「ダイキン工業から離れているのに、どうしてPFOAの血中濃度が高いのだろう?」

昨年大阪の市民団体の血液検査を受けた摂津市香露園地域の人から疑問を投げかけられていました。

 

今回市民の方からのご指摘で調べてみると、この地域の憩いの親水施設である「ガランド水路」とダイキン工業排出の有害な有機フッ素化合物PFOAと太中浄水場井戸水に関連があるのではないかという問題が浮上してきました。

 

摂津市の太中浄水場の井戸水はこの地域の水道水として使用されています。

 

太中浄水場は、昨年8月、1〜6号の6本ある井戸のうち2号井戸の濃度が、水質管理目標設定項目の目標値であるPFOA+PFOSで50ng/l(1リットル当たり50 ナノグラム)に近い45ng/lになり、現在取水を停めています。

 

市が太中浄水場の濃度を調べ出したのはPFOA+PFOSが水質管理目標設定項目とされた2020年からですが、それ以前の濃度は分かりません。PFOSはごく微量でほぼPFOAの値です。

 

摂津市は2号井戸の濃度が高い理由について不明としています。

 

しかし、太中浄水場のすぐ近くを流れる親水施設ガランド水路の水が、安威川流域の下水処理施設である「中央水みらいセンター」の処理水であることから、ダイキン工業排出のPFOAと関連があるのではないかと市民からご指摘をいただいたのです。

 

ダイキン工業は下水として高濃度のPFOA汚染水を長年排出してきました。下水は「センター」で処理され安威川へ放流されますが、PFOAについては処理機能がなくそのまま垂れ流されてきました。

2003年、安威川に処理水が放流された地点で63,000ng/lという世界的汚染が京都大学研究チームの調査によって明らかになっています。

 

同じ水が、長年ガランド水路へ流されてきたとすれば、水路の周りに地下水や土壌汚染を広げている可能性があり、それが太中浄水場の井戸水にも影響を及ぼしている可能性は否定できません。

 

人々の憩いの親水施設がPFOA汚染の原因となっていたかもしれないのです。

 

ガランド水路は子どもたちもよく遊ぶ場です。

 

ガランド水路の早急な水質調査を行うとともに、周辺の地下水・土壌調査等を実施し、太中浄水場井戸水のPFOA汚染の原因究明を行うことが必要です。

 

ガランド水路

水循環・再生下水道モデル事業として1999年3月に整備完了。「中央水みらいセンター」の下水処理水を水路に流して、市民の親水施設として供用している。処理水は安威川に放流するものと同じ。処理水は水路内を循環したのち、境川へ流れ込む。処理水は「センター」の管理だが、水路へ流してからは摂津市の管理となる。

 

ダイキン工業の排水

ダイキン工業は1999年11月に排水を下水に接続。下水は「中央水みらいセンター」で処理されるが、PFOAについては処理されず安威川へ放流される。

それまで安威川への放流水濃度は測られていなかったが、2003年京都大学研究チームの調査により「センター」放流後の安威川で67,000ng/lのPFOAが検出。ダイキン工業が原因と府が認定。

ダイキン工業は2008年から地下水を年間3万トン汲み上げ、活性炭などでPFOAの除去処理をして排水するようになる。

2012年淀川製作所でのPFOA製造・使用全廃。

2015年地下水汲み上げ量を6万トンに増やす。

 

ダイキン工業の下水放流水濃度と中央水みらいセンターの安威川への放流水濃度(ng/l)

大阪府資料より     

 

ダイキン工業 

  中央水みらいセンター

2003年  

        不明

67,000

2009年12月

71,000

1,100

2010年12月

2,800

150

2011年12月

21,000

270

  2012年8月

1,800

99