間もなくバレンタインデー。女性から贈られるチョコレートを楽しみにしている男性諸氏も多いことだろう(図)。
先物市場では1年で2倍以上の高騰
さて、そのチョコレート、今年はさらに苦くなりそうだ。
原料のカカオ豆が、異常高騰しているのだ。主に中南米産を扱うニューヨーク先物市場でもアフリカ産を扱うロンドン先物市場でも、昨年1月から比べると2倍以上に値上がりしている。しかもバレンタインデーの近さのせいか、ここのところさらに上げ足を強めている。
主因の1つは、世界1位の西アフリカ、コートジボワールと世界2位の同ガーナ(写真=カカオの木)で、異常気象で昨年前半に大雨や洪水が多発し、農園に浸水被害が出た。
需要も堅調
供給側が細った半面、需要は強まっている。特に経済成長の著しいアジア諸国でチョコレートの需要が強まり、欧米も日本も底堅い。
供給と需要の両サイドで価格が強含みの展開が続くのだから、異常高騰もやむを得ない。
この傾向は、今後も続きそうだ。
子どもの頃、貴重なお菓子だったチョコレート
もう12年も前に、僕はバレンタインデーとチョコレートの関係を考察する日記を書いた(12年2月14日付日記:「聖バレンタイン・ディーにチョコレート贈る来歴とその暗部」を参照)。
今読みかえしても、ほとんど修正の必要はない。
その日記の冒頭で書いたが、僕が子どもの頃、田舎の極貧家庭だったので、チョコレートは渇望の菓子だった。豊かな家しか、買えなかったのだ。原料のカカオ豆が全量輸入だから、当然かもしれない。
最初は飲み物として、しかもトウガラシを加えて飲んだ
前掲日記の要約になるが、初めて栽培・飲用されたメソアメリカでもカカオは大変貴重なもので、王・貴人や戦士しか飲めず、しかもトウガラシを加えて飲んだ(写真=マヤ古典期後期の土器に描かれた、王が鉢に入った泡立つチョコレートに手を差し伸べている図)。初期は、固形材が無かったこともあり飲み物で愛好したのだが、メソアメリカには砂糖がなかったから、トウガラシで味を付けたのだ。
バレンタインデーの名のもとの「聖バレンタイン」(写真)がどのような聖人だったのか、それとチョコレートの関係はどうだったのか、前掲日記を参照されたい。
昨年の今日の日記:「三菱の民間ジェット旅客機MSJ、迷走の果てについに開発中止」