【後編】身内のがん罹患体験

最新の標準治療は医者任せにしない

 

慶應義塾大学病院の医師がセミナーで教えてくれた「賢い患者になるために知っておきたい正しい情報の見極め方」が大変参考になりました。

 

世界には、エビデンスが最も高い最新の治療方法があるとのこと。

 

大学病院、拠点病院に期待出来ることは、合同カンファレンスで最高の医師たちの知識や技術の共有で、患者にとって最高の治療方針を決められること。

 

しかし、実際に医師に直接尋ねてみると、「例え専門医であっても、最先端の治療を導入したり、マスターしている訳では無い」とのこと。臨床、外来、手術、論文制作と多忙な医師には限界があります。テレビドラマの「ドクターX」でよく見る場面は、一理ありなのかも知れません。

 

病院の方針により自由診療は一切受け付けない病院もあります。

世界の最高のエビデンスの取れた治療法があっても、日本でその治療法が受けられるか、どの病院なら受けられるかは、患者側が調べなければならない。

最新の標準治療を、かかりつけの病院で受けられないケースもある。

別の病院では行っている可能性もある。

海外で既に実績の多い病院があるかも知れない。対応できないものは、患者には伝えない可能性がある。だから患者側も情報収集と学びが必要。

 

自由診療、自費治療は、医師は勧めてないが、それは他の〇〇クリニックが行っているエビデンスが低いもの。最新の、エビデンスが高い治療を勧めていない訳ではありません。

ただし、その治療が果たして公的医療制度で受けられるのかは、日本のどの病院で治療可能か調べ、問合せてみる必要があります。自由診療、自費治療については、取り扱い可能な病院リストを探すことができます。

アメリカではエビデンスが取れ、日本では未だ認証されていないホルモン剤等の治療法については、一部の日本の病院で自由診療にて治療可能です。

 

具体的には、自由診療、自費診療を理解するためには、保険適用部分は適用を受け、保険適用外治療は患者申出療養、先進医療、評価制度を使って10割の自己負担で利用することが、最先端治療を受ける基本となります。課題は高額となる10割負担の資金。ここでがん保険の加入について、検討価値があります。

 

※レーシックや美容整形などクリニックで受ける自由診療、自費診療と異なり、最先端治療を病院で受ける自費、自費診療は自由診療の意味が異なります。

 

 

エビデンスの限界

 

抗がん剤治療は選ばず。

抗がん剤治療を選べば3〜4ヶ月長生き出来る可能性は高まるが副作用で苦しむ。抗がん剤治療を受けなければ、穏やかに過ごせる時間はある。結果、抗がん剤治療は選ばす、緩和ケアを選んだ。西洋医学の限界を感じ東洋医学に関心を持つようになる。

 

 

患者側も勉強と情報収集力が不可欠です。

 

がん治療は、「本人の年齢・体力・既往症」×「部位・症状・進行具合」×「寛解orコントロールor Quality of Lifeの目的」と、「どの居住地」で、「治療費をどれだけ使って」、或いはそのどれとも異なり、アップル社の創設者ステーブ・ジョブスのように、東洋思想をもとにありのままを受け入れる生き方をするのかなど、様々な選択肢がある。

 

そのためには、もっと知らなければならないことがあることに気づいた。それは、このあと最後のほうに記載する。

 

母は医師から、このままでは余命4か月以下、抗がん剤治療を受けても余命が数か月延びる程度、と言われた。最新の抗がん剤治療は昔より随分よくなったと言うし、少しでも希望が持てるなら、もっと言うとオプジーボ治療を受けられるのなら、抗がん剤治療を受けてみてもよいと悩んでいた。

 

しかし、胃がんの治療においてオプジーボ治療は抗がん剤治療を受けて効果が無かった時に初めて保険適用となるが、最初から受けるには自費となり、すべての医療行為も自費となる。まずは抗がん剤治療。4か月の延命のために、髪が抜け嘔吐を繰り返す、つらい毎日を過ごすなら・・。母は抗がん剤治療を選択せず、緩和ケアに決めた。元気なうちに、旅行にグルメに楽しい時間を家族と共有することを第一に、母は抗がん剤治療をしないことにしたのだ。今は孫を連れての旅行、母にとって楽しい時間を作ることも行いつつ、他にできることをも並行していく。例えば食事療法などでがんを治したり、緩和させる有名な医師に会いに行った。この話は、がん予防の記事で紹介する。早期発見、最先端治療を受けられる備えの大事さを、母のがん罹患を通じて実体験したことは、複雑な心境だ。

