​ 外国格付け会社から債務不履行を宣告されながら、中国共産党の思惑からずっと生きながらえて来たゾンビ企業のスターリニスト中国不動産大手の「中国恒大集団(以下、恒大と略)」に1月29日、気息奄奄ながらまだ辛うじて中国共産党のグリップをある程度免れている香港の高等法院(高裁=写真)が法的整理の手続き開始(破産命令)を決定した。​
 

 

超巨額の負債に対して売り上げは微々、ただ延命だけ​

 それにしても、恒大の負債は莫大だ。2023年6月末時点での負債総額は2兆3882億元(約49兆円)、債務超過額は6442億元もある。信用不安から、売れ残りのマンションなどの処分もふるわず、昨年23年の販売契約額はピークの10分の1以下となっている。

 したがって負債総額も債務超過額も、現時点ではさらに膨らんでいるとみられる。

​ それでもスターリニスト中国政府と中国共産党が恒大を破産処理させないのは、購入金を払いながらマンションの引き渡しをまだ受けていない多数の購入者、工事代金の支払いを受けていない建設・資材納入業者が反発、社会不安化を恐れているからだ(写真=建設工事が止まったままの恒大のマンション)。​

 

 

 つまり政府と党は、何とか破産処理を避けて、少しでも消費者や建設・納入業者のなだめて時間稼ぎをし、不動産価格の回復を待つ作戦なのだ。


香港内の恒大の資産は10分の1以下​

 しかし、時間稼ぎは、もう潮時だ。本土スターリニスト中国の裁判所が何もしないのにしびれを切らした海外債権者が22年6月、香港の裁判所に法的整理を申し立て、ついに何度もの法廷延期を繰り返した末、今回の高等法院の決定となった。

​ ただ、スターリニスト中国に本社や9割以上の資産がある恒大だ(写真=深圳にある本社)。香港の裁判所の決定は、香港だけに効力を持つ。香港高等法院が明らかにした恒大の香港の資産は、約155億香港ドル(約2900億円)に過ぎない。​

 

 

 海外債権者は、大部分の債権回収のためにはスターリニスト中国の裁判所に恒大の清算申し立てを行うしかない。スターリニスト中国が、それを認める可能性はほぼ無い。
 

ゾンビとしていつまでも延命?​

 つまり本土では、相変わらずの時間稼ぎが行われ、恒大はマンション引き渡しなどだけを行うゾンビ企業として生き延びる。

 それは、かつて日本がバブル崩壊後に政府と銀行が行った時間稼ぎ戦術と同じだ。しかし、痛みを避け、いつまでも不良債権が処理されずに、やがて不動産業者と銀行の破綻に至り、日本は深刻なデフレ不況に陥った。

 スターリニスト中国も、トップの碧桂園がやはり債務超過で、ほとんどの不動産会社も大なり小なりその傾向だから、いずれ銀行は多額の不良債権を抱えて、金融不安も起こるだろう。今、スターリニスト中国はデフレの入口に入ったばかりだが、今後、中国共産党もどうしようもない深刻なデフレに見舞われることになるだろう。

 痛みは早くに、不良債権は速やかに処理、という日本の教訓に学ばない愚かさを、習近平どもは続けようとしている。


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