桜が満開。


でも、その美しさも目に入らず、心を潰されるような思いのお母さんから相談を受けた。


こどもさんがある私立高校に合格したのだけれど、入学金の締切に、申し込んでいる奨学金が間に合いそうにない。


大阪府育英会からは奨学金の決定通知を受け取っているし、学校から言われた必要書類はすべて提出したが、入学手続きの担当者から「入学金の締切までにお金を入れるのは親の義務でしょう。」と責め立てられているというのだ。


「払えるものなら払いたいけれど、コロナ禍で収入が大きく減ってしまって。制服その他も高額で、しかも着払いで送ってくるので、そちらを先に払わずにはおれなくて。」とお母さん。


大阪府は、「私立も授業料無償」というけれど、授業料以外にかかるお金が公立とは桁が違うのだ。


「遅延届というものがあると最初は聞いたのに、途中からそんな話は消えてしまったかのように、

『全額無理なら20万円でも。そんなお金もないんですか?』

『ともかく締切は締切。間に合うように、毎日育英会に催促をして、その結果を報告するように』

仕事の合間に毎日電話をしているんですが、そのたびにイヤミを言われ、ほんとにつらい。

お金がない私たちが悪いんでしょうか。こどもが、もし入学できなかったらと思うと心配で、心配で。」


サラ金まがいの追い立てに、苛まれるお母さん。


お母さんに横にいてもらって、私から電話を入れてみることにした。


まず、大阪府育英会。


「今、大変混み合ってますが、出来るだけ急いで事務処理をしています。入学金締切に間に合わない場合もあるので、奨学金の対象者には決定通知を送っているし、各学校には奨学金対象者については配慮してほしいと『お願い文書』も送っています。」

との説明を受けた。

こどもさんの奨学金振り込み予定は今から1週間から10日後とのこと。


奨学金が入学金の締切に間に合わないということは、このお母さんだけじゃなくたくさんある話なのだ。


次に、私学の入学金担当者にかける。


市議会議員であることを名乗って、お母さんから相談を受けて電話をしていると言うと、「お母さんから何を聞いているのですか?」と担当者は切り口上だ。


入学金の締切に奨学金が間に合うように、毎日育英会と学校に電話を入れるよう言われていると聞いたことを伝えると「そんなことは言ってません!」と突っぱねる。


さらに「お母さんとはどういう関係なんですか。一般の市民の相談ですか。」と聞いてくる。


ー私とお母さんに何か関係があったら対応が変わるのか?


「市民の方の相談ですよ。」と答える。


育英会からの説明について話し、こどもさんの奨学金の振り込み予定は1週間から10日後と伝え、遅延届の手続きの必要はあるかと聞く。


「明日が締切日です。明日にならないとほんとに遅れるかどうかわからないでしょう。明日、奨学金が入ってないことを確認して、もう一度連絡下さい」と担当者。


ー1週間から10日後だって言ってるのに。


「こどもさんが入学できないようなことになるのは、うちも本意ではありませんのでね」と担当者。


ーそれって、脅し?


「もちろんそうですよね。こどもさんが学校に通えることが一番重要なことですものね」と受けて、とりあえず明日お母さんに連絡してもらうことにする。


担当者は切り口上だったけれど、第三者の介入に、かなり緊張していたようだ。


担当者との電話を終えて、お母さんと明日の打ち合わせ。電話を録音して、らちがあかない場合は、校長に会いに行こうということにした。


お母さんは何も悪くない。

入学金が間に合わず、こどもが学校に入れなかったらどうしようと思う親の弱みにつけ込むやり方に、ほんとに怒りが湧く。


翌日になった。


お母さんからのLINEは、明るい内容だった。

担当者は上司と相談したとのことで、奨学金の決定通知も出ていることだし、遅延届の必要はない。育英会から入金があったら学校に振り込んで、その後に連絡をくれればよいという。


「対応が一変しました。入学式で会いましょうとまで言われました(笑)ありがとうございました!」


手のひら返しである。

はじめからそう言え!と思うが、まあ、よかった、よかった。


しかし、これは「ひどい担当者」の問題だけだろうか?学校が担当者にそうさせていたのだろうか?


そもそも、公立高校がたくさんあれば、私学への助成制度がしっかりしていれば、奨学金の制度がもっと整っていれば・・・


新しく始まる高校生活に胸躍るはずの春を、お金の問題でキリキリ苦しめられるのは、こどもや親の自己責任ではなく、政治の責任だ。


「15の春は泣かせない」と公立高校をいっぱい作ったのは、黒田革新府政の時代だった。

今は維新府政のもと、公立高校つぶしが進んでいる。


子育てや教育にお金の心配のいらない社会がほんとに必要だと思う。


それをかかげる日本共産党が、参議院選挙で伸びなければと、花冷えの空を見上げて、つくづく思うのである。