【努力の神様】

 


「あぁ、神様
こんなに頑張っているのに
どうして私の努力はむくわれないのでしょう…。」

仕事も恋愛もなかなか思うようにいかないことにイライラし
誰かの幸せそうなSNSを見ながら自分の現実と比べてへこんでしまう。
ついにこんな独り言まで出てしまう自分に
(あ~!)となりながらベッドにダイブしたらベッドに置いてあった
クマのぬいぐるみ、通称「くまやっほい」が顔面にかぶさってきた。


『呼んだかな?』

「ひえええええ!!」

くまやっほいが突然、軽快に動き出した。


『いや、「ひえええええ」て。自分から話しかけといて
「ひええええて」て。まぁまぁ傷付くわ、ほんま。』

くまやっほいは、短い腕を組みながらしかめっつらで答えた。

「誰!!くまやっほいが…。
もしかして……。神…様?」

『せやがな。神様やがな。
努力の神様やがな。』

「努力の……。
…はっ!!ってことは…
さっきの言葉聞いてたの?」

『もちろんやがな。
自分から話しかけといてなんやねん。
少女漫画みたいな顔で言っとったがな
「あぁ、神様」言うて両手をギュッとしとったがな。
きもいなー思たで、正直なところ。』


くまやっほいは、ヒョイっとベッドをおり
私の淹れたてのコーヒーを勝手に飲んで(にがっ)とつぶやき
部屋中を探索し始めた。
私は首根っこを掴み、ベッドに引き戻して問い詰めた。

「努力の神様?なら話は早い!
ぜんっぜんむくわれないんですけど!!」


ぬいぐるみに八つ当たりしても仕方がなかったが
あまりにも、短い手足をバタバタさせるので
抑えつけながら問いただした。


『そんなもん自分あれやで、たいていそうやで。』

「ってことは、努力はいくらしても意味ないってこと?」

『うっわ、まっず。自分まずいわー。その味!ペッペッペ!!
自分あれやわ、根本的に努力の解釈がアレやわ。
ちゃうわ。萌えんわ。グっとこんわ。
なんでそんなしんどそうにやんねん。努力を。』


両手を外人のように拡げ
くまやっほいは「やれやれ」というジェスチャーを見せながら
また、物欲しげに部屋をウロウロしはじめた。


「だって、認められたいじゃないですか!
だから色んな努力してるんですよ!!
それでも全然認めてくれないし……。」

『まぁ、せやろな。だいたい今ので自分の力量がわかったわ
報われたいからする努力は大抵報われへんし
認められたいからする努力は大抵認められへんねん。
だいたいのルールや、こんなもん。』

「じゃあやっても意味ないじゃないですか!」

『せやからその解釈がそもそもまちごうとる、言うとんねん。
野球選手がバット振って
「僕はこんなに努力してますよー!はっはー!
ほうら!見てください!!もう3回も素振りしましたよー!
もう一度行きますよー!ブンッ!!はっはー!4回目!!」

なんて言うとったら気持ち悪いやろな。
めっちゃええヒット打ちたいから
その瞬間が自分にとって一番格好ええから素振りしとんねん。
やりたいからやっとんねん。』


どこかから見つけてきたチョコバットで素振りの姿を見せながら
私の椅子に座って勝手にほうばり始めた。


「だけど、それを認めてくれてもいいはずです!
私だってめちゃくちゃ努力してるんです!
今までも自分の力と努力で勝ち取ってきたこともあるんです!」

『ほう、自分の力で。
自分の努力で勝ち取ってきたと。ほう…。
うわ、アタリや。』


チョコバットの包装をぺりっとめくり
ジロっとこっちを見つめた。

「な…なんなんですか!そうですよ!
私の努力で、欲しいものもいくつか買ってきましたし!」

『なるほど。つまり、全部身の回りにあるものは
自分の努力で手に入れてきたと。』

「そうですよ。当然じゃないですか。
それが自立だと思ってますから」

『じゃあ、昨日の晩御飯は?』

「もちろん自分で買って作りました!
味のしみこみまくった、おでん!!
私の努力の結果です。
仕事をして、自分のお金で、料理も努力して美味しく作りました。」

『自分マズイわー。それを全部自分の努力やなんて。
あんな、自分がおでんにつこた食器
それは誰かの血のにじむような努力の結果生まれたもんや。
工夫に工夫を凝らして、試行錯誤してできたもんや。
ちくわも、開発に開発を重ねた伝統のちくわやそんなもん。
大根も、卵も、こんにゃくもや。どんだけプルルンッしてる思てんねん』


嬉しそうに腰をプルルンっとさせ
くまやっほいはプルルンダンスを踊りながらこんにゃくを表現した。


「そ……そんなこと言ったら……。
屁理屈です!!」

『ほな自分、その人たちの努力認めてないんやな。
自分ばっかり認めて欲しい言うてな。アホかっちゅう話やで』

「……。」

私は頭をガーンと殴られるような衝撃を覚えた。
そうだ、私は自分ばっかりで
結局誰の努力も認めていないのかもしれない。


『あんな。
努力ができるのはものっすご贅沢なんや。』

「努力が贅沢?」

『せや、自分わかってないみたいやけど、
この世界は、努力もなしに与えられたもんばっかりやねんで。
ほぼほぼせや。

例えば、太陽。こいつは人工的に作ろうおもたら不可能やけど
無理矢理、金額に直せば、一日レンタルで1000億以上するわな。
雨に関しても同じや、雨の一日レンタル料は1000万を楽に超すやろな。
酸素も同じや、酸素ボンベ一日中担いでみてみい、めっちゃ重いし
いくらかかるかもわからんでな。
んで、それ、手に入れるのに努力した?』

