市役所勤務の現役保育コンシェルジュ、ナナです。


何年か前までの保育園の入園申込みの申請書には、ひとり親さんの場合、「死別」か「離別」か「未婚」かを記入する欄がありました。

が、現在ではその欄はなくなりました。

死別、離別、未婚のうち、どれに当てはまるかは、入所選考には関係がないということでなくなった次第です。


ひとり親さんが入園申込みをする場合、戸籍の写しを求める市町が多いようですが、うちの市ではマイナンバーで連携して調べさせていただくので提出は不要としています。

死別、離別、未婚のどれであっても戸籍を調べたら分かるので、確認ができたら「ひとり親」と認定しています。


「ひとり親」と認定されれば、入所選考において加点があります。ただし、最優先という訳ではありません。あくまでも「加点」です。

入園後は保育料の軽減などもあります。


ここで、1つ注意事項があります。

「離別」つまり離婚の場合は、元の夫、妻が住所地を別にしなければ「ひとり親」とは認定されません。離婚しても、同住所に住民票を置いているケースでは「ひとり親」とは認められません。事実婚関係と見なされますのでご注意ください。


はい、では話を戻します。


今日、お話するのは「死別」の場合です。

それも、保育園在園中にパパさん、またはママさんがお亡くなりになった場合のお話になります。


たまにあります。

若い方が亡くなる、しかも小さなお子さんがおられるパパさん、ママさんが亡くなるというのは非常に辛いことです。


でも、市役所の窓口にそのことを申し出られる方々は、皆さん気丈でいらっしゃいます。

まだお亡くなりになって1ヶ月経たないうちに来所されるのですが、本当は悲しくて辛くてたまらないはずなのに、しっかりとお手続きをされて帰られます。


私達、市役所職員は、出来るだけ余計なことは言わずに、淡々と、でも丁寧にお手続きの案内をするように心がけています。最後に「大変な時に来ていただいてありがとうございました」と申し上げるのが精いっぱいです。


「死別」のお申し出があると、念のために市役所のシステムで確認します。

まさか、そんなことでウソをつく人はいないと思いますが、「いつお亡くなりになっているのか」の確認です。

保育園の制度としては「亡くなられた日の翌月からひとり親と認定する」となっています。もし、申し出られた日が、亡くなられてから随分月日が経ってしまっていたとしても、遡って認定します。後から保育料の還付なども行います。


さてさて。

そういった対応をしている訳ですが、たまに「本当に亡くなられているかどうかが確認できない」ということがあります。


それは、

「外国人の方で、日本以外の国で亡くなられた場合」

です。

外国籍の場合でも、日本国内で亡くなられると、死亡届は出ます。

日本国籍の方が、日本以外の国で亡くなられても、戸籍に死亡したことは記されます。

でも、外国籍で日本以外の国で亡くなられると、すぐには確認ができないのです。


私の経験上、今までに2件ありました。


そのうちの1件がすごく印象に残っています。

パパさんはネパール人で、山岳ガイドをされている方でした。色んな国で登山者のサポートをされている方でした。ママさんは日本人です。

お子さんの保育園入園、在園中の現況届などに提出されるパパさんの就労証明書を見させていただくのが、私のちょっとした楽しみでした。

ネパールの山々、ヨーロッパの山々、そして日本アルプスなどでもガイドをされていました。

私、登山はしたことありませんが、旅行が好きだから、世界を飛び回っているこのパパさんみたいな方に憧れの気持ちがありました。

ところが、パパさんがネパールの山で遭難されたとのことを聞きました。捜索されましたが、決められた日程で発見されなければ「死亡」とみなされるとのことでした。

私なんか素人は「見つかってないのなら、どこかで助かっている可能性があるのでは」とか思いますが、ネパールの厳しい山々はそんな甘いものではないのでしょう。

ママさんは、ネパールが国として出した遭難の証明書のようなものを提出されました。それをもって、死亡の証明とした次第です。

ちなみに、児童扶養手当など、ひとり親さんが受ける事のできる福祉サービス関係もこの遭難の証明書で手続きできたようでした。


もう何年も前のお話です。

テレビなどでエベレスト登頂の話題が出てくると、あのパパさんのことを思い出します。


エベレスト。Wikipediaさんよりお借りします。

はい。では、今日はここまでです。

最後までお読みいただいて、ありがとうございました。