みなさま、明けましておめでとうございます。

私は、今日は一日のんびりと過ごさせて頂いています。

読むべき書類がとても多く、好きな小説も読みきれず、放り出していましたが、今日ようやく読み終えることができました。

大好きな中島京子さん作の『女中譚』。

中島京子さんは、既存の小説を元に、新たな視点から再構築するというスタイルで、魅力的な作品を数多く発表しておられる小説家ですが、この『女中譚』という作品は、林芙美子『女中の手紙』・吉屋信子『たまの話』・永井荷風『女中のはなし』へのトリビュートとして描かれています。

と、知ったかぶりしましたが、解説見て書いたわけで、私はこの三作品読んだことありません。

それでも、中島京子さん描く主人公の元女中の『すみ』が、とても魅力的で引き込まれてしまいます。

そして、小説読みながら感じていて、解説にも書かれてあったこと、『すみ』が女中として生きた時代背景が、キチンと特定されて描かれているということの重要性。

それは、まさに戦争前夜。

陸軍のクーデター未遂事件『三月事件』、そして『二・二六事件』、『上海事変』。

作品は、これら歴史的な事件が起こった時代を背景としています。

しかし、作者はその事件を描くわけではありません。
その時代も、庶民は日常的な日々を送っていた、そこを描きます。

日常は少しずつ、戦争の日々へと加速的に変わって行くのだけど、まだその手前の時。

その『時』を、現代からの回想という形で振り返っています。

作者が、過去のあの『時』と今現在を重ねて、私たちに警鐘を鳴らしていると思うのは、私だけでしょうか。

毎日過ぎて行く日常、でもその後ろにジワジワと迫り来る戦争の影。

『いつか来た道』を再び歩まないために、今私たちには出来ることがある。

そう新たに思う新年最初の日でした。

~付け加え~
中島京子さんの『イトウの恋』という作品も大好きです。

悲しいくらい切ない、人生かけた恋のお話です。
ぜひ一読を。

勝手なオススメコーナーでした。

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