ブログに修理の様子(修理に出されたお客様用に)を載せているため
遠方より修理依頼のお電話をたびたび頂きます。
申し訳ありませんが店頭での修理依頼以外はお断りしております
商品をお買い上げの時計店へ修理を依頼ください
RHYTHM リズム時計 スモールワールド 音楽隊 4MH638 3台目 オーバーホール 修理
(画像は修理後の状態です人形台座の左右LED電球も同じ明るさになっています)
不具合内容: 左側の人形の動作が鈍くLEDの明かりも暗い、時計は不具合なし
(現在まで修理歴はなく開腹や改造などもなし)
* 大切に使いたいので時計が壊れる前にオーバーホールを希望
時計が壊れてから修理するのと、壊れる前にメンテナンスを行うのでは修理代金に格段の差が出ます。 特にメーカーも修理しない古い時計では部品を調達するために材料屋さんから時計自体を購入しないといけない事例も過去にはありました。
長く使用したいのであれば時計に不具合がなくても、購入から8年以内のメーカーが修理を受け付けている間に、メーカーへオーバーホール修理に出すことをお勧めします。 部品も新品かつ純正部品に勝るものはありません。 (メーカー修理費用は安価な同じような時計の新品が買えるぐらい掛かりますが)
さて、修理品はとても状態の良い 「リズム時計 Small World 音楽隊 からくり時計」です。 使用期間が短いのか外装のメッキ部分にサビなどもなくキレイな状態です。
12時側の上部にわずかに擦りキズがあります
11時の上側にもキズがありました
開腹のため裏カバーを開けようとネジを順に外していくと左下のネジが空回りします。 カバーを開けて確認するとネジ固定部分が経年劣化でヒビが入り割れてしまっていました。
ネジを入れると外側に広がる方向に力が加わるので接着剤では強度不足になる。
破損部分の周りをファイバーで巻き、ファイバーを樹脂で固めて補修し強度を得る。
ムーブメントを取り出して分解掃除と注油を行う、汚れやホコリもなく状態良好です。
ムーブメント内部の歯車もわずかに汚れはあるものの、ダメージはなく状態良い。
ムーブメントの主基板も取り外して点検し電子接点をアルコールで洗浄しておく。
からくり人形ユニットを外して分解していく、左側の人形ユニットに不具合がある。
配線を少しさわるとポロリと線が外れてしまった。 再度ハンダ付けをしっかり行う。
ハンダ付け補正後は抵抗値も正常になり電圧をかけるとLEDも正常に動作点灯した。
こちらは右側の人形ユニット、こちらも清掃とハンダ補正を行い正常動作を確認。
清掃を行うとホコリ汚れとクモリが取れてピカピカになります。
からくり人形のステージを出し入れするので大変な負荷が掛かるモーターユニット。
ギアダウンユニットを分解しグリスアップを行う、サビもなく状態は良好でした。
からくり人形ステージのレールを取り外してメンテナンスを行う。
ベアリングのグリスが劣化して酸化し乾いて汚れている。
古いグリスをニードルですくって取り去る、何か黒いゴミが出てくる。
黒いゴミの原因はグリス切れのレールを硬質ベアリングが往復動作する事でレールが削られてしまった金属カスでした。ヤスリでレールを少し研磨してならす。
レールを研磨清掃後です、綺麗になりました この後に新たなグリスを塗布します。
メイン制御基板の点検、ついでなのでパワーアンプ部分のコンデンサ交換を検討。
コンデンサの張替え中、後期型の片面実装の基板なのでハンダ付けは楽です。
取り外したコンデンサを測定したが外観と同じように劣化もなく正常でした。
(交換しなくても良かったが傷みやすい箇所なので今後も長く使ってもらうため)
前面ガラスの清掃、ガラスの裏側は30年間のクモリが出ているのでクリーナーにて清掃する。
すべてのユニットの修理が完了したので元通りに組み上げていく。
電池ボックスユニットも錆や汚れもなく、まるで新品のような状態です。
からくりユニット開閉動作時に配線がからまないように注意して結線する。
現在は修理後の動作確認中ですが順調に動作しております。 また4台目が来るのかな?(笑) 最終型の音質改良型というのも回路を見てみたい気もします。
別のからくり時計「リズム時計 Wベルリンガー 4MJ694RH」 の修理は「暗礁に乗り上げ」で止まっております。2つの制御基板の不具合と思われますが、5分前にベルを打つ現象に頭をひねっています。解決策となりそうなプランはあるのですが、また全部を分解しないといけないので、物が大きいと分解も場所を取り、なかなか時間が取れません。 ムーブメントの修理で時計は問題なく動き出しましたよ!
店の片隅で修理を待ちながら、しっかりと時を刻んでくれていますが、修理の時間と場所があくまでもう少し待って下さいね。