小説を書き始めた頃、思うように書けなくて知人に読んでもらったら「これは小説じゃない」と言われて心が折れた。

そして担当さんの連絡を3年間無視し続けた。自分に小説は書けないと開き直っていた?

3年後、友達が癌で亡くなった。突然だった。自分もいつ死ぬかなんて誰にも分からない。その時に後悔しないためにも自分の過去と向き合う事にした。

特に不義理をした相手にはちゃんと連絡を取ろうと思った。その中の一つが無視し続けた担当さんへの連絡だった。

僕は、もう一度小説を書かせて下さいと連絡をした。今更、何を言ってるんだ?と言われることを覚悟して。

目を逸らしては前には進めない。

数日後、担当さんから一言メールが返ってきた。

「連絡が来るのをずっと待ってました」

うまく書かなくてもいい、下手でもいい。何があっても最後まで書ききろうと心を決めた瞬間だった。

現在、その小説は世界34ヶ国語に翻訳されている。人生とは本当に不思議な出来事で溢れていると思う。