僕はほとんど投資信託を持っていない。昔、若気の至りで少額を買ってしまい、元本割れしたままずっと保有しているものが2銘柄、合計20万円ちょっとだ。
高い手数料、信託報酬
今は購入時手数料はほとんど無料、毎日かかる信託報酬もかなり少額になっているが(人気ナンバーワンの「オルカン」ではわずか0.05775%)、昔は手数料3%、信託報酬年1.5%ほどが大半だった。つまり有能なファンドマネージャーがよほどうまく運用しないと、ベンチマークの日経平均やTOPIXを上回れない。実際、初期の追加型株式投信の大半は、元本割れからスタートし(購入時に手数料と消費税が引かれているから)、その後も運用がうまく行かず、大幅な元本割れしていた。
その典型的な株式投信に「ノムラ日本株戦略ファンド」がある(図)。このほど運用する野村アセットマネージメントは、同投信を別のファンドに統合すると発表した。つまりこの投信の名は無くなる。野村アセットマネージメントは、いつまでもただ持続し、管理手数ばかりかかり、回復の見込みがない、と見切ったものだ。残高も、当初の20分の1の500億円ほどに減っていて、運用効率が悪くなっていた。
この投信など、運用失敗の典型例と言える。
スタート3年後には基準価格は4割に
僕は、今でも覚えているが、設定された2000年2月、野村證券は1兆円ファンドと大々的に宣伝し、販売部隊を総動員して売りまくった。僕の会社の先輩など、3人も専任のファンドマネージャーがいて運用するから、と大金をはたいて購入した。
結果は、見るも無惨だった。設定時はITバブルのまっただ中で、同投信はIT関連株を多数・大量に組み込んだが、ほどなくIT株バブルが崩壊、その後も「失われた30年」の最中にあって回復しなかった。なんと設定後3年で、基準価格は設定時の4割の水準まで下落した(図)。
僕の先輩はどう対処したのか、あまりにも気の毒だったので聞かなかったが、購入した多くの投資家は損切りしたはずで、残高も1兆円を大きく割り込んで前記のようになった。
今は全般株高に乗って元本回復したが、ベンチマークからはかなり下
こうした辛抱した人たちは、その後の株価の上昇で、直近で1万5000円余りと元本回復して5割以上の利益となっている。しかし、それではベンチマークはどうか。設定当時の日経平均は1万9000円ほどだった。先月2月末の株価暴落があったが、それでも全体では倍になっている(図)。ベンチマークより大きく劣後しているのは、ファンドの運用の全面失敗であるのは明らかだ。
それなのに高額の給与を得ていたファンドマネージャーは、私財で弁償したわけでもない。会社の人事異動で他の部署に回って、責任をとったわけでもない。
買ってはいけないアクティブ投信
僕が言いたいのは、他人に多額の運用報酬を払って資金を預けても(ノムラ日本株戦略ファンドなどはアクティブ型投信という)、報われないことの方が多いから、絶対にこんなものを買ってはいけないということだ。
自分で株なりREITなりを選び、それで損失を被っても自分の責任だから諦めもつく。しかも短期では値下がりしていても、長期的には高い信託報酬などを支払わなくて済むだけ、報われることが多いのだ。
昨年の今日の日記:「世界最悪の韓国の低出生率、23年も過去最低の0.72」