「してませんけど」


くまやっほいは、椅子の高さを下げたかったのか
必死に椅子の上下レバーを引っ張るも、体重が軽すぎて
逆に上がってしまったため、しぶしぶ椅子から飛びおり
ベッドに座る私の方にずんずん指をさしながらやってきた。


『例えば、その目。金額になおせば完全プライスレスや。
両手両足に嗅覚や味覚、声、そして命。全部プライスレスや。
それ、手に入れるのに努力した?』

「…してません」

『今あげた中でもええわ。
一個でも差し出したら、努力を認めてやろう。
って言われたらどうすんねや?』

「……絶対差し出したくありません。」

『せや、努力を認めてもらおう!とする前に
自分が、その与えられたもん全部認めることや。
どっかで自分はしょぼい、自分はダメだ。認められなくてダメだ。
言うて唱えとるんやろ。

そんだけ素晴らしいもん与えられといてや。
何にも代えられへんもんすでに与えられといて
そのうえで、更に嘆いとるんや。どんだけ欲しがりさんやねん
っちゅう話やでな。神的にはまぁまぁショックやでな。

最高級で与えたはずやのにやで。ハンパないでな。
こういう人に、これ以上与えたないねんなー。神的には。
だってなんぼ与えても感謝せえへんやん。
なんぼ与えてもまた同じように、今自分にないもん探しよるねん。』

「それは、……確かに。」


くまやっほいは、チョコンとわたしの膝の上に座り
足をプラプラさせながら話し始めた。


『ほんでな、その与えられたもののおかげで努力させてもらえるんや。
やりたいことがある。それを味わうために努力すんねや。
美しいプレーがしたい、格好いいワンシーンを作りたい
その贅沢を味わうために努力すんねや。
それ全部、努力なしに与えられたもののおかげでできることや。

せやろ?そのことに気付かんさかいに
努力を認めて欲しいだの、頑張ったから褒めてくださいだの
マッズいこというわけや。そもそものとらえ方をまちごうとるんや

ええか、努力ってのは自分の人生をおもろくするためにするんや。
それって最高に贅沢なこととちゃうか?
報われるためとか、認められるためとちゃうんや。

もっかい言うで。自分の人生をおもろくするためにするんや。
おもろくするためにやっていることを、
褒めてくださいだの認めてくださいだの、おかしいことがわかるやろ
「自分の人生おもろくするんや!」言うてやる努力と
「認められたいから!」言うてやる努力、全然ちゃうんやで。』


くまやっほいは膝からおりて
新しい食べ物を探しにキッチンをごそごそしはじめた。
(なんもあらへんやんけ)とつぶやきながら。


「おでんがあるよ。」


キッチンから、顔をヒョコっと出して
くまやっほいは嬉しそうな顔をした。
『はよ』って言いながら。

私は少し間違っていたのかもしれない。
私の生活している空間の99%は誰かの努力のおかげでできている。
その99%を無視しながら「認められたい!」と叫んでいた。

(カチカチカチッ)このガスも、この水道も、キッチンも
すべて、誰かの努力の結晶なのだ。

『あるーっひ、森のなっか♪』

くまやっほいは待ちきれないのか
歌いながら寄り添ってくる。


「できたよ」

『「あーん」してや。見ての通り、お箸とか持たれへんねん。
先っちょがまるっこいだけの手やさかいに。
当然ながら大根からやで。』

仕方なしに、私は大根を1/6サイズに切り
口元に大根を持って行った。


『あ…あついんちゃうの?
意外と猫舌やねん。くまやけど。
フーフーしてや。』

私は言われるがままにフーフーして、口に放り込んだ。
くまやっほいは、「あふっあふっ」と言いながら
「あふいはあはへへん(熱いから喋れへん)」とハフハフしながら
ゆっくりとのみこんだ。


『……自分、努力してんな。
めっちゃ美味しいわ。』


私は自然と涙が出てきた。
やっぱり、認めらえると嬉しい。

『天が与えてくれたもの、自分の身体や命、
周りの環境を認めて感謝できたら
自分も認められるんやで。感謝もされるんやで。
おおきにやで、ご馳走さん。』


そう言って、くまやっほいは、元のぬいぐるみに戻っていった。

私は、努力をやらされていると勘違いしていたのかもしれない。
私はこの日、「努力しなければ」という自分を捨て
「努力をしたい人」になっていた。明日から見える景色は
きっとまったく違って見えるだろう。

自分の人生を面白くするために、やっていくこと。
それを、「努力」と呼ぶのだと学んだから。



おしまい

 

 

 

 

*全国の本屋さんで絶賛発売中*

 

本当にいい本です。一生モノだと思います♪

 

 

最高の自分の人生の教科書!!

という声がめちゃくちゃあがっているDVDです。

ONE OF THE MOVIE DVDはコチラ

 

 

美言1195『努力とは最高の贅沢である』

 

 

 

プレゼント本としても定着してきてると噂の
めしょ本♡手に入れてね♪



書籍化が熱望されまくってるかわいいLINEキャラクター満載の

めしょん公式LINE@友だち追加しよう♪
友だち追加数

 

 

皆様のおかげで2500名突破♪無料メルマガ 読むと可愛くならずにはいられない!アナタも30日でかわいくなる方法
メルマガ登録はコチラから♪

 


ワタシのフェイスブックはコチラから 
(お友達申請下さる時は何か一言メッセージ下さいませ)

ワタシのtwitterはコチラから 

 

※この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます

 

神々達の対談1

神々達の対談2

神々達の対談3