自分と同じように、気管切開して24時間人工呼吸器の生活をされていたり、医療現場で働く方ならわざわざ説明しなくてもわかることだろうと思いますが、実に変わった手法を用いているので是非とも紹介させてください。
その前に、気管切開の仕組みがわからない方も必ずいると思うので、そこから説明したいところですが誤った解釈を生む可能性が高いことに配慮し、Yahoo!百科事典内に記載されている内容を転記しておきます。
気管切開
本来の気道口である口もしくは鼻孔とは別に、新たに前頸部に気道口を設ける手術のことをいう。前頸部正中線上で、通常第2~第4気管輪を切開し、気管カニューレ(気管切開チューブまたは気管套管ともいう)を挿入する。気管カニューレを抜去すると、気管切開口は自然閉鎖するが、永続的に開存させておく必要がある場合は、特別な処置がとられる。
一般に気管切開が必要となるのは、
① 咽頭あるいは喉頭に狭窄ないし閉塞があり、気道を確保する必要があるとき
② 長期人工呼吸を要するとき
③ 呼吸筋の麻痺・筋力低下などにより気道内分泌物の喀出ができず、長期にわたり吸引等の処置を必要とするとき
などの場合である。
通常、緊急時には行わない。しかし、上気道閉塞症状が重篤かつ切迫し、さらに気管内挿管が困難なときは緊急気管切開法として、輪状甲状軟骨間を切開したり、太い針で穿刺する方法がとられる。
ということですが、この手術は通常緊急時に行われることが多く、自分のように自ら希望したという事例は0とは言いませんが少ないそうですが、ちゃんと気管切開が必要な②と③に当てはまっておりやっていただけたのです。
ちなみに、これ
![↑](https://emoji.ameba.jp/img/user/ka/kawaimasashi/4320001.gif)
※こういう感じに、気管カニューレが装着されています。
この仕組みを利用し、少しだけですがカフの膨らみを弱くしてやって、わざと人工呼吸器からの空気の一部を声帯の方へ流しての発声も可能ですが、そのやり方だと刺激で痰や唾液などの分泌量が増えて酸欠状態に陥るために、ずっと声を出すのを諦めて口パクだけで生活をしてきました。しかし、絵描き人生最後となる展覧会を決意したときに、せっかくなら今までに絵を通じて親しくなった人たちとネット上だけでなく、直接話し合う形で協力してもらって開催できたら最高だなと思いはじめ、複数の人と一度に声で話せる手段がないかを考えてみたのです。
それで、それより数ヶ月前に別のことでネット検索をしていて、偶然見つけた喉頭がんなどにより声帯を切除した人向けに開発されたという、『マイボイス』という定価70,000円(高額過ぎ!)の機器の存在を思い出し、給付対象になるのかを確かめたくて社協の方に調べてもらいました。結果は、残念ながら自分の状態では給付対象外とのことで、通常なら断念するところですが「じゃあ、自己負担で買います!」と伝えたら、頑張って交渉して後日試してみる機会を用意してくれ実際に使ってみましたが、口腔内の形作りには筋肉が必要で全く発声ができず諦めました。
その数日後、病院で主治医に相談したところ考えてくれて、まさにミラクルな手法を試験的にやってみようということにあっさりと決まり、ちょっと半信半疑でトライしたらちゃんと声帯を通して発声が出来たのです。仕組みは、実に簡単というか単純に発想の転換をしただけのことで、カフより上部の分泌物を吸引するためにあるサクション管から酸素を逆流させ、その流れを利用して発声する “ 常識 ” という思い込みを吹き飛ばす発想であり、個人的には「アートだ!」と思えるオモシロい出来事でした。
ただ、カニューレの微妙な角度で流している酸素が気道口から漏れ、声帯への流れが作れないことがあって慣れる必要性があって課題が残っており、そこをどうクリアするかを考えていきたいと思います。