子宮内膜症と性ステロイドについての講演会報告です。

京都府立医科大学大学院医学研究科 女性生涯医科学教授である森 泰輔先生の講演の続きです。 臨床で薬物療法をどう使い分けるのかについては GnRH 製剤 (アゴニストとアンタゴニスト) のことを知る必要があります。 2021年の暮れに GnRH antagonist レルゴリクス (レルミナ錠) が "子宮内膜症に基づく疼痛の改善" の承認を取得しました。 GnRH 

 

アンタゴニストは下垂体前葉の GnRH 受容体に競合的に結合し、FSH と LH の分泌を抑制して卵胞発育と排卵を抑え、E2 と P4 の産生を抑制して症状を改善し、GnRH アゴニスト (皮下注射) のようにフレアアップ flare up を起こさない経口薬という特徴があります。 用法用量は 40 mg を1日1回 食前に経口投与です。 GnRH アゴニスト (リュープロ

 

レリン 1.88 mg) では初回投与 2 週間後に血清中 E2 濃度が 150 pg/mL 程度に上昇 (flare up) するのですが、レルゴリクスにはフレアアップがありません。 但し、GnRH 製剤 (アゴニストとアンタゴニスト) は 24 週間投与後に骨密度が低下するので 6 ヶ月の投与制限があります。 GnRH アンタゴニストは経口薬で調節性に優れるので、その使いどころ

 

は 1 術前または術後投与、2 閉経前の逃げ込み療法、3 投与対象年齢は問わない、4 子宮腺筋症など過多月経を伴う場合、5 他の薬剤で不応の場合と先生は考えておられます。 一方、ジエノゲスト療法ですが、GnRH アゴニストを先行投与 (4~6 ヶ月)すればジエノゲスト投与による不正性器出血を抑えることができます(Kitawaki J et al 2011)。 この続きは次回をお楽しみに!