市役所勤務の現役保育コンシェルジュ、ナナです。


今日のブログは「子ども誰でも通園制度」について書いてみようかと思います。


昨年の6月でした。「こども未来戦略方針」なるものが国から発表されました。

岸田総理がよく言われていた「異次元の少子化対策」の1つですね。


お時間のある方は、こちらのホームページが分かりやすいのでお読み下さい↓↓


その中で筆頭に挙げられているのが「子ども誰でも通園制度」です。

上のホームページの中の画像からお借りしました。

認可保育園というのは、仕事をしていたり、学校に行っていたり、保護者に病気や障がいがあったり、という「保育必要事由」がある人が利用できるところということで、ずーっと何十年も運営されてきている訳ですが、いきなり、こんなのが出た!

この画像だけ見たら、
「え?誰でも預けられるの?働いてなくても?」
となりますよね。
実際、この制度のことを初めて伝えたニュースなどでは、
子ども同士で過ごしたり遊んだりする体験を通して子どもの発達を促し、
保護者の育児の負担や不安を解消し、子育て家庭への支援を強化する目的で、
働いていなくても誰でも保育園に子どもを預けられるようにします。
という感じで伝えていました。

初めて聞いた時は衝撃的でした。
たぶん保育関係の仕事をしている人は皆、思ったと思いますよ。
本当に?って。
関西人ですと「ホンマかいな」です。

でも、よくよく詳しく見ていくと、
・今すぐではない。2023年度からモデル事業として始め、これから検証していく。(まだまだ、これからの話)
モデル事業が上手くいけば2026年から本格的に実施していく。(上手くいけばの話)
ってことです。

また、実施要領として国の指針は以下の通り。
・対象は6ヶ月〜満3歳未満(誰でもじゃない!6ヶ月になっていないとダメだし、満3歳を迎えてるんなら幼稚園や認定こども園に行きなさいって話でしょうね)
・1人あたり月10時間まで(全く利用できないよりはマシだけど、月10時間って「通園」って言える?「誰でも通園」って誇大表示じゃない?)
・生活保護世帯や住民税非課税世帯等を除いて利用料は有料。自治体によって利用料は異なるが、モデル事業で行う八王子市は月あたり2000円で設定。(異次元の〜とか言うわりにはお金取るんだね)

ふーん。
以下、保育コンシェルジュの感想です、

月10時間で2000円払うんなら、現行の一時預かり制度と変わらないやん?
「子ども誰でも通園制度」ってネーミングに問題ありやわ。

実際ね。
4月入園申込みの期間に、何人もの方から言われましたよ。
「もう保育園って誰でも行けるようになるんですよね?」とか、
「働いていなくても保育園に行けるようになるって聞きましたけど」とか。

「あー、ニュースで聞かれたんですよね」から始まり、「ニュースの情報だけでは伝わっていないこともありまして…」と、今決まっている範囲での「子ども誰でも通園制度」について説明をさせていただきます。
そして、
「いくつかの市町でモデル事業は始まりましたが、本格的に実施されるのは2026年、令和8年の予定です。それも、上手くいけば、のお話です。うちの市では何も決まっていません。
良いイメージのニュースばかり、それも表面的なことばかりが良いように報道されているように私は思います」
とお伝えすると、皆さん「はぁ〜」とため息混じりに落胆されますね。
皆さんのイメージとしては、幼稚園に行く年齢にならなくても、仕事をしていなくても育児の軽減のために利用できると思っておられるんですね。例えば、午前中の3時間程度でも毎日通う、みたいなイメージ。
そりゃ、ニュースでパッと聞いただけだとそう思っちゃいますよね。「誰でも通園」って言ってるもの。
なのに、月あたり10時間だけって、ちょっとダマシじゃないですか?
それでも預かってくれるだけ良いと思ったら、実施は令和8年?もぅいいわ〜って思いますよね。


ちょっと前に、実際にこの「子ども誰でも通園制度」のモデル事業を行っている某市の保育園の様子をテレビ番組で紹介しているのを見ました。
預ける保護者さん達は「ありがたい」と、皆さん感謝されていましたが、保育園側は大変そうでした。

「そりゃ、そうだ!」
↑↑テレビを見ていて、コレしか感想が出てこなかったです。
「誰でも通園制度」の担当保育士さん、言われていました。
「0歳児3人を1人の保育士でみるんですが、保育園が初めてのお子さんや、まだまだ慣れていないお子さん(←月2回の利用じゃ、なかなか慣れないのは当たり前)を3人みるのは厳しいです。普段から在園している3人をみるのとは全然違います」

そりゃ、そうだ!

「この制度を軌道に乗せるには、通常の保育士設置基準ではなくて、もっと保育士を増員しないといけないと思う。安全性の確保が出来ない」

そりゃ、そうだ!
国は、こういったモデル事業園の現場の声をしっかりと聞いていただきたいですね。
保育士確保の他にも問題はあると思うので制度実施まで道程は長そうですが、アイデア自体は悪くないので(上から目線、すみません)、子どもも保護者さんも、そして預かる園側も納得できるような指針を国は立てて、制度の本格的スタートをしていただきたいと思います。


はい。
長くなってしまいましたが、今日はここまでです。
最後までお読みいただいて、ありがとうございました。