まずタイトル。

ニューヨーク散歩がいい。散策ではない。けど実際読んでいると散歩の域は超えてますね。

 

司馬さんの表現は、ほんまにすきやわ。愛情を感じる。

 

御伽草子のくだり

 

「また室町時代に、世阿弥のような天才が出たことも、感謝しなければならない。シェークスピアを持たない英国というものがかんがえられないというほどでないにせよ、もし日本が世阿弥を持たなかったら、ずいぶんさびしいにちがいない」

 

うまいですよね。英国を持ち上げながら、日本も落とさず持ち上げる表現。これは心ではない。知識を集積した愛情だと思う。

 

日本語のくだりも好きだなあ

 

「フランスの場合なら印象派の画家たちの名をあげ、ドイツならベートーヴェンの国です、と説明すればいい。「日本とは、芭蕉の国です」と、」

 

これもうまいよな。

 

最後のくだり

さまざなな人達、では

 

最後の最後に銃社会のアメリカに請願書をだした、とある日本人を描写して、

 

・・・・八十万人の署名を得て、アマコスト駐日大使にてわたしたのは、世界の未来についてどういう思想書よりも思想書であった。人間へのさまざまな思いとともに、ニューヨーク散歩を終える。

 

39巻まで地道に読んできたが、終わり方が実に美しいし愛を感じる。

 

こんな文章を書きたいなぁと思う。

努力していこうと思う。