1 松手入れ | 河崎康次の俳句

河崎康次の俳句

花鳥諷詠の写生俳句から人情・心情俳句まで、
この世の森羅万象の本質とか美とかの感動を
俳句と言う詩に残してみたいと思っています。

 この季語には苦い思い出があるんです。

 40年前の句会のメンバーに長曾我部という人が居た。土佐の長曾我部氏の子孫系列とか。

 その人に上から目線で言われた言葉が、

 「いつまでもうまくならないのは、たくさん作らないからだ。私を見てごらん『松手入れ』で10句も作った。ここまでやらなければ上手くならないよ」 

 (松手入れ? そんな老人臭い季語で作るもんか)


  おり
  澱までも乾く湯呑や松手入れ   

  灯篭の宝珠となりぬ枯蟷螂


  薄紅葉手紙の投函迷ひけり


  彼岸花風に吹かれたやつれ色


  浮き沈む枯れた竹筒月の船