東京株式市場は、先週も快調で、16日には一時3万8865.06円と1989年大納会の終値3万8915.87円にあと50円ほどに接近した。昨19日は微調整を加えて終値は3万8470.38円となったが、TOPIXは15ポイントほどの上昇で、2639.69をつけた。

​ 対して、REIT(不動産投資信託)は軟調である。19日の指数の終値は1707.30と、1700ポイント割れ寸前まで下げ、昨年来安値を更新した(グラフ)。上場銘柄の多くも、昨年来安値を更新する不振ぶりである。

 

雰囲気だけで弱含み​

 これは、アメリカのFRBの利下げがはっきりしない一方、日銀のゼロ金利解除が近いという見方で、金利の強含みが嫌気されているからだ。

​ REITの裏付けとなる賃料相場は、武漢肺炎の人流抑制で下がった。特にオフィスビルは、在宅リモート勤務で少し下がった。しかし大きく、ではない(写真=主にオフィスビルに投資するREITの運用報告書)。​

 

 

 賃料もそこそこで、僕の保有するREIT銘柄も、半年ごとの決算による分配金は微増と、環境は悪いとは思えない。

 それでも投資はセンチメントだから、金利高という雰囲気が強まると、投資の手は伸びにくい。現実に高金利になっているわけでも、収益が悪化しているわけでなくても、投資は手控えられる。特に不動産に投資するREITではそうである。
 

金利高はREITの大敵​

 REITの2大弱点は、金利高、不動産安である。

 金利高は、いくもつの方向からREIT価格の下げの方向に働く。

 まずREITは、一般的にどの投資法人も、銀行融資を受けて不動産を買っている。金利高はもろにコスト高となる。

 さらに不動産に投資するから、リスクは少ない中リスク投資だけれども、リスクゼロではない。組み入れ不動産が値下がりすれば、分配金も減る。

 その点、銀行預金はほぼ安全だ。この銀行預金がほとんどゼロ金利なので、一般投資家は、REITに投資する。仮に銀行預金が年利5%の利率を示せば、平均4.6%程度のREITに誰も目もくれない。


国債利回りが上がり、スプレッド縮小​

 金利高は、この差を縮める。

 またほぼ完全とされる国債との利回りスプレッドも、高金利になると縮まる。かつて長期金利が0%に近かった頃、スプレッドは3.5%~4%もあった。これで、地銀はかなりREITで運用していた。それがスプレッドの縮小で、鈍っている可能性がある。

 金利高は、経済活動を冷やす方向に働くので、この面からも不動産相場にマイナスとなる。


現実には起こっていない不動産安だが​

 次に無視できないのは、不動産安、である。

 少し前の武漢肺炎パンデミックの時、人流規制でホテルが閑古鳥が鳴いた。宿泊料もホテル不動産価格も、値下がりした。その時、主にホテルに投資していたREITは、収益が上がらず、分配金が激減した。ホテルを処分して現金を捻出しようとしても、安すぎて売れなかった。

 この他、不動産安はオフィスビルに投資するREITも直撃した。賃料も下がっていたから、REITの価格も軒並み下げた。

 幸い、不動産安は一服したが、金利高の懸念は残る。


分配金利回りは平均4.6%で新たに買い増し​

 それが嫌気されて、指数の軟調につながっている。

 しかしREIT価格が下がっていて、前述のように分配金は微増なので、現在、平均で4.6%にもなっている。銘柄によっては、5%を超えているものもある。それが、1つや2つではなく、全銘柄の3分の1近くもある。

 これは、どう見ても安い。

 僕は、手元資金で2つのREITを買い増した。


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