我が家は妻がでかけるのが一番早く、次に二郎、そして、随分遅れて私が出かけます。なりゆき、私がいつも二郎を玄関で送り出しています。これは小学1年生から続くルーティーンで、そろそろ12年を迎えようとしています。彼は忘れ物が多い子ですから、、、

 

「忘れ物ないか?プラプラ歩いていると遅刻するぞ。シャツが前後ろ!ああ、ズボンのチャックがまた開いてる!」

 

と指摘してきました。いまとなってはプラプラ歩くこととズボンのチャック開けっ放しはさすがにないですが、忘れ物やアンダーシャツの前後ろはつい最近までありましたね(汗

 

以前は

 

「学校の授業はしっかり受けろよ。眠い時は寝てもいいけど、算数(中高は数学・理科)の時だけは寝るな」

 

とか、塾のある日は

 

「家に帰ったら、いつまでもマンガなんか読んでないで、遅刻せず塾にいくんだぞ」

 

とか言っていました。うんうん、わかったよ!と返事の良い二郎ですが、実際は半分も言うことを聞きませんでしたね。

基本、自由な子なので、頭痛で辞めざるを得なかった私立中学も成績以外ではみんなと仲良くしていましたし、頭痛による出席日数不足で成績不振となり、今年辞めた私立高校も、中高一貫生の方が多いにも関わらず、学園祭実行委員長を任されるなど、友人や先生に恵まれ、課外では特になんの問題もない子でした。一時期を除き、あまりこのブログで二郎の課外に触れていないのは、特に吐き出すほどの心配ごとがなかったからです。

しかし、勉強は別でした。いくら勉強しても理系科目の成績は伸びず、奇跡的に良い点数を取っても、少しすると完全といっていいほど忘れてしまう。

 私は以前から、二郎には国立の理系に進んで欲しい、と思っていました。彼もそれを察していたのかもしれません。彼なりに頑張っていたのですが、しかし、結局は伸びませんでした。決定打となったのは、かなり長い間、頭痛で学校を休んだことです。これで取り戻すことはほぼ不可能になってしまいました。

まえも書きましたが、彼は私立高校をやめて、通信制高校に転学しました。そして、併せて志望は私立文系になりました。彼が学校を去るとき、私の圧があったのだとしたらゴメン。大学受験まであと1年足らず。好きな大学を好きな科目で受けなさい、と勧めました。彼はビックリした顔をしていて、最初は頑なにそれでも○○学部を目指す!だなんて言っていましたが、

 

高1から放置された穴が大きすぎる

伸びる気配もみられない

何より二郎が無理しているように見える

 

と伝え、

 

大学受験でいつまでも足踏みするのは勿体ない

おまえは社交的な人間なのだから、文系に進んでも必ず道は拓ける

さっさと得意科目で人生の次のステージに進みなさい

 

と丁寧に説明しました。

 

数日後、彼は納得したようで、私立文系専願で大学受験に臨むことになりました。

小学生の頃から、学部は問いませんが、とにかく国立理系に進んで欲しいと思っていたのは私の完全なエゴです。それは私自身がテキトーにしか勉強せず、数学が好きだったにもかかわらず、単位を取るのがラクとか、女子が多いらしい、とか先輩に吹き込まれ、安易に私立文系に進んだことへの反省から生まれたものでした。まぁ、理系に進んでいたらゼミで妻とも出会わず、二郎も生まれていないのですが(汗

 数学を一杯勉強して、5教科7科目で受験して欲しいと昨年までは願っていました。そのエゴを何年も二郎に押し付けてしまっていたと思います。

それが私立文系に転向することにより、私から消え去りました。代わりに心にぽっかり穴が開いて、なんとも言えない虚脱感に襲われました。もちろん、二郎のことは愛していますし、今でもとても良い親子関係を築けていると、私なりには自負していますが、昨年までのように、スケジュールを管理したり、国語を教えたり、数学の苦手分野をチェックするようなことはなくなりました。そんな気も起きなくなりました。

