市役所勤務の現役保育コンシェルジュ、ナナです。
「神戸市が待機児童ゼロだって」
先日、うちの課内で話題になりました。
別に神戸市さんに対するライバル心とかは全くありません。同じ関西圏ではありますが、あちらは政令指定都市であり、人口も市の規模も全然違いますからね。
ただ、「待機児童ゼロ」と言われても、実際「申込みをしたけれど入園出来なかった人」がゼロではないから、それが何人ぐらいおられるんだろうということが同業としては気になる訳です。
ここで
え?「待機児童数」って「申込みをしたけれど入園出来なかった人」の数じゃないの?
と思われた方。
違うんですよー。
「待機児童数」は「申込みをしたけれど入園出来なかった人」の数ではないのです。
この度の神戸市のホームページにもね。
国の「保育所等利用待機児童数調査」に基づく「保育所等利用待機児童数」は、3年連続ゼロとなりました。
って書いてあります。
何か奥歯にものが挟まった感じの言い回しでしょう。
この「国の〜ナントカカントカ」という算定方法が実にクセモノなんですよね。
国の「保育所等利用待機児童数調査」。
この際ですから、ハッキリさせて覚えておきましょう。
神戸市のホームページの資料をご覧ください。↓↓
それは、確かに0ですね。
でも、1番上の「4月1日時点の保留児童数」を見て下さい。
2023年は1006人。2024年は923人です。
ハイ。これが「申込みをしたけれど入園出来なかった人」の数なのです。
大体、1000人ぐらいは申し込んでも入れないってことです!
1000人ってスゴイな。
さすが神戸だわ。
うちの市では、それが大体250人ぐらいですから。
じゃあ、なんで1000人も入れなかった人がいるのに「待機児童数ゼロ」なんて言えるのか、と言いますと。
この表の中段の3段を見てください。
・他に利用可能な施設があるにもかかわらず、特定の施設等を希望される方(空きのある園はあるのに、その園は希望しないという場合などが当てはまります)
・4月1日に育児休業を取得されており、保育所等へ入所できた際に復職する意思が確認できない方(育休延長希望の方などが当てはまります)
・求職活動を休止されている方(保育園に入れたら求職活動を始めようと思われている方も含みます)
この3段の項目に当てはまる方は「待機児童には含まない」ということになります。
育休延長希望の方や、入園できたら求職活動をしようという方が待機児童に含まれないのはまだ理解できるとしても、
「空いてる園、あるよ?
でも、そこは嫌なんだね?
はい、分かりました。
あなたは待機児童ではありません」
っていうのは少々横暴ではないかと思わなくもないですね。
でも、国がそう決めている訳です。
国の決めた算定ルールによる待機児童数はゼロ。
実際には、申込みをしても入れない人が1000人ぐらいいる。育休延長希望で入りたくない人を除いても500人ぐらいは「入りたいのに入れない」ってことになります。
「待機児童数ゼロ」のカラクリ、お分かりいただけたでしょうか。
神戸市さんが「実際はこうです」と、この表をホームページに載せているのは、「ゼロ」と発表するのに良心が痛むからではないかなと思ったりします。
だから「神戸市が待機児童ゼロだって」と聞いても、私達市役所職員は「ふーん」って感じですね。
でも、この「待機児童ゼロ」のカラクリをご存じない一般市民の方、保活をこれから始めようと思われる方などでしたら、
「じゃあ、私も保育園入れるかも!」
と思ってしまいますよね。
「違うんですよ、実は」と、窓口で説明を聞かれて落胆される方のなんと多いことか。
「待機児童数」に惑わされないでくださいね。
「保留児童数」とか「かくれ待機児童数」とか。
それこそが、申込みをしても入れない人の数です。
覚えておきましょう。
はい。今日はここまでです。
最後までお読みいただいて、ありがとうございました。