1)「甘南備」の所在地 現存する地名「神奈備」、「甘南備」は今も神聖な山、場所あるいはそれに関係する神社仏閣で、山城・大和・出雲地方が有名だ。
①島根・江津市桜江町 : 神名樋(かんなび)、神名樋山(かんなびやま)、甘南備寺(かんなびじ)、甘南備寺山(かんなびじやま)、神名火山(かんなびやま)
②京都・京田辺市薪 : 甘南備山(かんなびやま)、神南備山((かんなみやま)ともいう)、甘南備寺(かんなびじ)
③奈良県 : 大和(奈良・桜井市)の三輪山、斑鳩(奈良・生駒郡)の三室山(三室・御諸・三諸は「神奈備」と同義語
④その他 : 大阪・富田林市/甘南備(かんなび)。 岡山・津山市/神南備山(かんなべさん、かんなびさん)。 広島・府中市/甘南備神社(かんなびじんじゃ)。 佐賀・佐賀市/甘南備神社(かんなびじんじゃ)、甘南備城(かんなびじょう)。 岐阜・山形市/甘南美寺(かんなびじ)。
2)「神南」の所在地 地名「神南」(かんなみ)は「かんなび」に通じるということを、古文書から調べてみると、
① カムナビ : 「神南」の地がもと「カムナビ」といったらしいことは、『類聚名物考』に”神南或作神奈備”とあることによってもうかがえる。
② カウナン : 『三箇院家抄』(内閣文庫蔵『大乗院文書』での呼び方。
③ カワナベ : 『長禄寛正記』(『群書類従』合戦部)で書かれている「川(河)鍋山」とあるのは「神南山(神南備山)」のことで”当時「カワナベ(あるいは)カワナメ」と呼んだとみられ、したがって「神南」もそう読まれたであろう。”
・現在の地名「神南」の読み方は「じんなん」が多く、全国に6ヶ所ある。
①「神南」(じんなん):東京・渋谷区。 ②「神南」(じんなん):奈良・生駒郡斑鳩町。 ③「神南」(じんなん):宮城・栗原市栗駒。 ④「神南」(かんなみ):徳島市多家良町。 ⑤「神南」(じんなん):姫路市船津町。 ⑥「神南山」(かんなんざん):愛媛・大洲市。
・その他、関連地名として、 ①「神南辺町」(かんなべちょう):大阪・堺市。 ②「神辺」(かんなべ):広島・福山市神辺町。 ③「神陽」(かんなみ):兵庫・洲本市五色町。 --- (おわり)