かつての日本が味わったような悪性デフレに陥りつつあるスターリニスト中国で、出生数が伸び悩んでいる。


昨年は記録的な出生減、武漢肺炎のせいではない​

 一昨年2022年に大躍進時代以来61年ぶりの人口減に見舞われ、23年にはインドにも総人口で抜かれたスターリニスト中国は、今や人口回復のため、政府はあの手この手で出産奨励しているが、昨年23年は、7年連続で出生減になった模様だ。

 前年の22年は、武漢肺炎パンデミックの影響で出生減となり、956万人と初めて1000万人を割り込んだ。しかしパンデミックが落ち着き、そのマイナス影響を脱したはずの23年も出生数は回復せず、人口関係の複数の関係者によると、前年よりさらに落ち込み、700万~850万人前後となった模様だ。大躍進政策が終結した1962年から75年まで、年間出生数が2000万人を上回っていた頃は、遠い昔の話になった。
 

人口減は構造的なものになった​

 共産党一党独裁の失政は、この時、「一人っ子」政策を強引に導入し、多産の少数民族に強制的に堕胎や不妊手術を実施し、都市の漢民族にも強制した副作用で、出生数は徐々に落ち、今日に至った。今さら、共産党が「2人目」、「3人目」を産め、と勧めても、いつまた独裁者の気紛れで方針が360°大転換されるか分からないだけ、国民は踊らない。

 しかも出生減による人口減は、構造的なものになっている。

 まず不動産価格の高騰で住居費が高くなり、若いカップルは結婚できなくなった。子どもが産まれたら産まれたで、教育費がバカ高い。デフレ経済で将来の雇用不安もある。
 

合計特殊出生率は日本以下​

 例えば中国国家統計局が12月31日に発表した同月の製造業PMIは49.0で、11月の49.4から低下、3か月連続の50割れであった。

 スターリニスト中国経済を引っ張った輸出も、23年は不振だった。12日の発表では、ドル建てで前年より4.6%下回った。輸出の前年割れは、16年以来7年ぶりだ。

 物価上昇率も、ゼロ%の水面下割れも時々起こっている。同じ12日に発表された23年の消費者物価指数は、前年比で0.2%の上昇で、14年ぶりの低い伸びだった。スターリニスト中国も旺盛に輸入する原油・LNG、穀物は値上がりしたはずなのに(だから世界中の国が落ち着きつつあってもインフレを経験した)、である。

 デフレ時代は、すぐそこまで来ているのだ。デフレは経済が縮小することを意味するから、若いカップルは子どもなんて産めない。

 実際、2021年の合計特殊出生率は、1.16だった。2.1以上にならないと、人口減となる。日本の同年の1.30すら下回る。
 

大手不動産ファンドが破綻​

​ 不動産不況は、ほとんどの企業で倒産寸前だ。象徴的なのは、不動産に投資する大手ファンド「中植企業集団」がこの5日に北京の裁判所に破産を申請したことだ(写真=5日の北京の同社本社)。監査の結果、中植の債務は最大4600億元(約9兆3100億円)で、資産は2000億元しかなかった。​

 

 

​ スターリニスト中国のデフレ化を象徴するのは、上海株式市場の下げだ。昨年暮れから下げ足を速めた株価は、12日は2881.98で終えた()。昨年12月初めに3000を割って以来、多少の反発をするものの下落基調が続いている。​

 

 投資家としては、とても将来の値上がりを期待できないのだから、売られるのも仕方がない。

 

速報=13日投開票された注目の台湾総統選で、与党・民進党の頼清徳・副総統が当選した。中国の威嚇に強く反発する蔡英文総統の強硬路線の継承を訴え、中国との対話を主張した最大野党・国民党の侯友宜・新北市長らを破った。​

 親スターリニスト中国の国民党候補を様々な形で支援し、民進党の賴氏への中傷・台湾への威嚇を繰り返してきた習近平どもの野望は失敗した。頼氏は5月20日に総統に就任する。

 ただ同時に実施された立法委員選は、与党の民進党が過半数割れとなった。

 

昨年の今日の日記:「怒濤の海外ハゲタカどもの国債売り、昨年1年間は過去最大の10兆円超」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202301140000/​