日本の国土が広がっている。

 能登半島地震で海岸部が大きい所で4メートルも隆起したと伝えられる。それだけ陸も沖合に広がった。これは、漁業者にとって死活的事態だが、実はこのように地殻変動で陸地が広がっているのは、能登半島だけではない。


​◎年に1メートル隆起中の硫黄島​

​​​ 日本のはるか南方、小笠原諸島南端の硫黄島である(写真はランドサットによる衛星写真で1999年のもの、の空撮写真は2014年のもの。現在はもっと広くなっている)。​​​

 

 

 

 硫黄島は、敗戦直前、本土侵攻を睨むアメリカ軍と日本軍守備隊との間で死闘が演じられた火山島だ。戦前は、入植者もいたが、太平洋戦争の激化とともに島民は島から移住させられ、戦後はアメリカ軍の占領下にあり、日本への返還後も海上自衛隊と航空自衛隊の基地が置かれており、基地関係者以外の民間人の立ち入りができない。

 活発な火山活動が続き、島の至る所に硫黄の臭いが漂い、硫黄島の所以だ。

 この島が、地下のマグマに押し上げられ、年に約1メートル隆起している。その隆起速度は世界的にも珍しいほどで、港を造ってもすぐに干上がってしまって使えなくなるほどという。


​◎硫黄島面積、7年で1.3倍​

 隆起しているから、陸地は周囲の海に広がる。島の面積は、2015年に比べ、22年に1.3倍にもなったという。

 民間人が住まない事実上の無人島だから、それだけEEZも広がり、けっこうな話だ。

​ 陸地が広がっているのは、硫黄島から北に約270キロ離れた西之島(写真=2021年11月撮影)同じだ。ここも活発な火山活動が繰り返され、噴火のたびに溶岩が海中に流れ込み、近くに出来た西之島新島をも飲み込む形で合体、13年前の噴火前に比べて面積は4.2平方キロと14倍以上にもなっているという。ここも、学術目的以外は上陸できない。​

 


​◎さらに大規模爆発が起こるかは不明​

 しかし考えてみれば、日本のはるか南方で人も住まない所である。もしこれが本州に近ければ、大災害になっているだろう。実際、1986年には伊豆大島で噴火し、2000年には噴火による火砕流が発生し、全島民が一時島から避難した。

 今後、硫黄島や西之島がさらに大規模爆発を起こすかは分からないという。

 しかし注視はしておく必要があるだろう。


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