​ アメリカで2021年に承認されたデンマークのノボノルディスク社(写真=同社のロゴ)の肥満症治療薬「ウゴービ」がバカ売れしている。​

 

 

​ 株式市場では、ノボノルディスクの株価がうなぎ登りだ(グラフ)。凋落気味のEV(電気自動車)のテスラに代わって次のマグニフィスント・セブンの一角として期待されている(テスラについては3月21日付日記:「アメリカのEVメーカー『テスラ』、EV市場減速を受け株価が大幅下落、並みの自動車メーカーに転落か」を参照)。​

 


半年前には時価総額であのルイヴィトンを抜いて欧州トップに​

 昨年2023年9月1日には、ヨーロッパ株式市場で高級ブランド最大手のフランスLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)を抜いて時価総額トップに躍り出て以来、今年1月31日に時価総額が5000億ドルを突破、3月7日には5660億ドルに達し、EVのテスラも抜いた。

 株式市場の評価がかくも高まっているのは、このところの業績の急伸の他に、無限に近い潜在成長力を秘めているからだ。

 ノボノルディスクが糖尿病治療薬を転用して肥満症治療薬としてウゴービを開発し、アメリカ食品医薬局(FDA)から承認されたのは21年のことだ。すぐに供給が追いつかないほどのヒットとなった。


いちいち医者に行かずに済み、注射は実に手軽​

​ 使い方は糖尿病のインスリン注射と同じ。ペン形の注射器(写真)を自分で下腹部や太ももに打ち、皮下に薬剤を入れる。血糖値を下げ、中枢神経に働きかけて少量の食事でも満腹感を覚える。​

 

 

 注射は1週間に1回だけだ。いちいち医者にいかずに済み、しかも毎日打つ必要も無いという手軽さだ。保険適用なら、高くても1カ月約25ドル(約3800円)で利用できる。

 手軽で割安、しかもほぼ確実に痩せられるということで、アメリカの肥満症患者は飛びついた。


アメリカ人3億3000万人の4割が適用患者​

 なにせアメリカの成人のカロリー摂取量は、世界最高の1日平均3900キロカロリーだ。日本人の1.5倍も食べている。

​ したがって肥満症患者は多い。アメリカの都市を歩くと、体重が100キロ超と思われる人たちが頻繁に見られる。アメリカの人口約3億3000万人のうち、BMI(ボディマス指数)30以上の「肥満」が4割も占める(写真)。日本の全人口より多い。​

 

 

 この人たちがみんなウゴービを打ったら、ものすごい市場が形成される。効果も、てきめんなようで、有名人にも使われている。あのテスラのイーロン・マスクCEOも、22年にウゴービを使って痩せたとツイッターに投稿している。

 ウゴービは日本でも昨年3月に承認され、今年2月から販売が始まった。


昨年の今日の日記:「相次いで超ミニ小惑星が通過、23年後には極微の可能性ながら地球衝突の注意報の出されたものも」