今年も、世界は激動し、とりわけ2つの戦争は、多くの犠牲者を生み出しながら、来年まで続く。大発展しつつある生成AIもまた、世界を動かした。

 今年も年末恒例の世界10大ニュースを挙げ、2023年を振り返る。

 

⑴アメリカの対話型生成AI「チャットGPT」が世界で爆発的人気。前年11月末に公開されたのに、2カ月にはユーザー1億人獲得、過去最速。日本でも企業や研究施設に急速に普及。ただ、生成AIの負の側面も意識され、11月にはCEOのアルトマン氏が解任されるも、従業員などの要請などですぐに復帰。​

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⑵10月7日、イスラム原理主義テロリスト「ハマス」などがガザからイスラエルに大規模奇襲攻撃、約1200人のイスラエル市民が死亡し、出稼ぎ者など外国籍を含めて約260人が人質としてガザに拉致(写真=7日のガザの境界付近で破壊されたイスラエル軍戦車の上で、パレスチナ旗を掲げるハマスの戦闘員ら)。不意打ちに遭ったイスラエルは直ちに猛反撃し、ガザ空爆の後に地上侵攻。ガザ戦争勃発。一時、7日間の休戦期間中にハマスが61人のイスラエル市民の他、外国人も含めて80人以上が解放され、ハマスも150人の受刑者を取り戻したが、なお130人あまりの人質がハマスの拘束下に越年。イスラエルの空爆や地上戦でのガザの死者は、ガザ側発表で約2.1万人超。​​

 


 

⑶テロ国家ロシアによるウクライナ侵略戦争が続く。夏にウクライナは大規模反攻をしかけたが、はかばかしい成果を挙げられず、アメリカなどに「支援疲れ」も。​

 ウクライナ侵略戦争に伴う原油高、穀物高などで、世界的なインフレが起こり、日本にも波及。1月の消費者物価上昇率は前年同月比で4.2%の上昇で、第2時石油危機の影響で物価が上がっていた1981年9月(4.2%)以来、41年4カ月ぶりの上昇率。物価高を背景に春闘の賃上げも高く、3月15日の集中回答日で大手製造業の大半が満額回答。

 

⑷5月、武漢肺炎が5類移行。インフルエンザ並みの扱いに。それ以前から、徐々に規制は緩められていたので、経済活動は完全に元に戻る。​

 

​​⑸2月6日、トルコ南東部でM7.8の大地震、同日午後にもM7.5の地震があり、同国東南部からシリア北西部にかけて多数の死者・行方不明者(写真)。トルコとシリアを合わせて死亡者は5万6000人以上という。21世紀以降、6番目に死者の多い自然災害となった。阪神大地震の20倍のエネルギー。​​

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⑹G7広島開催、5月19日から21日まで。参加した首脳たちは、原爆資料館を参観して記帳、慰霊碑前では花輪を捧げる(写真)。20日、ウクライナのゼレンスキー大統領が飛び入りで参加。ロシアの侵略戦争開始後、初のアジア訪問。​​


⑺3月10日、アメリカの新興テック企業と創業者を主要顧客とするシリコンバレー銀行(SVB)が破綻。そのあおりで翌々日、ニューヨークのシグネチャー銀行も破綻。金融不安は海を越えて、世界の30大銀行の1つの名門クレディ・スイスが金融不安に見舞われ、19日、同業のUBSに救済買収。さらに5月1日、有力地銀のファースト・リパブリック・バンク(FRC)も破綻、JPモルガン・チェースが救済買収。​

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​⑻6月23日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の反乱​写真=一時占拠したロストフ・ナ・ドヌで市民に迎えられるワグネル兵士)、モスクワに接近するも1日で矛を収める。創設者のプリゴジンは、ワグネルの指導から離れるが、約2カ月後に搭乗していたプライベートジェット機が撃墜され、死亡。プーチンによる謀殺の可能性大。プーチン体制に、わずかながら亀裂が入った。​​
 

 

⑼旧ソ連時代末期以来35年間も続いたナゴルノカラバフ戦争終結。9月19日、アゼルバイジャンは、ナゴルノカラバフのアルメニア支配地域での「対テロ作戦」の開始を発表、翌日、圧倒的に軍事的劣勢のアルメニア側は降伏し、アゼルバイジャン国内のアルメニア系住民の作った「ナゴルノカラバフ自治共和国」が消滅。アルメニア系住民約10万人が難民となり、アルメニアに流亡。​

 

⑽旧朝鮮半島出身労働者問題(いわゆる「元徴用工」問題)、3月6日、韓国政府が解決策を打ち出す。尹錫悦大統領が16日、来日。岸田首相と首脳会談で、日韓の関係正常化で一致。韓国の大統領の来日としては12年ぶり。​

 

​(番外)3月22日、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)決勝で日本はアメリカに3対2で競り勝ち、3大会ぶり3回目の優勝。MVPは投打にわたって活躍した大谷選手に。​

 

昨年の今日の日記:休載​