会のメンバーに長曾我部という人が居た。土佐の長曾我部氏の子孫系列とか。
その人に上から目線で言われた言葉が、
「いつまでもうまくならないのは、たくさん作らないからだ。私を見てごらん『松手入れ』で10句も作った。ここまでやらなければ上手くならないよ」
(松手入れ? そんな老人臭い季語で作るもんか)
おり
澱までも乾く湯呑や松手入れ
灯篭の宝珠となりぬ枯蟷螂
薄紅葉手紙の投函迷ひけり
彼岸花風に吹かれたやつれ色
浮き沈む枯れた竹筒月の船