それからでしょうか。。。二郎は勝手に勉強するようになりました。というか、前のめりで勉強するようになったのです。勉強時間以外でも空き時間があれば古典マンガ読んだり、歴史本を読んだり、英語のYouTubeチャンネルを視聴しています。年頃ですから、男女様々な友人とLINEでやりとりしていますし、Twitterもインスタもしているようです。でも、時間になるとスパっとやめるのは我が子ながら成長したなぁ、と感心しています。

こんな感じで勉強時間に対してはあまり心配はないのですが、一方で少し前までは好きな勉強ばかりやって、ある科目は放置するということは相変わらずでした。私は軌道修正のため、彼が受ける模試、予備校テストや自主的にやっている過去問の出来不出来でアドバイスしていたのですが、最近はそんなこともなくなってきました。

 この前、勉強の進捗を聞いている時に

 

「そろそろ英単語と文法の基礎を忘れ始めているから、模試の見直しが終わったら、再開しようと思っているんだよね。日本史も一問一答のほぼ完ぺきになってきたから、歴史の流れを大雑把におさらいしてみようと思う。それからまた過去問で効果を検証かな~」

 

とかひとりでペラペラしゃべり出したのです。ここ半年の彼の成長ぶりは物凄いものがあります。学力も確かに上がりましたが、そこではありません。精神的にとても大人になりました。私が介在しない方がむしろ成績が上がるのではないか。そう思えるようなりました。

そして、本日、出かけようとする二郎に

 

「もうお父さん、細かくいうのやめるよ。残りの期間は自分で考えて好きに受験しなさい。結果も全部自分で受け入れれば良い。浪人しても良いし、、、とにかく納得のいく大学受験にすればいい。お父さんみたいに身内の不幸とか怪我を言い訳にしていつまでも学歴コンプを引きずらないためにね(笑」

 

と言いました。

 

「どうしたの?お父さん、、、細かく指示してくれて助かっているんだけど」

「今まではしっかり勉強してるかな?とか心配で色々言ってたかもしれないけど、もうその心配はなさそうだし、お前ももう少しで一人立ちできそうだから、もう細かく言ったりしないよ」

「へえええ、そんなこと言われると思わなかった。ちょっと嬉しい」

「そうか」

「まぁ、でも、やっぱり寂しいな。トレーナーは欲しいかも。いま受験業界は授業そのものより、コンサルタントや伴走型が多いじゃない」

「そうね」

「もう、お父さんに教わることはほぼ皆無なので、そっちは一切期待していない」

「(怒」

「ただ、勉強していると俯瞰してみれないことは多々あるわけで、、、だから、まぁ、トレーナーとして伴走してくれると嬉しいかな。俺、暴走タイプだからね。あと、頭痛もまだあるしね。今でも不安になることは結構あるのよ。これでも、、、(笑」

「伴走はして欲しい?」

「して欲しいね。小学校の時に○ピックス入れたんだから、最後まで責任とってくんないと困るよ、パパ!(笑」

 

と言って、今日も出かけていきました。今日はアルバイトはお休み。通信高校の通学日で日本史のプレゼン発表会だそうです。資料を抱えて楽しそうに出かけていきました。

思い返して、、、

 

中学受験ってやるべきだったのか?

 

って悩むことがあります。高校を辞めることになった時、

 

もの凄いスピードで数学を進める私立中学になんか入るから二郎は数学が壊滅状態になったのではないか?得意な子はいいけど、二郎の場合は公立の中学校に通っていた方が良かったのではないか?そうすれば高校も辞めずに済んだのでは?結局、彼を不幸にしてしまったのではないか?

 

随分と悩みました。うちは一人っ子なので、子育て初めてなんですよね。周囲にじいじもばあばもいませんでしたし。。。う~ん、大正解ではなかったな。間違いなく。。。しかし、彼が元気そうなのを見ると、、、アレもコレも我が家に多大な影響こそ与えましたが、しょせんは通過点でしかなかったのだな、、、と

 

はじめて思えるようになりました。