市役所勤務の現役保育コンシェルジュ、ナナです。


今日のブログのタイトル、「もう1人産みたくなる保育園」。

昨年、ネットニュースなどでこのワードを見て、なんというパワーワード!と思いました。


このご時世、子どもを産む産まないは全くの自由だし。

産まない選択をする方のその理由や考え方も尊重されるべきだと思うし。

産みたくても産めない方もおられるだろうし。


ネットニュースで取り上げられた保育園は、もちろん素晴らしい保育をされていて、だからこそ子どもを預けている保護者さんから、こういった言葉が出てきたのだとは思いますが、

ちょっとオーバーじゃない?

と思わなくもないですよね。


ところがですね。

いらっしゃったんですよ!

うちの市でも、

「この保育園に入れるなら、もう1人産もうと思っていたのに」

と言われる方が!


「思っていたのに」という語尾の意味は後で説明しますが、まあ聞いてください。


窓口に来られたママさん。

育休中ですが来年の4月の復職を目指しておられ、来年度の申込書類などがいつ頃から配布されるかを尋ねに来られました。


「これは見られましたか?」

と、各園の案内が載っている冊子をお渡ししようとすると、

「もう園は決めています。上の子が行っていた**保育園に行かせたいです」

とおっしゃいました。


あー、**保育園ね。

ここはね、本当に素晴らしい保育をされていると私も常々思っています。

小さな保育園なのですが、その「小ささ」が良いのです!


10年ほど前に、公立保育園を定年退職された園長が「退職したら自分の理想の保育園を作りたい」という夢を実現すべくオープンしました。

働いている保育士さん達も、その園長が自ら声をかけたベテラン保育士ばかり。若い方でも四十代です。


大きな一軒家を借りて運営しているので、見た目は「大きなお家」なのですが、実は「認可保育園」なのです。デカデカとした看板はないので、見学に行かれる方も見過ごしてしまって、なかなかたどり着けないという園です。


「実家みたいなんです」

と、通われている保護者さん達からよくお聞きします。

園長先生のお人柄、園の雰囲気、全てが温かいんです。


以前に書いたのですが、実はこちらのブログに登場する園長はこの保育園の園長でした。↓↓



確かにこの保育園は兄妹姉妹で預けられる方が多いです。

2歳児までの小規模保育園なので、3歳児からは他の園に進むことになり、下の子どもをこの園に入園させると兄妹姉妹で別々の園になってしまうのですが、「それでも**保育園が良い」とおっしゃる方が本当に多いのです。


そうそう、以前、3歳児からの保育園の申込みに来られた別のママさん。

「**保育園では本当によくしていただいていて、できることならずーっと通いたいぐらいなんですけど無理なんですよね?」

と言われました。2歳児までの園ということはじゅうぶんに分かっておられますから、雑談の範囲だと思われますが。

「そうですねぇ。それはできないですねぇ」

と私がお答えすると


「6ヶ月の赤ちゃんの時からずーっと見ていただいていて‥‥」

と、急に涙をポロポロと流されはじめ、

「子どもももちろんですけど、私自身も先生達に助けられて‥」

と泣かれました。


あー、分かるー。

**保育園にママさんも支えられていたんですね。

私自身も仕事上だけど園長先生の言葉に助けられたこと、何度もありますから。


もらい泣きしそうでした。



はい。話を戻しますね。

冒頭に登場した

「この保育園に入れるなら、もう1人産もうと思っていたのに」

と言われたママさんが、なぜ「思っていたのに」とおっしゃったのか、と言いますと。


私が

「**保育園は令和8年3月末で閉園することが決まっています」

とお伝えしたからです。


来年令和7年4月は新入園児をもう取らないということです。1年間だけで良ければ、園は受入可能と言って下さっていますが。

園長は、開園当初から「やるのは10年」「あとは人に任せずに閉める」ということを決めていて、一昨年前ぐらいから「令和8年3月末まで」と市役所にも伝えて下さっていました。


それを聞いたママさん。

「えー!?」

と、青天の霹靂のような声を出されました。

そして、冒頭の

「この保育園に入れるなら、もう1人産もうと思っていたのに」

というパワーワードが出てきました!


一度、うちの職員が

「園長先生、閉園するの、やめられませんか?」

と言うと、

「いやー、私もだんだん歳を取っていくでしょ。耳も目も悪くなっていくし。足腰も悪くなるし。

あ、でも顔は良いんやで」

と、ガハハーと笑われたそうです。


まだまだお元気なんですけどね。

でも、ご自分の人生をご自身で決められて進んでいかれる、そのスタイル。私は尊敬しています。



はい。では、今日はここまでです。

最後までお読みいただいて、ありがとうございました。



京都嵐山のトロッコ列車に乗りました。心の洗濯できました。