 

 

身内のがん罹患体験

正しい情報の見極め方

 

賢い患者になるために知っておきたい正しい情報の見極め方「がん情報サービス」では、病名別、部位別のがん情報や、基礎知識、治療法、制度やサービス、予防知識、がん相談支援センターなどの知りたいことがわかる。具体的に行動できる情報を得ることができる。

 

担当医師から言われた「標準治療について」や、「自由診療や自費での治療は実際に使える事例は多くあるのか」について聞いた。尿でがんリスクを検査する「N-NOSE」や、だ液でがんリスクを検査する「SaliveCheckerについても検査精度について聞いてみた。結論は先に記載した通り、健康診断や人間ドックの機会に、胃、腸、肺、膵臓など個別にがん検診を定期的にすることが早期発見に繋がるとの回答。尿やだ液での検査はリスクを調べるもの。病院側としてはリスクでなく、具体的な部位、症状を見極めなければならず、医療機関での検査が必須となる。よって、N-NOSESaliveCheckerはお勧めしていない。

 

自由診療、自費治療を行うことについては、医師だけにいろいろお願いするのではなく、患者側も情報収集や学びを積極的に行い、検証し、最先端医療を受けるために転院や転居する覚悟の有る無しを含め、さらに医療費負担の現実課題もクリアできる(預貯金額、或いはがん保険など)を含めて、担当医師と話せることが大事だと思ったキッカケが、エムスリー株式会社が運営するClub CaNow のウェブサイトだ。

 

無料で視聴できる、動画セミナーがあり、慶応義塾大学病院 腫瘍センター 副センター長の准教授 浜本康夫氏の「賢い患者になるために知っておきたい正しい情報の見極め方」初級編を視聴した。https://clubcanow.com/archives.

 

詳しくは、ぜひご自身でこのサイトをご覧になることをお勧めするが、「正しい情報の見極め方」の要点は次の通り。

 

がんに罹った部位、病理、バイオマーカー、進行ステージ、初発か再発かによって、罹患の症状、病原を時系列に説明できるようにしておく。

 

そして、目標は完治・寛解か、コントロールか、Quality of Lifeなのかを定める。

 

一般には難しい可能性もあるが、NCCNアメリカの原著医学論文ガイドライン】、システマティックレビューなど、もっともエビデンスが高いガイドラインに基づいて治療方針を決めるとのことだ。

 

医学博士や名誉教授、専門家などは、エビデンスの中では、評価としては低い部類に入る。動物実験の上くらいのものだと言う。

 

症例報告やケースコントロール研究、無作為臨床試験(RCT)までレベルを上げないと、エビデンスとは言えないらしい。標準治療とは、それを突破したものなのだと理解する。

 

ここでも、改めて早期発見と、ガイドラインに沿った一番適した治療法の選択が重要であると感じた。

 

ガイドラインのほかに、情報収集としては、NPO法人キャンサーネットワークや、ジャパンキャンサーフォーラム、慶応義塾大学市民講座、がん学会(基礎系)、がん協会(予防系)、がん治療学会(外科)、日本臨床学会(内科系)、拠点病院(KOMPAS)、行政、患者会などから得ることが出来る。

 

要注意は、それら以外の本、テレビ、新聞、雑誌、ネット、口コミは、しっかり裏どりをすること。

 

医師を信じること、そして言いなりにならないこと、セカンドオピニオンや自ら調査することは、今の時代、基本となります。 

 

 

【前編】と【後編】にわけて、身内のがん罹患で最新医療現場から学んだことを書きました。

ぜひ、聞いてみたい、ここが気になる、個人的に相談したい等、あなたの声を聞かせてください。メール、電話、LINE通話などでお気軽にお尋ねいただけます。